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#アットホーム・アクション
Monster Sweeper scrub episodeⅠ「ニューフェイス」【1】
低いビープ音とかすかな振動が、目的地の近くに達したことを知らせる。オートドライブに操縦を任せていたドライバーは、エアバイクの画像を映していたタブレットを片手にしたまま、コンソールの上で指を滑らせた。何もない空間に航星図が映し出され、目的地を赤い点で指し示す。
「やっと着いたのね……しっかし遠かったなあ」
つぶやきながらアクセスコードをコンソールに打ち込む。程なくして通信がつながり、相手を呼び出
Monster Sweeper scrub episode Ⅰ「ニューフェイス【2】」
廊下を戻り、格納庫にいちばん近いドアにたどり着くと、Aは「ここが共有ペースです」と言いながら、ドア脇のパネルに触れた。かすかなスライド音とともに部屋の様子がジュリアの目に映る。壁にかかっているスクリーンが、他愛ない日常番組をBGMのように低い音で流している。小さなダイニングテーブルとその周りに椅子が三脚、それから三人掛けのソファが無造作に二つ、離しておいてある。そのテーブルを囲むようにして、人が
もっとみるMonster Sweeper scrub episodeⅠ「ニューフェイス【3】」
現場はscrub基地とは少し離れた星域にあったため、ゲルニカは二度、小さなハイパージャンプを経たのち、タウリ星系の小惑星群に到着した。思った通り、ハイパージャンプもお手本のような運転で、乗っている方は全くストレスを感じなかった。Lの航行技術にまたもや感心しながら、ジュリアはコントロールルーム正面のスクリーンに広がった宇宙空間に目を凝らした。様々な大きさの星の破片が、そこそこの密度で点在している。
もっとみるMonster Sweeper scrub episode Ⅰ「ニューフェイス【4】」
「待たしたな!」
Bの声とともにコントロールルームに入ると、目の前のスクリーンに男が映し出されていた。大柄な中年の男で、そわそわと落ち着かなく視線を動かしているが、極力こちらとは目を合わせないようにしている。
「そちらのお嬢さんは、先刻のエアバイク集団の?」
スクリーンの正面に座っていたAが、パトラの姿を見て訊いてきた。ジュリアが最初に基地で話をした時にもあったタブレットを持っている。
「そう
Monster Sweeper scrub EpisodeⅠ「ニューフェイス【5】」
「さてと。話はまとまった」
Aはスクリーンからコントロールルームの方へ向き直った。
「BとCはあっち担当。電源補給箱(サプリキューブ)とケーブルをもって、シュワルツで向こうの輸送艇に向かい、まずは宇宙空間(そと)にいるジャプリウスをあの船に回収、それからバッテリーを充電して艇(ふね)が起動できるようにする。そのあと同行して、ジャプリウスをもとの生息地へ戻すのに立ち合ってくれ。シュワルツならあの
Monster Sweeper scrub EpisodeⅠ「ニューフェイス【6】(完結)」
その日基地に戻ったのはジュリアたちの方が先だった。秀人と細かいことを打ち合わせて、Lとジュリアはゲルニカに戻った。残っていたAはすでに各方面に必要な連絡を終えており、そのまま三人はウェルトルゲンへ戻った。ジュリアがBとCと落ち合わなくていいのか尋ねると、Aは応えた。
「シュワルツは大きくないけど、ハイパードライブ機能はついてますから大丈夫です。そうでなきゃ一緒に戻しには行かせませんよ。ジャプリウ
"scrub" ep.Ⅰ「ニューフェイス」後記
ここまで来て下さったあなたへ。
まずはあらためてお礼を言わせてください。
ひさしぶりに書いたお話を最後まで読んでくださってありがとうございました。楽しんでいただけたでしょうか? 彼らのことを好きになっていただけたらいいな。
恐る恐る始めたnoteですが、思っていたよりいろんな方に見に来ていただけたようで、とても嬉しいです。初めていただいた「スキ」も、すごくうれしかった。書くことを始め