やる気ゼロでも勉強するしくみ9
⑨計算を反復してみたら・・・計算力の先にあるもの
百ます計算の生みの親
一般に、小学生で算数のできない子というのは、
計算力が劣っている子です。
岸本裕史 著 『見える学力・見えない学力』より
百ます計算の生みの親で、陰山先生の師匠、
岸本裕史先生。
神戸市小学校教諭を長年務め、1990年に退職。
著書『見える学力・見えない学力』『確実に学力をつける家庭学習法』など。
「百ます計算」は、昭和40年代頃、
岸本先生のクラスの児童の発想によって生まれたそうです。
5分ほどで100問の計算ができるし、
コンパクトなのでプリント1枚でおさまるし、
問題作りも簡単なのでわざわざ問題集を買う必要もないし。
百ます計算は、コスパ最強!
今では、陰山英男さんの『徹底反復百ます計算』がベストセラーとなり
「百ます計算」と言う学習法は一気に有名になりましたね。
百ます計算のデメリット
そんな百ます計算ですが、
当時は批判の嵐だったようです・・・
私と百ます計算を批判するために、
百ます計算の指導していかにそれが駄目だったかを集めた実践集。
実践集とは普通良い実践を集めたものです。
駄目実践を集めたものは他にありません。
こうまでして徹底してつぶしにかかる。
そのおぞましさにゾッとしました。
時は学力低下批判の最中、たいへんでした。
陰山英男ツイッターより
https://twitter.com/Kageyama_hideo/status/1117775221736370178
薬だって副作用があるものもあります。
どんなものにも、デメリットはありますよね。
「大量の計算問題」「タイムを競う」
これは子供に負荷をかけ、ストレスを与える可能性がある、
特に教師からの激しい批判を受けたようです・・・
「十ます計算」は量を減らしただけではない
家庭で子どもに勉強させるときには、
「子どもと一緒に楽しむ!」ということを
いちばんに意識してほしいとわたしは思っています。
https://kodomo-manabi-labo.net/tetsuyoshisugibuchi-interview-04
これは「教育の鉄人」と呼ばれた杉渕鐵良先生のインタビュー。
杉渕先生のモットーは
「どの子も見捨てない」
杉渕先生も百ます計算の使い手ですが、
先生は百ます計算の前に、十ます計算から始めることを提案されています。
最初は、縦に10個のますを書き、
ますの上に、「0」を書きます。
つまり、0の十ます足し算から始めるのです!
0+1=1、0+2=2・・・
と計算していくわけです。
タイムも測るのですが、
そこではほんのちょっと、「おまけ」をするんだとか。
例えば、「よーい、スタート」と行って1、2秒してから
ストップウォッチを開始させる、など。
これなら10秒でできます。
苦手な子も、早いタイムがでます。
子どもは「できた!」「もっとやりたい!」と言うそうです。
さらに、十ます専用のドリルまで出版されています。
『たし算ひき算 10マス計算ドリル 左利き用』
杉渕鐵良 著/学研プラス(2019)

「こんなことして意味ある?」
確かにこれだけで計算力がアップするとは
思えませんね。
でも、ゴールはそこではないんです。
『十ます計算を10秒でやる』
これは、集中力と習慣化の第一歩。
たった10秒でさえ集中できな子供がいます。
まずは10秒集中する。
そして、1日しかやる気が持たない子もいます。
たった10秒なら、次の日もできます。
こうして毎日続けると、十ます計算が習慣になります。
10秒を集中して、毎日できるようになったら、
二十ます計算、五十ます計算と
ステップアップしていくのです。
最後にたどり着く場所が、早くて正確な計算力。
と言うわけです。
計算力のその先にあるもの
計算の効果は2つ。
1 数量感覚が磨かれ、数量認識が的確になっていく
2 成果が見えることで、自信がつく
一つは、計算の技法を追々理解していく中で、
数の仕組みとか、数感覚といったものが育っていくこと。
二つめの効用は、何といっても
子供自身が、まさに己の努力によって、
答えが全て正しく書けるようになり、
高い成績をときには取るようになること。
岸本裕史 著 『見える学力・見えない学力』より
計算力をアップさせることが
ゴールではないんだなと思います。
その先に向かっているのですね。
2年間続けてみて
計算の練習を終始くり返すことによって、
思考速度が早まりますし、少々困難なことでも、
力を集中して克服しようという意思の力も鍛えられます。
岸本裕史 著 『見える学力・見えない学力』より
息子ハルは、2年間百ます計算を始めとする
家庭学習を続けてきました。
そこで起こった変化は、まさにコレ。
『集中しようする意思』
百ます計算だって、小2の頃は5分以上かかっていました。
今は、2分30秒!
タイムが縮まったのは、計算が早くなった、
数の概念が分かってきた、と言う理由もありますが、
それ以上に、集中して計算できるようになったことが
大きな要因の一つとなっていると思います。
『やる気ゼロでも勉強するしくみ』は
百ます計算の学習に集約されています。
2年間息子の家庭学習を続けてきた母親として
いちばん強く思うのは・・・
勉強とは道具。
目的は、その先にある。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?