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透析初日に怒鳴られた患者さんから学んだ、賢い患者になるための2つの秘訣
こんにちは!透析看護師のようです!
20年間、透析病院で勤務し、1000人以上の患者さんと寄り添ってきました。
この経験を通して得た知識や情報を、今後は皆さんと共有していきたいと思っています。
どうぞよろしくお願いします。
今回は、透析治療を十分に理解できないままスタートしてしまった患者さんとの出会いから学んだこと、そして、後悔しない選択をするために必要な準備についてお話します。
そこから、賢い患者になるための簡単なポイントを2つご紹介します。
初日、怒号が響いた透析室
先日、私の病院に維持透析で転院されてきた80代の男性患者さんのことです。初日の透析中、突然、大きな声が透析室に響き渡りました。
「お前なんだ!!こんなところに俺をしばって、許さんぞ」
「ここはどこね!」
透析中、透析をするための針が入っている腕何度も曲げており、抜針事故になるのであぶないのです。
「すみません。手をまっすぐにしていただけますか?」
私は何度もお願いしましたが、患者さんの怒りは収まりません。内心、「怒っても透析は続くんだけどな…」と思いつつ、どうしたものかと困惑していました。
翌日ご家族が来院
初日の内容は少しお話させてもらったのだけれど、別件で来院していただいたので、自宅の状況や導入した時のお話を聞かせてもらいました。
患者さんは少し認知症を患っており、透析は入院している時だけの治療と思っているとしか認識していないことが判明したのです。
ご家族も、透析生活への、不安や疑問を多く抱えていて一つ一つ丁寧に説明して、安心して帰っていただきました。
説明理解が不十分で招いた結果
透析導入時は、尿毒症の影響で全身がむくみ、思考力も低下していることが少なくありません。そのため、患者さんもご家族も、十分に理解できないまま透析が開始されるケースが多いのです。(事前に透析になるかもよといわれていたかもしれないけども)
もちろん、入院中に透析での生活の説明は病院側もしっかりしていると思っています。
現実は、維持透析で転院してきた患者さん、ご家族はよくわかっていないことが多いのです。
患者さんの安心できる場所づくり
当初、看護サイドでは、患者さんの年齢を考慮し、透析生活の説明はご家族のみにしようという意見もありました。しかし、今回の出来事を経て、患者さん自身にも、「自分は透析の治療をしているんだ」との意識を持ってもらうために、あえて、透析生活の説明を行うことに。
説明の中で、患者さんの昔の生活や今の気持ちを伺いながら進めていくと、だんだんと険しかった表情がおだやかに。
「昔は給料が手渡しでね、給料日には飲み屋のママたちが玄関前で待ち構えていて、よく裏口から逃げていたんだ」
そんな昔話も飛び出し、透析室は和やかな雰囲気に包まれました。怒鳴り散らしていたのは、あの時だけ。人は、置かれた状況を理解できないと、不安や恐怖を感じてしまうものだと改めて痛感しました。
医者の話を聞く前に準備することは2つだけ!
この経験から、医療者側は「説明理解の不十分さ」を解消するために、更なる努力が必要です。同時に、患者さん自身も少しの準備をすることで、より深く理解できるようになるでしょう。
そこで、賢い患者になるための2つの簡単なポイントをお伝えします。
情報収集:ネットでみて、わからないことはメモして聞く。
今はインターネットで様々な情報を手軽に収集できます。透析に関する情報も同様です。ある程度の知識を持って医療者に質問することで、より具体的な質問ができます。
例えば、「透析にはどんな種類があるのか」「食事で気を付けることは何か」など、疑問に思ったことをメモしておきましょう。
メモや録音を用意する:一度で理解するのは難しいから記録する
医療者からの説明は、かみ砕いて説明をしてくれますが、専門用語があると、一度で全てを理解するのは難しいものです。そのため、説明をメモしたり、録音したりすることをオススメします。後で振り返ることで、理解が深まりますよ。
ただし、録音を嫌がる医療者もいるため、事前に理由を添えてから行うようにしましょう。
まとめ│病気は自分の持ち物
病気は自分の持ち物です。病気の種類や内容を把握することは必須です。
情報を収集し、質問し、記録することで、病気と向き合い、より主体的に治療に参加できます。
わからないことや不安なことがあればご相談ください。