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フレグランスのデジタルシフト [VOGUE Business 2020年10月2日]

VOGUE BUSINESSの記事を翻訳しています。

これは昨年の記事ですが、オンライン対応を急遽迫られ、どのように対応したかということがよくわかる記事です。記事の中にもありますが、視覚や聴覚ではなく「嗅覚」を使うフレグランスにとって、オンライン化は難しい側面も多くあります。

私も昨年からオンラインメニューをスタートしました。

DRESS CODE」(ドレスコード)というサービスで、洋服の写真を送っていただき、色や形、生地の種類や着る場面に基づいて香りを創るというものです。

記事の中では、「消費者は、オンラインではよく知っているものしか買わない」とされていますが、前述の「DRESS CODE」は、どんな香りができるか到着するまでわかりません。それでもご購入くださる方がいらっしゃいます。ビスポークというサービスに魅力を感じてくださっているのかもしれませんが、日本の消費者は香りに対して意外とチャレンジ精神旺盛です!

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フレグランスのデジタルシフト

新型コロナウイルスの危機を受けて、フレグランス企業はついにデジタルを取り入れた。


BY JESSICA SCHIFFER
2020年10月2日 

デジタルシフトを実現する前提として、世界的なパンデミックが起きたことはここでは考えない。フレグランス業界はようやくオンラインショッピングに対応できるようになった。

NPD(マーケティングリサーチ会社)によると、店舗が閉鎖して再開が遅れたことにより、今年1年間のアメリカにおけるフレグランス全体の売上が21%減少した。しかしオンライン販売は、2019年の19%から今年に入って33%へと倍増している。この急増は、これまでeコマースへの対応が遅れていたフレグランスブランドが、コロナ禍でデジタルを強化せざるを得なくなったことを反映している。

NPDの副社長兼美容産業部門アドバイザーであるラリッサ・ジェンセンは、「これは全員に対する警鐘だ。ブランドが改革するチャンスがあるとすれば、それは今しかない。」と話す。

3月に新型コロナウイルスの出現がアメリカで報告されると、Nest Fragrances社は店舗での販売をすべてデジタルにシフトした。新たに力を入れたのは、オンライン広告と人材採用である。新しい人材に求めたのは、自社サイトの顧客分析を行い、他の小売店のバイヤーと協力して商品ページを最適化させることだ。CEOのマリア・デンプシーによると、今年はオンラインビジネスを2倍にすることを予定している。

ロレアル社では、フレグランスチームも同様にデジタルファーストに移行し、マーケティングからCRMまでのチームがこれまで以上に協力し合い、一人で抱え込まないようにする仕組みを展開した。また、多くのビューティブランド同様、店舗の販売員の一部をオンラインのカスタマーサービスに移行した。

ロレアル アメリカのデザイナーズフレグランス部門マーケティング担当SVPであるローラ・アザリアは、次のように語る。「実店舗の閉鎖は確かに難しい問題だったが、デジタルビジネスを強化することで打開した。その取り組みはすでに始まっていたが、最大限のシナジー効果を生み出すためにチームや仕事のやり方を再編成した。」

努力が功を奏し、パンデミックのピーク時には、フレグランスのオンラインセールスが増加した。ロレアル社のアメリカでの全売上高のうち、最初の2ヶ月間は17%だったが、3月から6月にかけては46%にまで上昇した。しかし、店舗の再開に伴ってオンラインでの売上は減少傾向にあり、売上の29%程度となっている。これは、実店舗での売上が予想以上に回復したためと考えられる。Viktor & Rolfなど一部のブランドでは、オンライン売上が3桁台の伸びを続けているとアザリア氏は話す。

パンデミックの有無にかかわらず、今後の成功にはオンラインでの成長を維持することが重要だ。しかし、ビューティのカテゴリーの中でも嗅覚に訴えるフレグランスは、オンラインの世界に適応するのが特に難しいと言われている。ジェンセン氏は次のように語る。「顧客は買う前に商品を試したり、香りを嗅いだりしたいため、フレグランスは店頭でのショッピングに適している。このような状況を打開する一つの方法として、新製品の発売を控え、ドルチェ&ガッバーナの『ライトブルー』やシャネルの『No.5』など、顧客に親しまれ愛されている定番商品の販売に注力することが挙げられる。オンラインは補充チャネルとして最も効果的である。」

Nestとロレアルの両社は、ここ数ヶ月の間に自社の販売においてこのような行動が見られた。「消費者は知っているものを使い、新しい香りを試そうとしない」とデンプシー氏は言い、Nest社の2つのベストセラーの香り、バンブーとグレープフルーツがパンデミック期間中に最も人気があったと指摘する。ロレアル社では、Viktor & Rolfの大人気商品であるFlowerbombがブランドの成長を大きく牽引している。ラルフローレンも、デジタル中心ではないにもかかわらず、デジタル市場のシェアを伸ばしているとアザリア氏は話す。その要因は「Ralph Lauren Polo Blue」や「Ralph by Ralph Lauren」などのクラシックな香水に対する消費者の関心が高いためである。「オンラインで買い物をする際、消費者は自分が知っていて信頼できるものを求めているという事実を証明している。」

セルフケアに焦点を当てたリマーチャンダイジングも、この時期のフレグランスブランドには有効であった。ジェンセン氏によると、キャンドル、ディフューザー、ポプリなどのホームフレグランスは、このカテゴリーにとって救世主となっている。カテゴリー別の売上高が9%増加し、特にキャンドルの売上高は前年同期比で17%増加したと指摘する。「家の中でスパのような快適な環境を作るために、人々は自分のためにちょっとした贅沢をするのだ」

Nest社では、オードパルファンの売上が伸び悩んでいる。デンプシー氏は、オードパルファンの価格が74ドルから128ドルと高いことと、体につける香りを新しく買おうという気持ちが、キャンドルの形で燃やす香りに比べて低いことを理由に挙げている。一方で、芯が3本入って22オンス(約624グラム)近くあり、価格も68ドルと高い一番大きなキャンドルは、在庫が確保できないほどの売れ行きだ。ロレアル社も同様の傾向があり、メゾン マルジェラやアトリエコロンなどのブランドのホームフレグランスを中心としたマーケティングを強化している。最優先事項ではないが、ロレアル社は他のブランドでもホームフレグランスカテゴリーをさらに拡大することを検討している、とアザリア氏は述べている。

このパンデミック期間にロレアル社が力を注いだのは、消費者が香りを「試す」「体験する」方法を再構築することであった。オンラインでは、写真やコピーを刷新して、香りが実際にどのようなものであるかをよりよく伝え、自社サイトや他の小売店でのサンプル提供を増やした。アトリエコロンでは、ディスカバリーセットを35ドルで購入すると、次回の購入時に割引される仕組みになっている。また新製品の発売については発売前のサンプリングを強化し、正式な発売時にはすでにオンラインでカスタマーレビューが掲載されるようにしている。

さらに店頭のテスターを見直し、テスターに触るのをためらう買い物客が、QRコードを使うことで香りの詳細情報を見られるようにした。プラダやコムデギャルソンなどの香水を手がけているプイグ氏は、イギリスとアジアのペンハリガンのブティックで同様のプログラムを試験的に実施している。

NPDによれば、通常フレグランスの売上の40%を占める冬のホリデーシーズンに売上を維持するのに、これらの変化が十分であるかどうかはまだわからない。消費者がオンラインで買い物をする機会が増え、配送の遅れが懸念されることから、Nest社は例年より早い9月中旬にホリデープロモーションを展開しており、この期間の売上は横ばいかわずかに伸びると予想している。

今年の母の日(5月10日)と父の日(6月21日)の売上が予想を上回ったことから、NPDのジェンセンは期待を寄せている。「消費者は今年、旅行や外食などの体験を大幅に減らしたため、使えるお金が増えている」

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原文はこちら
https://www.voguebusiness.com/beauty/fragrance-the-shift-to-digital

画像:VOGUE BUSINESS


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