『問はず語り』を和歌から読み解く3

和歌7  作者
院におしたおされて

心よりほかに解けぬる下紐のいかなるふしに憂き名流さん

心ならずも下紐が解けて院と結ばれてしまった。どんなきっかけで浮いた噂が広まるのだろう。

 
ついに作者は院と結ばれてしまいました。この時の院は「うたて情けなく」(ひどく、思いやりもなく乱暴に)作者を押し倒し、……ました。
一夜明け、浮いた噂が広まるのだろうか、そうしたら実兼のことを傷つけてしまうと、きれいな有明の月を眺めながらこの歌を詠みました。


大変なことがあったのに、どこか冷静な自分のことを、

「心は猶ありけると、我ながらいと不思議なり」(大変なことがあって動揺しているけど、一方では冷静に風聞のことを気にしていることが自分のことながら不思議…)

と苦笑しています。

そうして院が帰っていく姿をみていると、「いつよりも目とまる心地せし」(いつもより格好良く見える!)と、気になってしまう様子。

これにて、作者は二股をかけることとなりました。院と実兼がお互いの秘密を知るのも時間の問題…

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