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海外取引の始め方と、始めるときに陥る6つの課題

目まぐるしく変化・加速の一途をたどる国際経済。国内での事業拡大に頭打ちを覚え、海外へのエリア拡大を要する企業も増えています。今回は、「海外取引をやりたいが、何から始めていいのかわからない」という方向けに、総合商社10年以上の筆者が海外取引の始め方や抑えておくべき6つの課題を紹介していきます。

そもそも、なぜ海外取引をするのか。よく起こりがちな見切り発車

先ずは、なぜ海外取引をするのかを明確にしておくのが実は非常に重要だったりします。後述しますが、海外取引は残念ながら国内商売の延長でできる場合もまれにありますが、ほとんどはそのケースに当てはまりません。

縮小傾向にある日本市場から海外に目を向ける事業者が多いのは事実です。ただ、その目的を明確に定義して、時間軸と投資額、人的リソース配分まで落とし込んで体系的に取り組んでいる事業者の数は多くないという実態があります。つまり、この点をしっかりと詰めることは差別化要因となります。

要は、海外取引におけるゴール設定と要件定義がうやむやな状態が多いということです。

最初に確認すべきポイントは、​​市場選定と市場調査

自社製品の特性や海外取引の目的を踏まえてどの地域、国、市場を攻めるべきか仮説を立てて、その仮説が正しいかを検証しながら市場調査を行います。一方で気を付ける必要があるのは市場調査が完璧でも実際に売れるのかは別物という事実です。よく大金をコンサルに払って市場調査を実施したが、ビジネスには繋がらなかったという話を聞きますが、調査と実行は別物で求められる能力要件が異なるケースが多く、多くの事業者はこの点を別々でやっており、シームレスに調査と実行が繋がらないのです。我々は出来る限りこの問題を減らすべく、両方できるパートナーとシームレスにやり切ることをオススメします。

海外取引の難しさを実感する、6つの課題

晴れて実行フェーズに移ったタイミングでも海外取引にはいろいろな障壁があります。主に以下で6つあげて夫々説明させてください。

課題1 情報の偏在、非対称性 〜ほしい情報にたどり着くまでが遠い〜

市場には常に売り手と買い手がおり、両者の情報量には常にギャップがあります。これが海を挟んだ海外との取引となると更に拡大します。例えば、日本国内であれば市況を調べることができたりしますが、海外の特定製品の市況を調べるとなると格段に難易度はあがります。

また、中間業者を挟んでいたりすると海外の買い手と中間業者のやり取りを又聞きで聞いたりするので情報は更にクローズドになり、情報の非対称性が増します。中間業者にとってはこのギャップが増えると中間マージンの源泉になるという側面もあり、海外取引は意図的に不透明性さが放置されているという事例が多くあります。

課題2 コミュニケーションの壁 〜言語や商習慣の違い〜

これはイメージしやすいと思いますが、言語や商習慣が異なることで適切なメッセージデリバリーができない、相手のニュアンスや意図を正確に把握できないというケースがあります。

課題3 商流の固定化 〜まだ、ここにない出会いばかり〜

既存の商流があるとその商流の中にいる人はそれ以外の商流を探すインセンティブが少ないという場合が結構あります。新しい取引先を見つけて成約に至るには多大なる労力がかかるのです。それよりも今流れている商売を優先するのは手間と効率を考えると中間業者としては合理的な場合があり、日本の事業者に十分な取引機会を提供できていない場合があります。

課題4 サプライチェーンの複雑化 〜迷路と化した商流と体制〜

グローバル化や分業制でサプライチェーンはグローバルに広がり網の目のように絡み合っています。政情不安、疫病、天災などの事態が発生するとこの網の目の一部が詰まり、全体に影響を与えます。加えて、昨今の環境意識の高まりや人権問題への取り組みもあり、取引相手に留まらず、その関係会社も含めてクリーンなチェーンが構築できているかが重要となりますが、これは大手企業でも多額の投資をして対策している領域で難易度が高いです。海外との取引数が多くない中小企業でも海外の会社がどういったところと取引しているのか、コンプラ上の問題はないのかなど、財務上の与信だけでなく、そのような観点からも評価していくことが自社を守る事になります。

課題5 業務の煩雑さ 〜専門的な知識とドキュメント〜

これは言わずもがなですが、海外取引は海外の会社だけでなく、日本でも乙仲だったりフォワーダーだったり、商社だったりと関係者多く且つ作成する書類が多いことに加えて専門性が求められるので業務が煩雑になる傾向があります。

課題6 リスクの肥大化 〜多岐に渡るリスクの危機〜

海外向けでは、決済リスク、カントリーリスク、輸送リスクなど、様々なリスクが存在して、国内とは違いある程度ロットも纏まる傾向にあるのでリスクは高くなります。

では、どう進めるべきか?

正直各社によって答えは異なると思います。上述した通り、海外取引の実現にはある程度の投資が必要ですし、戦略策定と実行が重要です。自社がどれだけの予算とリソースを持っているかによりますが、上述通り調査、戦略策定フェーズと実行をあまり分けずに一気通貫に進めていく事が一つ重要なポイントだと思います。

我々は、進め方から一緒に考えます!


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