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「現成受用」困難から逃げずに生きる

#上川陽子 さんを応援する中で、6年前、一連のオウム事件の死刑執行のことが思い出される。

執行後、かなりの日数が経ってから上川さんの部屋を訪ねた時に、「厳粛な記者会見でした」とだけお話ししたことがあった。ご本人からほとんど言葉はなく、以来、私はこのことを言わないことにしてきた。

オウム事件の死刑執行は、6年前の7月、二度にわたって行われた。その最初の上川さんの記者会見を改めて動画で見ると、約一時間、質問が尽きるまで行われている。そのほとんどは、従前の死刑執行会見と同じ答弁だったが、質問する方からも緊張感が伝わる。今、動画を見直しても、その緊張感は変わらない。

上川さんの、「鏡を磨いて磨いて・・・」との言葉が当時よく取り上げられたが、あの言葉は、それ以前の死刑執行の会見から使われてきた言葉で、あの時が初めてと言うことではなかったようだ。

もう一つ、記者から、「平成を象徴する事件だと思うが所感があれば」という質問が出ていた。

この質問に対し上川さんは、「様々な時代の中の事も考えながら、そして、これからの事も考えながら、一つずつの事件について慎重の上にも慎重に、先ほどを重ねて申し上げますが、鏡を磨いて磨いて磨いて磨き切ると、こういう気持ちで判断をさせていただきました」と答えている。

当時、すでに平成天皇のご退位が固まっていて、「元号が変わる前に、オウム事件の死刑が執行されるのではないか?」という噂話を、私は執行の何ヶ月も前に聞いて、聞き流したことがあった。だから、この質疑応答は記憶に残っている。

真偽を確認するつもりはないが、「これからの事も考えながら」という一言が上川さんの思いにあったのではないかと思う。

オウム事件の死刑執行は、上川さんが法務大臣に就任した際は、検討もされていなかったと思うが、さまざまな経過を経て、その職責が回ってきて、上川さんは、「現成受用(げんじょうじゅよう)」の思いで職責を果たされたのではないかと思う。

「現成受用」は上川さんがよく使われる禅の言葉で、世界の成り行きをありのままの形で受け入れて、困難から逃げずに生きるという意味とのことである。

今度の総裁選も、上川さんは、初めての女性総理など様々な期待や、党や政治に対する厳しい声に対し、現成受用の思いで立候補しようと奮闘している。困難から逃げず、政治の新しい景色をつくるために。そんな時に、そばで応援できることは、私にとってかけがえのないことである。

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