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肉の日事変

いな葉村に行きました。久しぶりだったのでとても楽しみに思っていましたが、納得できないトラブルが起こったので書き記しておきます。

今回は男四人での訪問。サウナをしっかり堪能してから食べるご馳走は普段の三割り増しで美味しいので大変おすすめです。待ち合わせの一人と合流して少し待たされると、ファーストドリンクとして私はビールを、他の三人は烏龍茶を注文。その際におかみさんから「フードは三品まで」との制限があることを告げられたため、刺身の四点盛り、牛ももステーキ、蟹みそ南蛮焼きの三品だけ頂くことにしました。いな葉村のメニューは他では見られないほどの超大盛りのため、最初に頼むフードメニューの注文に制限があるのは必然だとこの時の僕たちは話していました。

刺身盛り合わせ四点盛り
蟹みそ南蛮焼き
牛ももステーキポン酢


そして注文の品々が卓に置かれ、その美しさにうっとり。当然のことながらどれもこれも最高においしいです。刺身は食べ慣れたものでしたが毎回感動的な味わいだし、蟹みその南蛮焼きなんてものは言うまでもなく至高の逸品。そして元々は焼肉を食べる予定だったこの日の牛もも肉の存在は圧巻でした。僕たち四人は幸せな時間を過ごしました。

あっという間に皿は空(そら)になり、次のメニューを頼むことになりました。牛たん塩焼きと鶏皮餃子、この二品を食べて元気に片町へハッチャケに行こうと思っていた矢先、ここで不穏な空気が流れます。

フロップが開かれOOPこちらのアクション「注文お願いします」の発声に対しIPからレイズが帰ってきます。「あんたたちドリンク頼んでないからフード注文は無理です」そう言い残しおかみはカーテンの向こう側、厨房の方へ消えて行きました。思わぬ返答に不意を突かれましたが我々ポーカープレイヤーはこの程度のことではへこたれない。なるほど、ドリンクを頼めばフードも注文できるということね。攻略方法を見つけてニチャニチャ顔になった我々は果敢にコールしていきます。「緑茶二つと烏龍茶とサイダーください」そして改めてフードの注文をすることにしました。

ターンが開かれるとこちらのアクションの前にIPのおかみがドンクベットをしてきました「はい一品だけ注文して」アウトオブターンはペナルティ対象になるのかを確認する前にこちらも負けじとレイズします。「牛たん塩焼きと鶏皮ぎょ「はい牛タンね」言い終えるより先におかみは厨房へ帰って行きました。この店はTDAルールに則ってはいないようです。

沢山の張り紙やメニューがズラリと壁に並んでいますが、どこを見ても“ドリンクを四杯頼んでようやく一品だけ料理を注文できる”なんてシステムは書いてありません。納得ができなかったため、私はリバーのアクションの前にフロアへ直談判することにしました。

厨房前のカーテンを開き、「大将!」と声を掛け、おかみに言われたことを確認したところ「実は去年の三月から今までに270万円の赤字が出ていて経営が厳しいんです。」と情けない声で大将から店の内情を打ち明けてこられました。そして突然ハンドが再開。リバーが開かれると隣にいたおかみが醜悪な顔ですかさず「あんたらアルコール全然飲まないでしょうが」と生き生きとオーバーベットで攻めたててきたため私はティルトしました。

作戦会議です。これまでの相手のアクションから導き出されたこちらの回答は

・いくら何でもおかみの接客態度が悪すぎる
・ルール変更があったなら記載しとけ
・店の赤字なんて客は知ったこっちゃない
・頼まれて困るメニューなら消せ
・ちゃんと利益が出る値段に変更しろ

これまで詳しい描写は省いていましたが、おかみの接客はとても悪いです。愛想の欠片もなく、ぶっきらぼうで返事もほぼされない。コンビニでたまに見かける金髪Fラン大学生の舐めたバイトくんの方が突っかかってこないだけまだマシなレベルの接客です。

以上の考察から相手のレンジにブラフはゼロ。オーバーベットにはバリューしかないレクリエーショナルプレイヤーだと判断した私たち四人の最終的な選択はフォールド。もうこの店に来ることは二度と無いでしょう。それくらい腹が立ちました。最後に届いた牛たん塩焼きを食べて領収証という名の金券を貰ったらさっさと帰ろうということで話がまとまりました。

今日起こった出来事をこの店に足繁く通っている共通の友人にも共有し、間違いなく地獄であるとの共感を獲得。最後にやってくる牛たん塩焼きが我々のこの店での最後の晩餐になるんだとしみじみとしていると憎たらしいおかみが牛たんを運んできました。テーブルへ皿が置かれるのを我々は何も言わずに見届け、おかみが厨房へ入って行ったのを見てからでかくてうまそうなそれを口へ運びました。

「…うますぎる」

腹立たしいことに食事は最高にうまいんです。本当に悔しい。「おいしければおいしいほどさっきの件がムカつく」と我々のうちの一人が頭を抱えました。どう見ても1,080円で出していい品ではないこの牛たんを複雑な気持ちで平らげ、我々四人は店を後にします。

「ご馳走様でした。また来ます」

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