中耳真珠腫(再発)手術治療日記 術後翌日3

私は薬の服用があまり好きではない。人間が持っている自身のシステムが回る範囲で過ごしたいと常々思っている。その思いからすると薬は不自然な存在に感じるのだ。じゃあ、麻酔はどうなんだ?とツッコミが聞かれそうだ。麻酔を要するような事態(治療)が発生してしまった状態そのものが自然のシステムから逸脱していると考えるから、もうその状態になれば薬でもなんでも使えるものは使う所存。それで、手術が済んで痛みは感じるけどそれなりに過ごせるのであれば鎮痛剤(飲み薬)は不要だろうと考えていた。
なので、医師や看護師に「薬が出せますから遠慮なく言ってください」と声をかけられても「わかりました。ありがとうございます」と答えるだけで鎮痛剤を使うつもりはなかった。それには私の信念に加えて「鎮痛剤を使ったところで問題が解決するわけではない」という経験があるから。1回目の手術日の夜、あまりの痛みに坐薬を使った記憶がある。もはや記憶が曖昧だけど。期待したほど鎮痛効果は出なかった。だから鎮痛剤を使ったところでこちらが望んでいる効果は出ないとわかっているのだ。
そもそも、痛みの元凶となっている炎症反応は体が治るための反応の入口みたいなもの。私は回復のために甘んじてその反応を受け入れようと思っているのだ。その反応を化学物質で誤魔化そうとしたところで回復が加速するわけでもない。もちろん、脳で情報を歪めるほどの強烈な痛みであれば話は別だけど。とにかく、自分で受け入れられる範囲の痛みなので薬は使わないつもりだったのだ。そう思いつつ日中も眠っている。この異様な眠気はなんなのか。

消灯前に夜勤の看護師さんが訪室される。術後翌日の夜である私に確認する事項は全体状態の悪化がないか、痛みの程度はどうか、ということなのだと思う。痛みの認識について話し合った。お決まりの挨拶「痛み具合はいかがですか?」から始まる。
「痛みはありますけど、こんなもんだと思います。1回目の時もそうだったので。」
「ロキソニンが準備されていますので、いつでも言ってください。」
「ありがとうございます。でも、飲んだからといって痛みが軽くなったわけでもなかったのですよね。だからあまり期待していないのです。今回薬飲んで効果があるかはわかりませんけどね。日中も薬飲まなくても眠ってしまいました。夜も眠れるのではないかと思っています。」
「薬の効果だとしても他の理由だとしても、夜は眠れたほうがいいと思います。飲まないで眠れない夜を過ごすより、プラセボ効果だとしてもなんの効果だとしても眠れたほうがいいと思いますよ。」
めちゃくちゃ薬を推してくる。別に診療点数に変わりはないはずなのに。なぜなら処方された時点で診療報酬が発生していて、私が薬を使わなくても診療点数が請求できる。これだけ大きな病院だしたしかDPCの病院だったはず。包括されているんじゃなかったか?この人は収益のために言っているのではなくて自らの職務を全うするためと患者の回復のために言っているのだなあ、と感じた。この看護師さんは手術前に私の左手にルートを取るための針を後輩の代わりに一発でヒットさせたベテラン風の人だった。激推しされているし今回は飲んでみようか、と思ったので1錠持ってきてもらった。

患者のQOLを第一に考えた提案を受け取ったので、薬を飲んで様子を見ることにする。この看護師さんの提案に反論するつもりはなく納得もしたので。さて、結果はというと4〜5時間は眠れたようだった。深い眠りを味わった感じがした。鎮痛剤の薬効と言えるかもしれない。そのあとは2時間おきくらいに目が覚めていたので鎮痛剤の効果を認めよう。私の安眠のために鎮痛剤は効果を出してくれた。激推ししてくれた看護師さん、ありがとう。

さて術後翌日の症状としては
耳の奥の痛み
術創部の痛み
頭を締め付けている包帯の痛み
ベロの麻痺
口が開かない
声がかすれて音が出にくい(全身麻酔して挿菅した影響)
耳の奥で排液されている(ジュクジュクと音が聞こえる)
といったところ。

これらの症状は日にちとともに治っていくので手術前の人でこの文章を読んでいる同じ疾患の人(同志)がいたら安心して欲しい。最初だけです。長くは続きません。

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フクダヨウスケ
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