人間に完全はない。

 先日、警察が逮捕、検察が起訴し、その後一年以上経ってから起訴が取り消される類稀な冤罪事件「大川原化工機事件」の特集をNHKスペシャルでやっていた。容疑をかけられた人が、疑いがはれる前に亡くなる、痛ましい事件だった。

 冤罪は、捜査機関が、見立て、「これは、これこれこういう事件で、被疑者は誰それだ」と決めたら、そのための証拠、情報に躍起になり、真実と向き合うことをおろそかにすることが原因だとよく言われる。
 
 自分のストーリーの通りにコトを運ぼうとすることは、広く社会の至るところで見られることだが、私は、これらは人の弱さ、甘さ、不完全性が原因ではないかと思う。もちろん、公権力を行使する捜査機関には、真実に迫る極めて高度な姿勢が求められることはいうまでもない。したがって、何か誤りがあった時は立ち止まる勇気、引き返す勇気を持つべきであることは論を待たない。しかし、人間は完全、完璧はなく、常に弱さ、甘さを抱えているものである。だからこそ、冤罪を防ぐことは、刑事司法関係者の資質に頼るのではなく、制度として、仕組みとして確立されなければならない。

 人間に完全はない。こうした根本的なところから、冤罪、誤りを正す、再審の法改正について、一歩踏み出そうと思っている。

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