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ビッグ・スター「サーティーン」の和訳
あけましておめでとうございます。
今回は曲の和訳。
今回選んだのは、アメリカのロック・バンド、ビッグ・スターの「サーティーン」。
1972年に発表された彼らのファースト・アルバム「#1レコード」に収録されている楽曲。
ビッグ・スターは1971年にテネシー州メンフィスにて、既に音楽業界で活動経験があったアレックス・チルトンを中心に結成される。
彼らの楽曲は高い評価を受けるが、作品の流通やマーケティングがうまくいかず、さらにそれによるフラストレーションでメンバー内に不和が生じてしまう。その結果、1974年にバンドは解散となった。
どちらかというとロックンロールやブルースのイメージが強いメンフィスだが、彼らのサウンドはそれらとはかけ離れた、爽やかな音と美しいメロディーが印象的。バーズとビートルズのコンビネーションのよう、ともよく言われる。
・ビッグ・スター的なバーズ。
また、力強い演奏と甘いメロディが特徴のジャンル「パワー・ポップ」の先駆者的存在でもある。
今回取り上げる曲「サーティーン」は先述のアルバムの中でも、ひときわ輝きを放つ美しいナンバーだと思う。
力強いバンド・サウンドが続いた後で突如として現れるこの曲は、聴く者を惹きつけ、放課後の「昼」と「夕方」の間のあの懐かしい時間へといざなってくれる。
アレックスが初めてビートルズの演奏を見たときのことを思ってこの曲を書いた、という逸話も印象的だ。
*
Won't you let me walk you home from school?
Won't you let me meet you at the pool?
Maybe Friday I can get tickets for the dance
And I'll take you
学校が終わったら 一緒に帰らない?
プールにでも 行かない?
金曜には ダンスのチケットも買えるだろうし
そしたら 連れて行ってあげるからさ
Won't you tell your dad get off my back?
Tell him what we said about 'Paint it black'
Rock and roll is here to stay, come inside, it's okay
And I'll shake you
お父さんには 気にするなって言っといてくれ
僕らが『黒く塗れ』について 話したことも…①
ロックンロールはただの流行りじゃないんだって
家へ来なよ 構わないさ
きっと君も 気に入るだろうから
Won't you tell me what you're thinking of?
Would you be an outlaw for my love?
If it's so, then let me know
If it's no, then I can go
I won't make you
どう思っているのか 聞かせてくれないか?
恋のために 不真面目になってくれないか?
イエスなら 教えて欲しい
ノーなら 君を諦めるからさ
そうはさせないけれど
*
①…「黒く塗れ(Paint it black)」とは、ローリング・ストーンズが1966年に発表した楽曲。
この曲(サーティーン)は、タイトルも相まってアレックスが13歳の頃のことを歌ったものだとてっきり思っていたが、1966年は彼が16歳のときなので、辻褄が合わない。サーティーンとは一体なにを意味するのか。
歌詞については、常に疑問系なのが自信なさげで、初々しくて良い。
また、誰かを好きになる一方で、音楽に対する情熱も同時に表現するあたりが、多くの音楽好きの共感を呼ぶ詞ではないかと感じた。なんとなく、あいみょんの「君はロックを聴かない」イズムを感じる。
じゃあね!