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Eagles「Hotel California」の和訳

 いかがお過ごしですか。

 今回は私の趣味の一つ、洋楽の歌詞の和訳をしたいと思う。
 今回取り上げるのはイーグルスの「ホテル・カリフォルニア」だ。
 歌詞の和訳をnoteに載せるのはこれが初めてなので、景気付けにこの歴史的大名曲を取り上げることにした。

 「ホテル・カリフォルニア」は1976年に発表された同名アルバムのオープニング・ナンバーで、イントロとアウトロの両方が完璧すぎると言っていいほど「名曲」の雰囲気を纏っている。特に、イントロの不吉なアルペジオの響きはこれから何か大きなことが起こる予感を聞き手に与える。

 歌詞の内容は、当時エンタメの中心地であったカリフォルニアがヒッピー文化の衰退やドラッグの蔓延で、一見華やかだがその実中身は腐っている、ということをホテルに見立てて歌っている、ということらしい。
 そのことに留意すると、歌詞のあちらこちらにそういったことを暗示したり、象徴的に表現したりしているのではないか、と思われる部分を見つけることができる(和訳中にそう思ったり、気になったポイントに番号をふっているので、最後まで読んでくれるとありがたいです)。

 また、個人的にはイーグルスのメンバー全員がカリフォルニア以外の出身であることが、この曲に特別な意味を持たせている気がするんだけど、どうだろ。


イーグルス「ホテル・カリフォルニア」

On a dark desert highway
Cool wind in my hair
Warm smell of colitas
Rising up through the air
Up ahead in the distance
I saw a shimmering light
My head grew heavy and sight grew dim
I had stop fir the night

暗い砂漠のハイウェイ 冷たい風が髪を撫でる
むっとするコリタスの香りが あたりに立ち込める……①
その道の先に 何かきらめく光が見えた
頭は重く 視界はどんどん悪くなる一方
ここらあたりで一夜を過ごすのが得策だ

There she stood in the doorway
I heard mission bell
And I was thinkin’ to myself
“This cloud be heaven or this could be hell”
Then she lit up a candle
And she showed me the way
There were voices down the corridor
I thought I heard them say

玄関先に立つ彼女 鐘の音が聞こえた
僕は自分に問う“ここは天国か それとも地獄か”
そして彼女は灯りとともに 僕を案内した
廊下のどこからか こうやって
囁く声が 聞こえたきがしたんだ

Welcome to the Hotel California
Such a lovely place (such a lovely place)
Such a lovely face
Plenty of room at the Hotel California
Any time of year (any time of year)
You can find it here

ホテル・カリフォルニアへようこそ
なんて素敵な場所(なんて素敵な場所)
なんて素敵な方々
ここにはたくさんのお部屋をご用意しております
いつだって(いつだって)
ご滞在いただけます

Her mind is Tiffany-twisted
She got the Mercedes bends, uh
She got a lot of pretty, pretty boys
That she calls friends
How they dance in the courtyard
Sweet summer sweat
Some dance to remember
Some dance to forget

彼女の心の中は ティファニーや
メルセデス・ベンツのことばかり……②
彼女の可愛らしい男たちを
ただの友達だって言い張るのさ
中庭で踊る彼らは 甘い夏の汗を流す
ある者は何かを思い出すために
ある者は忘れるために 踊っている

So, I called up the captain
“please bring me my wine”
He said “We haven’t had that spirit here since 1969”
And still those voices are calling from far away
Wake you up in the middle of the night
Just to hear them say

僕はキャプテンを呼び ワインを頼む
すると彼は“そのようなもの(スピリット)は
1969年以降仕入れておりません“と言う……③
そして未だ あの囁きが僕を呼ぶ
真夜中に目を覚ましたとき こう聞こえてきたんだ

Welcome to the Hotel California
Such a lovely place (such a lovely place)
Such a lovely face
They livin’ up at the Hotel California
What a nice surprise (what a nice surprise)
Bring your alibis

ホテル・カリフォルニアへようこそ
なんて素敵な場所(なんて素敵な場所)
なんて素敵な方々
みんな ここでの暮らしを楽しんでいます
なんて素敵なサプライズ(なんて素敵なサプライズ)
何か口実を作って お越しください

Mirrors on the ceiling
The pink champagne on ice
And she said “we are all just prisoners here of our own device”
And in the master’s chamberers
They gathered for the feast
They stab it with their steely knives
But they just can’t kill the beast

天井の鏡と 氷の中のピンク・シャンパン
彼女は “ここにいる人はみんな 
自分自身の罪に囚われた囚人なの“と言う
支配人の部屋に 彼らは宴に集う
彼らは鋭いナイフで突き刺すが
その獣を殺すことはできない……④

Last thing I remember
I was running from the door
I had to find the passage back
To place I was before
“Relax” said the night man
“We are programmed to receive
You can check out any time you like
But you can’t never leave”

僕が覚えている最後のことは
ドアへ目掛けて走っていたこと
以前いた場所へと 戻らなくちゃ
“落ち着いて”宿直の男は言う
“我々は抗えないのです
チェックアウトはいつでも出来ますが
ここを離れることはできないのです“

①…コリタスには大麻の意味もあるみたい。「あたりに立ち込める」という表現から、カリフォルニアをはじめ、アメリカでのマリファナ文化の流行を意味しているともとれる?

②…この部分の原文「Her mind is tiffany-twisted」の「twisted」には「狂っている」という意味があるらしく、その後に出てくる高級車ベンツとの関係も考えて、「彼女はティファニーやベンツなどに狂うほどの高級志向」という意味と捉え、こう訳してみた。

③…有名なフレーズ。スピリットの持つ意味、「蒸留酒」と「魂」のダブル・ミーニングと言われており、魂の方はその後続く「1969年」と掛かる。
 1969年はヒッピー文化がピークに差し掛かり、初の音楽フェスと言われるウッドストックが開催される。また一方で、同時にヒッピーを中心とした二つの事件「オルタモントの悲劇」(ローリング・ストーンズのフリー・ライブ中に警備員として雇われた暴力団「ヘルズ・エンジェルズ」に観客が殺されてしまった事件)と「シャロン・テート殺害事件」(ハリウッドでヒッピーのコミューン「マンソン・ファミリー」が女優シャロン・テートとその友人を殺害した事件)が起こったことで、ヒッピーや彼らの平和や自由を主張する生き方が疑問視されてくる。
 しかし、それは若者を中心として流行していたロックやバンドの自由な精神が欠落して行くきっかけともなり、そう言ったターニング・ポイントである1969年の精神を「今のカリフォルニアにないもの」として、掲げているのではないのだろうか。

④…かなり象徴的な節。歌詞の中で一番謎めいている部分だと思うけど、wikiによると、鋭いナイフの鋭い(steely)はスティーリー・ダンを、獣(beast)は商業主義の音楽界を指しているという考察がある。つまり、スティーリー・ダンをもってしても、商業主義には敵わなかった、ということらしい。
 かなり深読みしている感があるし、個人的にはもっと大きいものを指しているのではないか、と思う。例えばホテルの住人はカリフォルニアに夢を追って移住してきた人たちで、ナイフのように鋭い意思を持ってしても、腐敗した文化に飲み込まれ、結局は歌詞の最後のように抜け出すことができない、ということを表現しているのではないか、と感じた。

 以前友人とアメリカに旅行した際に足を運んだ、ホテル・カリフォルニアのジャケットのモデルであるビバリー・ヒルズ・ホテルの写真をおすそ分け。

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 なかなかジャケ写のように鳥瞰的に見れるポイントがなく、道路を挟んだ公園のようなところの高台で撮影するしかなかった。
 思ったよりもピンクで、当時とだいぶ色味が違うのかなあ。

*

・彼らの演奏力の高さがよくわかる、ライブバージョン


・個人的に好きなMichael Kanekoさんのバージョン


 では。

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