とある古書店主の日記(MISSION8 Revival感想① 導入)
※この記事は、ego:pression 第12回ダンスパフォーマンス公演 イマーシブシアター「MISSION8 Revival」のネタバレを含んでいます。
また、筆者が想像を膨らませている創作部分もあるため、ご了承のうえお読みください。
今は時代遅れの紙媒体。それを主に扱う古書店主の私の元に、とある報告書が届いた。
なんでも、MISSION8というプロジェクトについて、監視を担っていたロボットたちの報告書であるらしい。大多数が失われてしまった中、読める状態で残っているのは珍しいという。
当時は、多数の監視ロボットが、ベースと呼ばれる保管庫で稼働しており、ベースを保守管理する別のロボットたちの挙動を見守っていたようだ。
これを手に入れたトレーダーは、モニターの向こう側で「読む価値があるぜ。特にお前が好きそうだから、特別に譲ってやるよ」と不敵な笑みを浮かべていた。
こういったマニアックな報告書や関連文書は、今もなお、ある程度の値段がついて取引されている。特に大掛かりなプロジェクトについては、今はその機密性は失われ人々の知るところとなっても、それなりの収集家がおり、私の商売の貴重な財源になっている。
報告書の類は、多数読んでいるし、どれも報告書然のとした域を出ないもので、そりゃ文書作成者の独り言や愚痴なんかがこっそり書かれているものには読む楽しさはあるけれど、あまり変わり代わり映えのないしないものばかりだった。
にしても、私が好きそうとはどういう意味なのだろうか。
店じまいを終えた夜、私は今にも破れそうに傷んだ紙の束を読むことにした。