薄明光線

10月に入りまた暑さを取り戻した昨今、皆々様方はいかがお過ごしでしょうか。私はいまだに冷房を乱用しております。
いい加減夏の暑さを忘れたいなと思いつつも、太陽様はアホなのか出たがりなのか、曇りの日ですら一生薄明光線の晴れ間でニコニコしてやがる。マジで勘弁してほしい。

これは僕個人の感想なので世の中には様々な意見があるとは思うが、暑いより寒いほうがまだマシだ。暑いのはどれだけ脱いでも何ともならない場合が多いが、寒いのは正直何とかなると思っている。
こと日本においては、冬の寒さってのはある程度服を着込めば何とかなる。「服を着ていても末端部分は寒いだろ」と言われれば確かにそうなんだが、それは末端部分に効率よく暖を取る手段が殆ど無いからだ。とはいっても末端部分ですら暖で覆い隠すことはできる。スマホが触れない等のちょっとした弊害は起こるだろうが、暖房が効いていなかろうが暖をとりながらバスに乗って移動はできるよな。スマホさえ我慢すれば、暖は取れるってわけだ。

それに対して夏の暑さはどうだろう。まずスマホを触っているとスマホが熱を帯びる。その暑さですら耐えられないのである。
っていうか夏の暑さってのは先ほども書いたが、多くの場合、服を脱いでも何ともならない場合が多い。
全裸で団扇を扇いでも、空気が暑ければ体が冷えることはない。夏の暑さはどうにもならないのである。
よしんば夏の暑さを何とかする方法を考えてみたところで
①めちゃくちゃ冷たい水を常に浴び続ける
②冷房をかける

くらいしかないわけだ。
これを先ほどの「暖房の効いていないバス」の例に当てはめて考えてみよう。
(注:対比するために、夏の場合だと「冷房の効いていないバス」と仮定する)

まず、バスの中にいる時点で①は無理だよな。たとえ冷房が効いていなかろうが、バスに乗るときは水浴びはできない。
まず最初に運転手がそういう人間の受け入れを拒否するだろうし、
どんな異常者でも乗客として認識してくれるタイプの少し変わった運転手さんだったとしても、そのバスの乗客は必ず全員嫌な顔をする。
めちゃくちゃ冷たい水で車内をビショビショに濡らしながら水浴びをする乗客が隣に座ってきたら、たまったもんじゃないはずだからだ。
故に、めちゃくちゃ冷たい水を常に浴びながらバスに乗ることは不可能ということだ。

次に②を考えてみよう。まあでもこれも「冷房の効いていないバス」という前提の時点で破綻しているな。冷房が効かないバスな時点で、冷房をかけることが不可能なのである。小学生でもわかるロジックである。
もちろん、冷房の効いていないバスの車内だからといって全裸になることは許されないし、全裸になったところで全然涼しくならない。冷房はついていないのに、前科だけがつくのである。バスの中で全裸になるのはデメリットしかない。

そもそも夏という時期になると人間の神経がバカになってしまう(※1)ので、空気を一新する以外の方法で体を冷やすことが最近できなくなっている。
これも一昔前ならまだギリギリ何とかなるレベルだったのかもしれないが、昨今の暑さ事情においてはマジで本当に究極的に、どうにもこうにも全くもって如何なる状況で熟慮していっても、況や須らく蓋し二進も三進もいかないのである。
※1……人間は愚か

っていうか"体を冷やすために汗をかきまくる"っていう異常なシステムを未だに身体機能として採用しているのもおかしいし、何なら最近は汗臭すぎるとライブの席番号がSNSに晒されてしまうような時代だ。汗をかくという行為には、衛生的な観点からしてかなり渋いものがある。
このように、"夏の暑さ"というのは人間の永遠の課題、要するに命題だ。
冷房というシステムを開発した人たちのおかげで僕らは夏場の暑さをしのぐことができているということ、決して忘れてはいけない。

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