調香師インタビュー:Julie Massé/ Vanilla [NEZ 2021年8月30日]
NEZ Magazine Webの記事を翻訳しています。
今年6月に出版された本、From Plant to Essence – A World Tour of Fragrant Raw Material (Français-English, Nez éditions, 2021) にも掲載されている、天然香料についての調香師の方へのインタビューです。
今回の調香師はJulie Massé、テーマはVanilla(バニラ) です。
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Julie Massé:「バニラは比類のない残り香、個性、ボリュームを生み出します」
By Anne-Sophie Hojlo
2021年8月30日
Julie Masséは2010年にManeのパフューマーとなり、Mathieu Nardinとグタールの「Le Temps des rêves」、Christine Nagelとジョルジオ・アルマーニの「Sì」、Cécile Mattonとアルマーニ・プリヴェの「Thé Yulong」と「Pivoine Suzhou」、そしてカルバン・クラインではVéronique NybergとRalf Schwiegerとの「Eternity for Men Cologne」などを手がけてきました。
バニラというと何を思い浮かべますか?
バニラは原料としては逆説的で、誰もがその香りを知っていると思っていますが、実際には多くの人が化合物のひとつであるソフトでパウダリーなバニリンを思い浮かべています。アブソリュートの香りを嗅いでもらっても、それが何であるかわからない人が多いのです。バニラは、調香師にとっても驚きの連続です。緑の鞘には匂いがないと言われています。しかし、マダガスカルの倉庫に行ったとき、加工前のバニラの緑の鞘から太陽のようなスパイシーさを持った素晴らしいホワイトフローラルの香りがすることに衝撃を受けました。
バニラの抽出方法の違いによって、どのような香りのニュアンスが感じられますか。
鞘から揮発性溶剤で抽出したアブソリュートは、リッチで複雑な香りです。ウッディで、わずかにレザーとタバコの香りがあり、オイゲノールのようなスパイシーさも感じられます。一方、超臨界流体抽出法で作られたJungle Essence(Maneの商品名)は、ソフトで鞘に近い香りです。同じプロセスで作られたPure Jungle Essence(Maneの商品名)のバニラオイルは、アニマリックでクレゾールのような香りがします。さらに、水とアルコールの混合液に鞘を浸して作るインフュージョンもあります。こちらの方がマイルドで、価格も手頃なため、多くの量を使用することができます。
バニラはコンポジションに何をもたらしますか?
バニラの寛大さと官能性は、丸みと安らぎをもたらし、とげとげしい香りを和らげてくれます。私は、ウッディ、レザー、スパイシー、ミネラルなどのアコードで発揮されるバニラの魔法が特に大好きです。贅沢な原料ですが、ほんの少しだけで、比類のない残り香、個性、ボリュームが生まれます。ジョルジオ・アルマーニの「Sì」では、Jungle Essenceのバニラが香水に個性とボディを与えています。
Mane社の詳しい情報はこちら: www.mane.com
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(画像:NEZ Magazine Web)
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