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自然に触れるのが予防であり治療

朝が寒くなってきたので、薪ストーブに火を入れるようになった。

一般的な暖房器具とは違い、部屋はすぐに温まるわけではない。

細かい温度調整はできない。

「手のかかる」暖房器具だ。


でも、私にとっての薪ストーブは「ただの暖房器具」ではない。

寒い時期の沈みがちな精神を落ち着かせてくれる「友」のような存在であり、子供の頃の気持ちに戻らせてくれる「おもちゃ」のような存在でもある。

キャンプがちょっとしたブームになって、SNSに焚き火の写真を投稿している人もいる。

火を見ると落ち着くのだろう。

その気持ち、よくわかる。

私はキャンプに行かずに、自宅で火を眺めていられる。

私がキャンプに行きたくなる理由は「焚き火」がしたいからだ。

もっと言えば、「火を起こしたい」からだ。


薪ストーブを休ませている夏場は、家で火を見ることができないので、屋外でやらざるを得ない。(薪ストーブを夏場につけたら室温がひどいことになる)

しかし、寒い時は、寒さを理由にして自宅内に火を見る環境を作ることができる。


シーズンインだ。


火を見ていると落ち着くのは何故なのだろう?

海をずっと見ていられるのと、似ていると思う。

雨の日の水たまりも同じ。風に揺れる木もそう。

「揺らぐ」からかな、と思っている。

炎も、波も、雨の波紋も、枝の動きも、止まっていない。

建物をずっと見ていられるだろうか?

きついと思う。

中にはずっと見ていられる建物もある。その建物にはなぜか揺らぎを感じる。歴史ある建物に多い。

揺らいでいる炎をストーブ稼働中は見ていられるのだ。

炎の熱で体は温まり、炎を見て心が落ち着く。


炎を見ていたら気づく。

薪は1つでは燃えない。

小さい火種からスタートして、何本かの細い木で火を大きくして、大きな薪に火を移していく。

燃える木と木の間は、近すぎても、離れすぎても、炎は大きくならない。

距離感が大事なのだ。

「●cmの距離を空けましょう」みたいに設定されているわけではない。

木の大きさ、その時の火の大きさによって適切な距離は変わる。

薪同士が接近していても、隙間があれば燃える。空気があるからだ。

小さい木でもピッタリ接近していると燃えない。空気が入り込めないからだ。

綺麗に成形された薪同士では隙間が生まれない。斧や鉈で割られた歪な形をした薪同士なら隙間が生まれてよく燃える。


人間関係も同じじゃないか?

人同士の距離が近過ぎれば、息苦しくなる。酸欠で燃えない。パフォーマンスが落ちる。

同じような能力を身につけられた人(画一的な教育を受けたもの同士)がコンビを組んでも、ブレイクスルーは起きにくい。全く違うキャラがコンビやチームを組む方が面白いものが出来上がる。

歪な形のデコボコ同士が近づくと、隙間が生まれ、空気が放り込めるので、息苦しさは解消される。


薪がよく燃えて、炎が大きくなる条件と、人間がチームで仕事をいて望ましい結果を得る条件は、ほぼ同じなのだろう。

自然の法則に則っているということか??


炎以外に私の精神を安定させるアイテムに土がある。

土を触っていると落ち着く。

狩猟時代の記憶の名残だろうか?それとももっと前の四つ足動物だった時の記憶の名残だろうか?

とにかく土を触っていると気持ちが良い。

しかし、触りたい土と触りたくない土がある。

培養土みたいな人の手が多く入った土は、触っていて気持ち良くない。

何故だろう???

売っている腐葉土も気持ち良くない。枯れ葉や落ち葉は気持ちいい。


命を感じるからだろうか?


土も色々あって、砂に近いようなサラサラした土は、何も感じない。

コロコロして小さい塊みたいになっているのがたくさんある土は何故か気持ちいい。

空気を含むからか?


サラサラしている土よりも、コロコロした土の方が植物はよく育つ。

隙間があるから根が張りやすいのだと思う。

やっぱり隙間が必要なのだ。


ぎっしり詰まっているよりも隙間がある方が気持ち良い。

人間界でもそうだ。人間も自然の一部だからなのだろう。

隙間があることで空気が入る。

隙間があることで微生物が活動できる。

隙間があることで、自己ではない何かの力を借りることができる。

そうやって循環していくのが自然なのだろう。循環や流れが必要なのは水や風に気づかされる。


離れ過ぎれば機能しない。

近すぎても機能しない。

ちょうど良い距離感に注意を払いながら生きていければ、酷く病むことはないだろう、と思っている。

そういうのに気づくために自然に触れたくなるんだろうなあ。

身近にある炎、土、風、水(雨)から教わるのは楽しい。

楽しい上にメンタルが落ち着く。心が荒んでしまわないための、私にとっての予防薬であり治療薬だ。




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フクダヨウスケ
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