調香師インタビュー:Yves Cassar/ Vetiver [NEZ 2021年9月21日]
NEZ Magazine Webの記事を翻訳しています。
今年6月に出版された本、From Plant to Essence – A World Tour of Fragrant Raw Material (Français-English, Nez éditions, 2021) にも掲載されている、天然香料についての調香師の方へのインタビューです。
今回の調香師はYves Cassar、テーマはVetiver(ベチバー) です。
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Yves Cassar: 「もしベチバーにキャラクターがあったら、インディ・ジョーンズだ」
By Anne-Sophie Hojlo
2021年9月1日
1998年からニューヨークのIFF社のパフューマーとして活躍し、個人やチームで数々の成功を収めてきました。代表作にエスティローダーの「Pure White Linen」「Intuition for Men」、「Tom Ford for Men」、「Cashmere Mist Essence」、ヘンリーローズの「Fog」、トリーバーチの「Knock on Wood」などがあります。
ベチバーから何を連想しますか。
私が北アフリカで生まれたせいか、ベチバーはアフリカの国々や砂漠を連想させます。乾いた土地、埃、黄土色...ベチバーは私にとってエキゾチックな場所を連想させます。登場人物で言えば、インディ・ジョーンズですね。
新鮮な根の香りとベチバーエッセンスの香りについて説明していただけますか。
掘り出したばかりの根を軽く引っ掻いてみると、まずグレープフルーツのような、ジンジャーのようなフレッシュな香りがします。その後、非常にアーシーでレザーのような側面が出てきます。エッセンスはもっと濃く、スモーキーでピーナッツやレザー、ウッディ、アーシーな面があります。最近では、グラースの研究所で精油を分子蒸留して得られる精製エッセンスもあります。これにより、エッセンスが持つスモーキーでローストしたピーナッツのような側面が取り除かれ、よりクリーンでフレッシュなモダンな香りが生まれます。さらに、グラースの研究所で分留を行い、グレープフルーツのようなフレッシュな側面を引き出すということも行っています。
どのような素材と組み合わせていますか。
ベチバーは、シトラスのニュアンスが柑橘にリンクするため、柑橘系の果物と非常に相性が良いです。また、シダーウッドやウッディアンバーなどのウッディな香りとも相性がいいですね。ウッディな成分がベチバーをよりモダンで爽やかなものにしてくれるので、お互いに引き立て合うのです。女性用フレグランスでは、ローズやピオニーをベースにした香りと組み合わせたいですね。花との相性も抜群です。最近、チューベローズとベチバーの組み合わせを制作しましたが、とてもうまくいきました。また、ムスクとの相性もよく、丸みと安らぎを与えてくれます。非常に汎用性の高い香料であり、処方に骨格を与えてくれます。唯一難しいのは、そのワイルドな面を大人しくさせることです。
IFF / LMR Naturals についての情報はこちら: www.iff.com
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原文はこちら
https://mag.bynez.com/en/perfume/yves-cassar-if-vetiver-were-a-character-it-would-be-indiana-jones/
(画像:NEZ Magazine Web)