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ベトナム駐在 | 移動手段 バイタクが便利すぎる件

2020年春までの3年間、ベトナムホーチミンに現地駐在員として生活。ベトナムでの日常を、まだ記憶が新しいうちに綴っていく。そんな備忘録のような駐在日記です。

初回は、《移動手段 バイタクが便利すぎる件》について。

わたしのベトナム生活で欠かせなかったもの。
それはGrab Bike(グラブバイク)。Uber同様、配車アプリだ。

ベトナムには鉄道がなく、移動手段がバイクか車やタクシーしかない。いや、正確には列車はあるけれど、長距離列車のみ、市内を走るような電車はまだなかった。
※日本が協力してホーチミンに地下鉄建設中。先日試運転したニュースをみたので、延期していたプロジェクトもようやく進んでいるようだ。

そして配車アプリもいくつかある。Uberも数年前までGrab同様に主流だったが、ベトナム含む東南アジア撤退した模様。そんなわけでわたしは毎日移動にはGrabを使っていた。

配車アプリGrabとは

✓アプリを通じて配車、デリバリーが可能なサービス

✓配車:車とバイクがある。車は人数によって大きさを選べる。
お迎えに来るドライバーが決まったとき、車種とナンバーが表示される。

✓デリバリー:フードデリバリーから物のデリバリーも可能。
フードはタピオカミルクティー1個でも可能!そして日本だと手数料が高いけど、ベトナムは割引やクーポンがたくさん出ていて、デリバリーのほうがお店へ行くより安い場合も多い。

✓支払い:クレカやデビットカードの事前登録でキャッシュレス。もしくはその場で現金払いも可。

✓自宅やよく行く場所を登録しておけるので選択するだけで簡単に行き先までの依頼ができる。

✓金額は配車依頼時に確定。お迎え場所と行き先を入力すると金額が表示される。金額は距離だけではなくて依頼が多い時間帯は高くなる!

✓配車依頼をすると、近くにいるドライバーにお知らせされ、お迎えに来る。GPSで今どこにいるか、どこを通ってくるかなどがタイムリーで把握できる。道に迷っているのも常に画面で把握可能。あーそっちじゃないよー…涙。と思うときも多々。

私がGrab bikeを利用していた理由

何より便利!
安い!
楽しい!

↓ ベトナムに遊びに来てくれた友達をホテルに送ったあとの帰り道。友達が撮ってくれた貴重な移動シーン(笑)

通勤時間は渋滞必須。バイクだとすいすい車の間も抜けていける。混んでいなければ車で10分のところがだと30分以上かかる。30分の距離だと2時間なんてことも。ただバイクのやりたい放題がすごい。逆走、歩道走行を自分が後ろに乗ってるときにされたもんなら顔を伏せたくなる。

お値段も安い。ただ、お値段でいうなら、Grabでの車の配車も安いしタクシーだって安い。タクシー初乗り50円くらい。だから安全を考慮してできれば車を使ったほうがいい。私も、事故が多そうな場所や雨の日なんかは最低限の注意ではあるがバイク配車は使っていなかった。

楽しい。これはバイクを乗られる方なら分かる感覚かもしれない。いや、運転者ではなく後ろに乗るからこそ楽しいのだ。心地よい風と太陽の光を感じながら流れ行く景色を見る。この時間がとても好きだ。ベトナムのバイクは日本でいう原付バイクのようなものがほとんどなので程よいスピードがちょうど良いのである。

交通事故は大丈夫?

あんな交通量で事故起こらないの?と思うだろう。
実際、小さな事故はしょっちゅう。バイク同士でも、バイクと車でも。ぶつかったり、倒れたり…。バイクが少し車を擦ったとする。「おっとごめん!」という感じで立ち去る。日本では考えられない光景だが、擦ったりぶつかるということは日常茶飯事である。渋滞でスピードが出ていない分、怪我も軽く済む反面、転げたときに後ろから勢いよくバイクや車がきたらと思うと…ぞっとする。。実際にローカルスタッフも転倒して怪我したりすることもよくある。大きな事故には繫がらないことを本当に日々願っている。

そんなわけで、バイク運転、バイクの後ろに乗ること、これは個人の責任でよく考えて行動しないといけない。一度怪我を経験した日本人スタッフは、その時から2度とバイクには乗らないと決めたようだ。ましてや知らない人の後ろに乗って命を預けるなんてことはできないと言っていた。バイクの後ろに乗ることは楽しい。ただ、危険が伴っていることも頭に入れ、時と場合を選ぶようにしていた。(本当は一切乗らないのがよいだろうが…)

交通ルールとは別の暗黙のルール

ベトナムにも、もちろんちゃんとした交通ルールがある。しかし、それとは別の暗黙のルール、つまりは文化の中で生まれたルールみたいなものがある。このルールはいわば共通の感覚である。この感覚を掴めないとベトナムではバイクに乗れない。バイクの波にスムーズに入っていけないのである。わたしたちにとっての自転車のように、彼ら彼女らにとってバイクは移動手段の基本であり、基本の生活に根付いたものである。そんな中で得た共通の感覚みたいなものがある。あんなにめちゃくちゃ大量のバイクが右往左往行き交っていても、案外スムーズに、あうんの呼吸で成り立っているのだ。変に遠慮して譲ったり、止まったりすることは集団の流れを乱して命取りになる。よそ者が馴染もうとするにはあまりに難しいのである。

1台のバイクに家族5人?!

ベトナムで許されているのは1台のバイクに2人まで。ただ、周りを見ると、3人はおろか、家族4-5人でぎゅうぎゅうに乗っているではないか。運転席の前に子供1人が座ったり、立ったりして乗る。あとは運転席の後ろに残り2-3人という具合。最後尾の人なんてどうやってバランスをとって乗っているのだろうか。神業である。これっていいのか?ローカルスタッフに聞いたところ、どうやら子供は人数にカウントされないということらしい。つまり大人は2人まで、あと子供は何人でもいい…?!わたしたちがお父さんの車で家族で移動するように、お父さんの運転するバイクに家族で乗っているのである。そしてバイクに何でも載せる。中国雑技団バリの神業で。タンスや家具なんか朝飯前という感じで驚くべきバランス能力で何でも運んでいる。旅行に行けるようになったら、是非見てほしいひとつの要素である。

一般的な駐在員の移動手段

一般的にいわゆるホワイト企業であれば移動はタクシー利用が基本だ。一流企業、商社マンの友人はGrabバイクを利用したことがないと言っていた。その友人と夕飯を食べたあと、わたしはGrabアプリでバイクを呼んでいた。見知らぬ外国人ドライバーに手を振ってこちらへ誘導し、その後ろにまたがって乗り、ヘルメットを装着する。颯爽と帰っていく私の姿を見て、彼は「ワイルド」だと言っていた。それもそのはずだ。会社によっては本人と家族にドライバー付きの車が付いている。そしてバイクに乗ることが禁止されている場合も多い。もしくは営業マンであれば、タクシーカード(タクシー会社ごとに使えるクレジットカード)を会社から渡され、自由に利用している。海外での移動は危険もともなう。事故という面でも、犯罪という面でも。その点はよく理解して、自分の行動を選択していく必要がある。会社の仕事のために海外に住んでいる場合、安全に生活するために、会社としても個人としても熟慮が必要なことがいくつもあるのだ。

個人的には、Grabバイクが大好きだ。夜にGrabバイクの後ろに乗るときなんか、夜風が本当に気持ち良い。流れゆくホーチミンの夜景も見ることができる。ただ、楽しくても便利でも、危険がある、ということだけは利用される方がいれば、覚えておいてほしい。いままで自己なく過ごせたことに感謝しかない。今後は、旅行先で、交通量が少ないような道で、ゆっくりとバイクに乗って流れゆく景色と空気を感じたいものだ。

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