手術適応な状態 真珠腫性中耳炎 手術治療日記 5年3ヶ月
真珠腫性中耳炎の手術(鼓室形成術)を受けて5年と3ヶ月が経過した。
術後5年の経過をみる診察が本日だった。
メニューはCT撮影、聴力検査、診察。
予定の時間通りにCT室の受付を済ませ、待合室で待っていた。
待合室といっても、CTが撮影できる部屋3箇所くらいの前室みたいなもの。
ベンチに腰掛けている時から、何やら動悸のようなものを感じる。
まさか緊張してる?いやいや、緊張する理由がない。
なんだ、この感覚は。。。
前にCTを撮ったのはいつだっけ?前もこんな感じだったっけ?何か胸が苦しいような、不快なような。不整脈が出ている時とは少し違う不快さ。。
息苦しいともちょっと違う。呼吸機能は問題ない。
「病院に来ると血圧が上がる。」、「医師の前だと血圧が高い。」、そんな話を聞いたことがある。
けれど、私は10年以上病院で働いていて、病院という建物には慣れ親しんでいる。医師に対してもすごいとか怖いとか、特別な感情はない。人として気に入らない医師はいるけど、そういう医師に会いにきたわけではない。
なんなんだこの苦しさ。
と思っていたら名前を呼ばれた。フルネームと生年月日を聞かれた。患者取り違えの予防策なのだろう。
半年前に診察に来た時はなかったことだから、この半年で取り違えの大きめの事故があったか、ライトなミスが多発したのかもしれない。医療安全委員会はシビアだ。大きな病院だと徹底する。
CT機の台に横になり、体を固定される。
撮影の直前に、フルネームと生年月日を聞かれる。って、部屋に入る前に伝えましたよね???
視線は何やらモニターを見ているようだったので、機材の側との確認なのか?そうだとしても、あなたに伝えたさっきのチェックはなんだったのか??
数分で撮影は終了。当然だけど痛くも痒くもない。
次は聴力検査。
検査室の前にいると、問診票を書いて欲しいと渡された。
COVID-19絡みだ。
その日の体調、濃厚接触者と過ごしたかどうか、感染流行地域、海外にいったかどうか、などなど。
緊急事態宣言が出ている県名がかいてあったり、他にはPCR検査陽性者が多く出ている地域の名前が書いてあったけど、これ、状況を見て用紙を書き換えているのだろうか?
大変なコストだ。
検査で呼ばれた。またフルネームと生年月日を聞かれる。
こちらが何度も聞かれているのを察してか、検査技師さんは申し訳なさそうに聞いてきた。
私が聞いてもいないのに「この取り組みがいつから始まったか、この取り組みをしている理由」を話してくれた。納得していない男のように見えたのだろうか?
できる限りにこやかに応えたのだけど。。。
「なんで応えないといけないのですか?」と返答を嫌がる人がいるそうだ。女性に多いといっていた。世の中は色々、わからない。
聴力検査を行う。右耳はよく聴こえない。いつも通り聴こえない。
まあ、そんなもんだろう。
最後に診察。予約通りの時間に呼ばれる。
ウイルス騒ぎで来院している人が少ないのか?「3時間待ちの3分診療」なんて揶揄されたのが嘘みたいだ。大変スムーズで、時間潰しに本を読もうと思っていたのに、全然読めない。
そう言えば、CTの前に感じていた苦しさは消えていた。
CTからは、何かよからぬ信号が発信されているのか???
それとも、緊張が解けた?いや、緊張はしていない。
「お久しぶりです」と診察台に座る。
「変わりはないですか?」と主治医は聞いてきた。
「相変わらず聴こえにくいです。」と答えた。「耳の奥でメリメリとかガサガサって音が時々します。」と続けた。
聴力検査の結果を画面で見せてくれた。
「日常生活でよく聞く音の高音の方が少し聴こえにくくなっているみたいですけど、以前の結果と大差ないですね。」と主治医からのコメント。
思っていたのとちょっと違った。
もうちょっと聴こえなくなっていると思っていた。
私が普段から口にする「もともと聴こえていない」の言葉通りだった。もともと大して聴こえていない笑
耳の中の状況をファイバースコープで見せてくれた。
耳垢が鼓膜の近くでこびりついている。。。
以前も書いた記憶があるが、耳の中も皮膚の一部。老廃物を排出する。それが耳垢となる。
健全な体であれば、滞りなく対外に排出される。つまりいわゆる耳の穴の近くまで移動してくる。
まれに綿棒などでいじくりすぎていると、耳垢を奥に奥に押し込むことになって、奥で凝縮されてしまう。
私は綿棒で耳をいじるなんて、数ヶ月に一度くらい。
だから、今回の状況は「耳垢がとどまりやすい」状況を表している。
なぜとどまるのか?そこについては主治医から話があった。
「3年前の写真と比べても、鼓膜が引っ込んでるのがわかります。鼓膜が奥に引っ込んだ分、窪みができてそこに耳垢が溜まりやすいのですよね」とのこと。
ファイバースコープ上は「どこにどの程度の窪みがあるか」まではわからなかった。もちろん主治医は見当をつけていると思う。
鼓膜が奥に引っ込んだことで、耳垢を産生する皮膚の表面積が増える。耳垢がよく作られるのに、とどまりやすい構造になっている。
今回の話で得られた事実。
この事実は「真珠種」を形成するには十分な因子だ。。。
そしてCTの画面。
残念ながら頭部の、しかも耳の断層写真は見慣れていないので、一目見ただけではわからなかった。(脳や膝関節や股関節の断層写真は何百回と見たのでおおよそトラブルがわかる)
主治医の説明によると、鼓膜が奥に引っ込む原因として考えられるところがあるのだそうな。
私の耳は「中で広い空間がある」らしく、次に手術するとしたら「骨を削って、その骨で空間を埋める」と言っていた。
そう。次の手術が現実に迫っている。
「再発したわけじゃないなので、緊急ではありません。お好きなタイミングで手術をしましょう。」
さらりと言われた。私の主治医はこういうのをさらりと軽い感じで言うので好きだ。「おおごと」な感じが全然しない。
「お仕事の都合は?」と聞かれたが、10日くらいの離脱は以前も許容してもらえているので、多分大丈夫だろう。
主治医には私の本音を伝えた。
「仕事はなんとかなると思うので大丈夫です。でも、この世間のウイルス騒ぎの只中で手術はあまりしたくないですね。と、いうのは、何かあるたびに病院側も対応がコロコロ変わりますでしょ?そのあたりが、ちょっと嫌なんですよね。対策というかマニュアルみたいなのががある程度は確立されていた方が、こちらとしては不安が少ないんですよね。なので、急ぎじゃないのなら、周りが落ち着くのを待ちたいです。それは感染者数という意味ではなく。」
主治医は気持ちを汲んでくれた。と、いうより医療者側も同じ思いみたいだ。
「わかります。今も、急ぎの人じゃなければ手術を遅らせている人はいます。不顕性感染している人が全麻(全身麻酔)の手術をして抵抗力が下がったことで発症することもあるからです。耳の手術をしにきたのに肺炎の治療が必要になっちゃったりすると大変ですよね。。。もう1年もすればワクチン打つ人も増えると思うので、様子を見ていいと思います。」
と、いうことで、手術の日を決めるでもなく、診察は終了した。
目で見える範囲での耳垢を除去して、「次は6ヶ月後ですね」と。
以前だったら1年あけてもいいか、と言っていた主治医が6ヶ月ごと指定してきたのは、間を空けすぎるとよろしくない、と判断したのだろう。
それだけ、私の耳は良からぬ方向に傾きつつある。ゆっくりと確実に悪い方向へ。
「手術はいつでもいいと思いますけど、何十年も先ってわけにはいかないですね。う〜ん、耳の状況次第。手術の必要性自体は現段階でもあります。なんと言っても、この先の人生が長いですからね・・・。この状態のままだと『治りました』と言ってあげられないのですよね。」
らしい。
主治医の医師としての考え方が垣間見得た。
私は『治った』状況を強く求めていない。しかし、ただ悪くなっていく状況は止めたい。『治った』と言える日は私には来ないような気がしている。耳の構造的な問題なので。完治のない病気なんていっぱいあるから気にしていない。
術後5年の段階で、この状況。さて、私は死ぬまでに何度手術をするのか。それとも、次の手術が「根治」的な手術になるのか。
痛いんだよなあ、手術。。。
さて、本日のメニューを全て終了して、家に戻ると、妙な眠気が襲ってきた。
疲労した感じでもなく、眠たいわけでもない。けれど起きていたくない。
とりあえず眠ることにした。2時間くらい眠っただろうか?ようやくはっきりしてきた。
以前CT撮影した時にもこんな感じになった。
病院からもらった紙では、頭部のCT撮影は2.6mSvの放射線被曝が考えられるのだそうな。
関係があるのかどうかはわからない。CT撮影のない診察だけの時は、こういう感じにならない。
なんか関係があるのだろうなあ。
かといって「放射線は危険だーー!」とかいうつもりは毛頭ない。微塵もない。
生きてる以上、あらゆるサイズのリスクファクターと生きていかなきゃならないのだから。そんなの許容済みだ。
次の診察は年末だ。進行は緩やかであってほしい。急いで手術したくない。
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