東山魁夷と作品タイトル
「風薫る五月」。私は一年でいちばん、五月が好きです。気候もちょうどよく、新緑が眩しい、太陽が煌く美しい季節。
この時期に思い浮かべるのが、東山魁夷の作品『緑響く』です。
有名な作品なのでご存知の方も多いかと思いますが、新緑の美しい木々が、澄み切った池に反射して、いちめん緑の世界に白馬が一頭、優雅に歩いているという、とても幻想的な作品です。
この絵を観ていると、時間を忘れ、その美しい世界にずっと浸っていたい気持ちになります。
他の作品もどこか懐かしさがあるけれど、この世ではない、どこか違う世界の物語に入り込んだような、不思議な魅力のあるものばかりです。それと、絵自体の素晴らしさに加え、作品タイトルもまたとても素敵なのです。
《残照》
《緑響く》
《秋翳》
《映象》
《冬華》
《月篁》
《花明り》
《山雲》
《濤声》
《月宵》
《彩林》
《光昏》
《木霊》
《青響》
《黄輝》
《白暮》
《春静》
《秋寂び》
《夕星》
初めて目にするものも多く、また読み方さえ分からないものもありますが、その漢字から何となく景色が連想されるますよね。この言葉のセンスも素晴らしいな、と思いました。なんて、シンプルで美しい日本語の数々...。
また、私は絵画を観る時に音楽を聴きながら観ることも多いのですが、2018年に国立新美術館での東山魁夷展では、阿部海太郎さんの「Cahier de musique / 音楽手帖」を聴いていたことをよく覚えています。
NHKのテレビ番組(「世界で一番美しい瞬間(とき)」「京都人の密かな愉しみ」「日曜美術館」「ふれなばおちん」)のために書き下ろした楽曲を1枚のアルバムにまとめた作品です。特に、「世界で一番美しい瞬間(とき)」の音楽は素晴らしくて絵画鑑賞にもってこいなので、おすすめです!
美しい絵画、美しい言葉、美しい音楽。あぁ、幸せ♡。
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