ひらめき☆マンガ教室第7期 課題1『自己紹介を物語として描く』ネームの感想

ひらめき☆マンガ教室第7期の課題1『自己紹介を物語として描く』のネームの感想です。
各作品は、ひらめき☆マンガ+(https://hirameki.genron.co.jp/)のサイトで読むことができます。



二兎たまむさん『こうして痩せました

3p1コマ目で「体重が~あることです」と字が大きく出てから、「ドドドドド」と潜っていくまでが、テンポよく感じました。静かな導入部分と落差があっておもしろかったです。
主人公がマントルを「アチチチチ」と通過できてしまうのは、何か特別な力を持っているのでしょうか。また、主人公以外にも特異な体質の人はいるのかなと、どういった感じの世界なのか興味がわきました。
地底人と、「スタンディング・さやわか」の登場により、どう話が展開していくのか予測できないような、混沌としたハチャメチャさがおもしろかったです。もっと変てこな人や物が出てきても楽しそうな感じがしました。
10pで、主人公は漫画ではなくエネルギー弾の方を選ぶのは、意外な展開でした。漫画教室に通っている主人公が、漫画を選ばなかったのはどうしてかなと、ちょっと気になりました。



えぴのみすさん『板挟み社員

2pで戸田さんが「だから今度のはでないでくれる?」と口元がアップになっている場面から刺々しい感じが、鋭い目が大きく描かれている4p2コマ目から、彼女の、ツンツンとした性格がよく伝わってきました。
4p4コマ目の吉川さんの穏やかな笑顔から、人のいい感じと、疲れた様子から、彼の苦労が垣間見えるようでした。
8pの莉子ちゃんのドキッとするような「しにそう?」のセリフが、印象に残りました。このコマは、二人を少し離れて見ている視点だからでしょうか、ぽんっとふいに言葉が投げかけられたようで、吉川さんのとまどいが伝わってくるようでした。
吉川さんを取り巻く現状を描いたところで話が終わるので、これから吉川さんは、どうするのか見てみたいと思いました。



夢叶羽どどどちゃん前を向いて歩こう

友達から話を聞いて、主人公が女の子を追いかけに行くまでが、ちょっと唐突に感じられました。行動がなかなか大胆なので、主人公の、そこまでする訳や、女の子への熱い思いみたいなものが分かると、より読みやすくなるのかなと思いました。テンポよく話が進んでいく点は、スイスイと楽しく読むことができるので、とてもいいなと思いました。
8pで、声をかけられてビックリしている女の子がかわいらしくてよかったです。
11p4コマ目の「それだけで嬉しいっすわ」の笑顔や、12p1コマ目の「あざした」の、主人公のどこか憎めない表情がいいですね。キャラクターに愛嬌があって、そこがとても魅力的でした。
2pではタイトルで女の子の姿は隠れていて、10pになって主人公と同じタイミングで女の子の裸の絵が見えるのが、きちんと主人公の視点とリンク
していて、いいなと思いました。



太田ユータローさん『時は乱世

2pの6コマ目の「ほーォ?」の顔がいかにも悪そうで、おもしろかったです。主人公の実友が、やる時はやるという人という感じで、好感を持ちました。3pでズバッと言った後、4pの4コマ目でガクガクと震えていて、かっこういいだけでなく、ちょっと情けない部分もあるのが、人間らしい感じがしていいと思いました。4p2コマ目の「た、助かった」や、6p3コマ目の「清廉な心意気だ」などのセリフが、どのキャラクターが言ったのか判断に少し迷ってしまったので、そこが分かりやすくなると、よりスムーズに読めるようになるのかなと思いました。
それぞれのキャラクターに特徴があり、脇役もきちんと描き分けられているのが好感を持ちました。とても丁寧に描かれているのがよかったです。



zinbeiさん『人間一回目の比較的スムーズな旅

主人公の表情がページごとにくるくると変わっていくのが、読んでいて楽しかったです。太い眉がいいなと思いました。旅行を楽しんでいる様子が生き生きと伝わってくるようでした。4p1コマ目の「これからプランを考えるんです」の表情が、のほほんとしていて、いいですね。6pでラーメンに目を輝かせている顔も、かわいかったです。
図書館で、その土地の資料を読んで、旅行の予定を立てるのに活用するという発想がおもしろく、そういう楽しみ方があるのかと興味深かったです。
全部で13pなので、訪ねた場所の様子や食べたものなど、一つ一つのことはコンパクトにまとめられていますが、旅が魅力的に感じられた分、もっとじっくりと主人公の旅の様子を知りたくなりました。



さとりさん『ミニマリスト

キャラクターの造形が、スッキリとシンプル寄りでありつつ、かわいらしさもあって、そこが魅力的に感じました。
「ななみ君はキャワイイですね~~~~」の3p1コマ目、6p5コマ目の「家に天使がいてヤバい」のノノ子さんの表情がよかったです。8pの4コマ目「ワンオペよろしく」のコマでは、大きな余白の中にいることで、ぽつんと取り残されて途方に暮れている主人公の心境がよく伝わってくるようでした。10p3コマ目で、ミルクの作り方のメモに「最初に書いて」とツッコむのがおもしろかったです。ノノ子さんのメモが、「ダルすぎる」「んな面倒なことはやってられんので」と途中から砕けた文体になるのがコミカルでした。
育児の大変さを経験して、子供ヘの愛着が生まれてくるという展開が素敵でした。ミルクの作り方や哺乳瓶を殺菌する工程が具体的に書かれているので、ウォーターサーバー、消毒キットなどの便利グッズの必要性がスッと理解できました。
16pの3コマ目で、主人公がすっかり夢中になっているのがかわいらしかったです。ほのぼのと穏やかなラストシーンに心が和みました。



新川帆立さん『がんばれホタテちゃん

シンプルな絵で描かれた、どこか脱力感のあるキャラクターが、かわいらしかったです。ホタテちゃんの表情もほんわかした感じで、そこがいいと思いました。2p5コマ目の「ぼさつなの?」の顔がかわいらしいですね。
全体をザッと読んだ時、少し字が多めな印象を受けたので、字の少ないコマや絵だけのコマなどが、もう少しあってもいいのかなと思いました。
5pに登場する「熱狂的信者のような男」の「足の指の毛までかわいい・・・」のセリフが、ちょっと狂気的な雰囲気を漂わせていておもしろかったです。「話がつまらない」というホタテちゃんからの冷静なダメ出しがいいですね。



かきもとUさん『生存確認

5pで、泣いている秋さんがよかったです。大きなコマで描かれていて、受けた衝撃がしっかりと表現されている感じがしました。
橋本くんがどんな人だったのか、秋さんとはどんな仲の友達だったのか知りたくなりました。そこが分かると、5pの秋さんの悲しみがさらに印象深くなるように思いました。7pの「いつ、どこでどんなふうに人は死んでもしかたないとおもう」モノローグを読んで、主人公がどこかあきらめてしまっているような感じがしましたが、9pの「なんでもない飲み会」のセリフから、「乾杯!」のラストで、もの悲しさがありつつも明るく前向きな雰囲気になっていったのがよかったです。



こまだ ほろさん『おでん

キャラクターが素朴でかわいらしかったです。
4p1コマ目でカギを開けて、部屋へと入っていく様子が丁寧に描かれているように感じました。ゆっくりと入った4p3コマ目の暗い部屋は寂しさがあって、割れてしまったおせんべいから、野田ちゃんの孤独感が強く感じられました。
先輩の髪型がかわいらしくて、10p1コマ目の「帰ろう!」の表情がよかったです。先輩がちくわぶを食べさせようとメラメラと燃えている様子から、世話好きそうで、人のよさそうな感じが伝わってきて、印象的なシーンでした。
鍋を通して、二人が交流して仲良くなっていくのが、ほのぼのとしていてよかったです。二人のやりとりをもっと見てみたいと思いました。



えすけいさん『カーテンコールは終わった

4p4コマ目の「太一さんの作る芝居に出れるってことですか?」と目を輝かせているショーゴくんが、初々しくてキラキラしててよかったです。
17pのラストシーン、ショーゴくんが舞台の外へと出ていくのがいいなあと思いました。光の中に消えていくような、余韻のある印象的な場面でした。ショーゴくんはタイチさんとの出会いで、どんな影響を受けたのか、タイチさんはショーゴくんのどういったところを認めて主役にしたのか、そういった二人のいろいろをもっと知りたくなりました。
13p「何?最後みたいじゃん」と笑うタイチさんの笑顔がいいですね。次のコマのちょっと恥ずかしそうにしているショーゴくんの表情も魅力的でした。お互いがお互いを認め合っているのが伝わってくる感じがしました。



久留米さん『HAPPYBIRTHDAY自分

2p1コマ目の「あきた」の白目をむいた顔がコミカルでおもしろかったです。
慣れ親しんだ味に戻るラストもよかったです。最後のコマの主人公の笑顔が、かわいらしく感じられました。ページ数は5pとコンパクトにまとめられていますが、読みごたえが感じられました。最後のページの1コマ目に描かれた胃薬を最初は見落としていて。何度か読んでいくうちに気づきました。お父さんの心づかいが分かるいいシーンだと思うので、もっと目立たせてもいいかもしれません。頑張っているお父さんがいいなあと思いました。



もろいさん『藁を掴む

13p2コマ目の「失望したか?」と言葉を吐き出してた古由さんは、なぜそんなことを言ったのだろうと考えさせられました。同じような人だからではなく、違う人間として早川くんと話したかったのかなと、そんな風に思いました。古由さんがどんな気持ちでいたのか、考える余地がある作品でした。
主人公が古由さんが亡くなった後が、少しあっさり気味にも感じました。古由さんの死を知って、主人公はどんな気持ちになったのかをもっと知りたくなりました。



福本眞久さん『ED人間マチアプ漂流

5p2コマ目の女の子がかわいらしかったです。7pで主人公が吊るされているのが、予想できなかったのでおもしろく思いました。10pで主人公が少しずつ行動を変えていったのは、何かきっかけがあるのかなと、そこが少し気になりました。
最後のページの「彼女の顔を見ていると深い呼吸ができ」とふと自分の変化に気づいて、それまでの苦しさを自覚していくのがよかったです。楽になって初めて辛さに気づくところに、リアリティを感じられました。
「次いつ会えるかな?」と、物語が終わっても関係が続いていきそうなラストシーンは、恋愛に対して臆病になっていた主人公の。前向きな変化を感じられ、いいなと思いました。



夢野ボムさん『全然平気

あのイヤホンは、玉木くんにとって何でも話せる友人みたいなものだったのかなと、そんな風に感じました。玉木くん自身の奥深くの心の声が聞こえるようになったのかなとか、イヤホンの正体については色々と考えられる感じがしました。
玉木くんがイヤホンから一方的に話を聞いている形になっていて、やりとりがないのが、少し寂しい感じもしました。二人の交流が描かれれば、別れの場面の寂しさもグッと強まって、よりよくなりそうな感じがしました。
少し心の中にため込んでいた気持ちを吐き出すことで、楽になって「もうちょっと人生頑張ってみるかな」とポジティヴな感じで終るのがいいですね。



アサイーうめぇさん『人間プログラム

傷つけられるのを恐れて、中野くんが心を閉ざして機械的な対応が最後まで抜けきらないのが、少し悲しい感じがしました。ところどころで「童貞殺しだ」とドキドキしたり、トイレに行きたくなって「まさかのゲリラ豪雨」と表現したりする、中野くんの人間っぽさが出てくる場面は、ロボットになり切れない中野くんの不器用な感じがおもしろかったです。
中野くんがロボットのふりをしているとは思うのですが、中野くんのふりをしたロボットだったのか、どっちだったんだろう?と少し迷いが残ってしまったので、もう少しはっきりと描いてもいいのかなと思いました。
また、天月くんが女装している理由なども気になるところです。天月くんがキャラクターとして魅力的なので、もっと彼の気持ちを知りたくなりました。
「人間の暖かさを感じる」の天月くんが優し気で、ここ表情がいいなあと思いました。



うとさん『推し活

こういった福祉サービスがあるんだと、興味深く読めました。主人公の「良かったですぞ」「ですな」という、少しかしこまった口調からオタクっぽい雰囲気が感じられておもしろかったです。推し活をモチベーションにして働くことへと踏み出していくのが、ポジティヴでいいなあと思いました。
就労継続支援のa型とb型と、二つキーワードが出てきて、4pでb型については「つまみ細工」「wordの勉強」などどういったものか、絵を使いながら説明があるのがいいですね。a型についても、どんな感じのものなのか知りたいなと思いました。



シンシンさん『ひし餅はお好き?

2~3pの、しおり先輩の登場シーンが丁寧に描かれている印象でした。主人公のしおり先輩に好意を持っていることがしっかり伝わってきました。また、ひし餅という、特徴的なものが登場するのがおもしろかったです。
それぞれ、しおり先輩はメガネ姿の知的な感じ、みくる先輩はくだけた印象と、両キャラクターともにしっかりと特徴があるのも、いいと思いました。
みくる先輩と主人公は、この先どうなるのか、気になるところです。みくる先輩が主人公を家へと連れて行く場面は、都合よく利用しようとしているのか、ちょっと興味があってちょっかいを出しているのかなど、色々と考えられますね。みくる先輩は、主人公に対してどういう気持ちを持っているのかを知りたくなりました。



f/kさん『最近の私

何かをやろうとする焦りや、行動したらしたで新しい悩みが増えていったりするのが、共感できる感じがしました。苦労しつつも頑張って進んでいこうとする主人公の姿を見ていると、応援したくなりますね。様々な不調が出てきて、主人公が最初から最後の方まで苦労続きですが、かわいらしい絵だからか、作品が重たい印象になり過ぎず、読みやすかったです。
6pで登場するyさんから、どことなくくせ者っぽい雰囲気を感じられ、主人公が何かに巻き込まれたりしないかなと、ちょっと心配になりました。



くじくじらさん『チンかも

導入部分から、インパクトがありおもしろかったです。それほど生々しい感じもないので、読みやすく感じました。
「中学生唯一の楽しみが・・・」のセリフが、友達の股間への熱い思いが感じられて、「そんなに好きなの!?」という驚きがあってここもいいなあと思いました。
ちびキャラっぽくデフォルメされた、チャーミングな絵がよかったです。7p1コマ目の「ダメー」の主人公の顔がコミカルでいいなあと思いました。また、9p1コマ目の友達の上目づかいの「ダメかな」の表情が、とてもかわいらしくて、魅力的でした。もっとこの表情を大きな絵で見てみたくなりました。



イドガネさん『オレのタルパ

5p3コマ目の「仕事だって頑張れる」の笑顔にどこか寂しそうな雰囲気が漂っている感じがしました。
6pの「心配しなくていいよ」というセリフは、次の7p1コマ目で汚れた部屋が描かれているので、主人公が自分に言い聞かせているように思いました。気丈にふるまっているのが逆に、切羽詰まった印象を強く感じさせました。
「笑えるわけねえだろ」のセリフで、小さなかわいらしいタルパが、急に荒っぽい口調になってどうしたのかな?と驚きましたが、次のページで、自分と同じ姿になったタルパが登場して、またびっくりしました。
イマジナリーフレンドであるタルパが、主人公を元気づけて消えてしまうのはちょっと悲しさがありましたが、作品の一部になることで、主人公と一緒に歩いていくラストシーンにグッときました。



どんどこすすむさん『サムライと漫画家志望

3p3コマ目の主人公の女の子の絵で、かわいい子を描くのに苦戦している様子がパッと分かるのがよかったです。
9pから登場するちびキャラの侍がかわいらしくて、いい感じでした。
「脇役に出てくる女の子がかわいいなと思って」のセリフで天井が描かれるているからか、主人公の視野がパッと広がったような感じがしました。15p最後のコマで呆然としている主人公から、かけられた言葉の大きさがしっかり伝わってきました。
一人の読者の声が届いて、主人公が変わっていくのがとてもよかったです。
描きたいものと、読者にとっておもしろいものとの違いに悩み、折り合いをつけながら創作を続けていく主人公がいいなあと思いました。



midoriさん『おもしろい人に会いたい☆

2~3pでしっかりと話し合いの場面があって、どうして女性用風俗にいくことになったのか、それぞれのキャラクターが女性用風俗に対してどんなイメージを持っているのか描かれているので、それぞれの違いが分かってよかったと思います。テーマにも興味を引かれました。
4pで「この服で大丈夫だったかな・・・」と心配している様子から、知らない場所へ踏み込んでいく主人公の不安な気持ちが伝わってくる感じがしました。7pの主人公の「ふつうのイケメンだ」「クラスで3番目くらい」というモノローグは、クラスで1番ではない、というのにリアルな感じがしました。7pで「私はここにいません」と意識を飛ばしているのがおもしろかったです。11pで登場するY.uくんが、優しそうなさわやかな好青年って感じがよく出ていて、次のコマのみんなの反応に納得感がある気がしました。


yxudonさん『おかえり十五歳

10p2コマ目の「未来のあなたは忘れたかもしれないが」「宇宙を見るとあたしはいつでも自由だ」のセリフがいいですね。このコマの手を広げている主人公が魅力的でした。
現在の自分が、過去の自分と向き合ってもう一度前を向くというのがよかったです。未来に困難が待っていようとも、過去の自分を否定しないで、何とかしようとするのが、いいなと思いました。
過去の空くん(現在の彼氏)に乗り移ってタイムスリップする、と結構物語が複雑なつくりをしているので、もう少し説明があると分かりやすいかもと思いました。
空くんになってしまって動揺しつつ喜んでいる2p最後のコマの主人公が、コミカルでかわいらしかったです。



早起き村さん『距離

4p3コマ目の「もうっ!」「好きってことだよ」の、のんちゃんの照れた顔がかわいらしかったです。4p4コマ目のごにょごにょした様子や、5p3コマ目の「先にそいつに言わせてほしい!」のセリフから、シュンくんの、人に気をつかってしまう性格や、優柔不断っぽい感じがよく出ていて、少しずつ不満がたまっていくのんちゃんの気持ちが分かるような気がしました。
口に出さずに飲み込んだ言葉がモノローグで語られるので、13pでシュンくんを押し倒して、のんちゃんの思いがあふれ出すシーンに、納得感がある気がしました。
ラストシーンで、ようやく二人はスタートラインに立ったような感じがしますね。これからどうなっていくのかは分からないですが、のんちゃんが自分の気持ちを口に出したことで、シュンくんも「ちゃんと聞くから聞かせて」と向き合おうとしているところに希望も感じられました。話し合いながら、いい関係を築けるといいなと思いました。


しのののさん『生真面目の悶々

せっかく参加するのだから、頑張って取り組みたい主人公と、カジュアルに楽しもうとする友人とのズレに、モヤモヤを抱えながら、なかなか気持ちを口にできない主人公の気持ちがよく伝わってきました。5p4コマ目で、主人公がちょっと「んー」と考え込んだ顔をしてから、「うん」と友人に返事をするところに、複雑な心境があらわれている感じがしました。
きちんと主人公と友人との吹き出しの形に違いがあるので、どちらのセリフか分かりやすくて、そこもよかったと思います。
正面から主人公を見ている絵が多い印象だったので、画面に変化があると、よりよくなる気がしました。
友人が最後まで姿を見せなかったので、どんな感じのキャラクターなのか見てみたかった気もしました。



新森フクモさん『のれないレール

6、7pでかけられる周りの人からの言葉と、「人間って結局は孤独なんだな」と沈黙した主人公から、周囲に理解されないきつさが感じられ、9p2コマ目の、「出口のないトンネル」という言葉と、暗い背景にポツンと一人でいる主人公から、その孤独が伝わってくるようでした。
妊活とはどういったものか、具体的で丁寧な説明があり、取り組んでいる主人公の心の揺れと抱えている思いをしっかりと描いているのがいいと思いました。
主人公の様々な葛藤と迷い、不妊治療の難しさが描かれている分、文字数や情報量が多めなので、内容を理解しながら読むのは、結構ハードルが高い感じもしました。文字を減らせるところがあれば、少し減らすと、読みやすさが増すのではないかなと思いました。


佐原もやさん『なんでも

11pの女の子の「あなたはわたしたちを」「バカにし続けている」が、ドキリとさせられるセリフで、印象的でした。13p1コマいっぱいに書かれたセリフから、女の子の中で、少しずつ不満がたまっていった感じが伝わってきました。なかなか、自分の言葉が相手にどう受け止められているのかを考えるのは難しいことだよなあと、そんなことを考えました。
ただ楽しく遊んでいたつもりの主人公のとまどってしまう気持ちも、分かる気がしました。12p~14pで、女の子からいろいろと言われてしまう主人公は、それまで周りをあまり見えていなかったとはいえ、ちょっとかわいそうにも感じられました。


tomikashiさん『さいはてから引き返して…

最初のページの主人公の絶望的な表情から、その苦労が伝わってくるようでした。ニコニコしているタナハシさんが常に笑顔を崩さないのが、本心が読めない、くせ者っぽい雰囲気が感じとれました。5pで「・・・」と笑いながら怒っているのが、ちょっと怖かったです。「ドラクエ作れんじゃん!」とゲーム好きそうな三田くん、大人しくて気が弱そうな日下部さんなど、それぞれのキャラクターにしっかりと個性を感じられて、いいなあと思いました。二人は4~5pのあと出てこなくなりますが、特徴があるキャラクターだと思うので、主人公と後輩二人の交流をもっと見たいと思いました。
また、主人公がプログラマーということなので、そもそもプログラマーとはどんな職業か、主人公の仕事は具体的にどんなことをしているのかを知りたくなりました。



星澤みとさん『reserved

5pの、「確かに、私たちは友だちだった」「きみは 前に進むべきだよ」「すべてが台無しになってしまう前にね」といった主人公たちの過去に関するセリフを読むと、何があったのだろうと気になります。色々な想像を促されるような場面やセリフがあって、謎めいた雰囲気が魅力的でした。ただ、回想シーンと現実の場面の区別や、それぞれのセリフが、誰にどんな気持ちで投げかけられたのか、物語やキャラクターの気持ちを理解して読んでいくためのヒントが少ないようにも感じられました。
8pの「お前が呼んだんだぜ」のセリフから、目をつぶって想像(回想?)の中の騒がしい映画館へと繋がっていく一連のシーンでは、9p2コマ目に不気味な口元のアップが描かれていて、現実か夢の中なのか分からないのが、おもしろかったです。
13pで主人公がふと気づく腕のあざ、14p1コマ目の広い映画館の中に立っていたり、17p最後のコマで席に一人で座っている主人公から、ポツンと一人取り残されているような、寂しさを感じられました。



夕波とんぼさん『パスボール

「パスパスは勝ち負けがあるものじゃないから」というセリフがいいですね。6pのかいとくんの言葉は、とても大人びていて、彼は一体どんな経験を積んできたんだと、過去に興味がわいてきました。かいとくんがどんな人かもっと知りたくなりました。
7pで笑い合っている二人の姿と、8pで芝生に寝転がって空を見上げている場面が印象に残りました。特に、2,3コマ目の顔のアップが、表情が晴れやかで素敵でした。
「・・・かいとは今何を考えてる?」「俺は「空きれいだなー」って思ってる」「一緒だ」のやりとりが、何気ない会話ですけれど、二人が通じ合っているのが分かって、いいなあと思いました。




以上になります。作品が投稿されてから、かなり時間が経ってからの感想となりますが、楽しく読みましたという報告のような感じで、書かせてもらいました。
ここまで読んでいただきまして、ありがとうございました。

















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