新護憲神奈川 主体的平和戦略③
80代・今の想い―問題意識
はじめに
前回で、厳しい病の状況におかれた草野さんが、それこそ命をかけて訴えた文章を目の当たりにして、私もそれなりの覚悟を持つべきだと思い、「9条護憲運動の再構築を!」を問題提起した。
同世代の親友、同人誌の仲間を失い、かけがえのない連れ合いをも失って、一人暮らしを始めた80代の私も彼の心境に近いものを感じ取っている。
書庫に置いてあった膨大な書籍(ダンボール108箱分)を処理し、自分なりに区切りをつけ、あとは、自分史なり、「輝け!9条」新護憲市民の会・神奈川の30年間の歩み(闘争史?)をまとめようかな、と考えていた。彼の問題提起があったのがこんな矢先だった。
自分史なり、会の歩みが後ろ向きだとだけは言えないがこんなに危機的な政治状況の中で、自分の進めてきた運動をしっかり振り返り、今後の展望を提起することがより大切だと考えた。
最近読み直したものに触発された面もある。それらの箇所を揚げると、
① 不愉快な現実:孫崎享著 講談社現代新書
第8章:戦略論で東アジアを考える 第9章:日本の生きる道–平和的手段の模索
② 憲法九条の軍事戦略:松竹伸幸著 平凡社新書
第4章:九条の軍事戦略を語ろう
第5章:日米安保条約をどうするか (二)安保の現状を変える二本立ての戦略
③ 9条の戦後史:加藤典洋著 ちくま新書
第6章:歴史像の改定–捨象された経験の核心
1、護憲的な歴史像の改定 おわりに:憲法9条/使用法
2,2009年の蹉跌と新しい展開
3,憲法9条の使用法–私の対案
そこで、今回は、私が構想している提起の項目内容を示し、討論の俎上にのせたい。忌憚のない問題の指摘をして欲しい。
2023年6月の事務局会議で指摘されたことは、
① 9条を守る会や護憲市民運動を進めている仲間との間につまらぬ亀裂を 生むことにならないか。護憲野党と討論できる素地があるのか。
② 国連の歴史、現状を過大評価していないか。日本が影響を与えるほどの力はないと思うが。
③ このような議論が広がる可能性はあるのか、まして、展望されている世界、日本の実現性があるのか。現実はもっと絶望的であると考えるべきではないか。
私の提起が①から③の指摘に答えうるものか、それはこの提起が護憲運動の中でどう対象化されるかにかかっていると思う。
絶望的としか言いようのない現在の日米安保体制下の状況を考えれば、日本が国際的に信頼され、平和体制を創り上げる流れに寄与できるのは、これから提起する戦略が最も現実的であると判断しての提起である。ともかく、発想の大転換が必要である。
今後提起したい項目内容
主体的平和戦略 自衛隊の縮小(解体)と日米安保解消
1, 世界平和構築のための基念
① 軍事力対軍事力のエスカレートを止める日本の役割
② 国連の実力を向上させるための日本の努力
2, 日米関係の改善:日本の専守防衛の徹底と主体的主張の重要性
3, 日米安保条約10条を踏まえて、米軍の日本からの段階的撤退と中国、朝鮮民主主義人民共和国、ロシアとの外交関係の改善。
4, 自衛隊削減の具体的施策と防災省創設の構想
5, 国連の実力向上への日本の貢献
① 憲法9条の精神の浸透、米国との距離の変更
② 自衛隊削減に伴う費用を国連に供与
③ 自衛隊の一部を国連常備軍へ 防災省を国際的防災強力部隊に
6, 日本の政治状況変革のために
➡次回 主体的平和戦略④:<世界的平和構築のための基本理念>に続く