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マクドナルド化する社会では昼食をすき家で食べよう。

【すき家あるある】
迷った挙句新メニューは食べない。

・ご挨拶


どうも、俺です。牛丼って美味いね。突然ですが皆さんは「すき家RADIO」を知っていますでしょうか?これはすき家の店内限定で流れているラジオ放送のようなもので、高盛浩二さんがメインパーソナリティを務めています。「お相手は元気モリモリ 高盛浩二でした!」というフレーズはすき家freakであれば店内で自然と声に出してしまうでしょう。

・すき家RADIOとは?


すき家RADIOはすき家の会員登録をしている人のみがお便りを送ることができます。進行の流れとしては、最初は高盛さんによる挨拶と限定商品の紹介、次にリスナーからお便り読み上げとリクエスト曲を1分ちょっと流す。この5分ほどの流れを色々なお便りで行い、時々ゲスト回が入る形です。お便りの内容としては季節の話題や受験などのイベントがメインです。

そしてお便りの内容はというと、「春が来ると受験生だったころを思い出します。第一志望に受かるべく、毎日深夜まで勉強する日々でした。そんな辛い受験の日々もこの曲を聴いて頑張れました!(リクエスト曲再生)」といった感じです。

正直な話、すき家RADIOの何が面白いの…?』とすき家RADIOを聞いたことがない人、或いは聞いたことがある人も思うのではないでしょうか?

平日お昼のラジオのようなノリが昼夜を問わずに、すき家RADIOでは行われていて安心感はありますが刺激的ではなく少し退屈にも感じます。
実際に担当者の方はインタビューにおいてこう述べています。

大前提として、食事の邪魔にならない内容の番組を心がけています。過度なにぎやかさは抑え、耳当たりのいいトーンでお送りすることですね。

「すき家の店内放送「すき家RADIO」を知っていますか? 9年続くロングランの裏側を担当者に聞いてみた」 https://fumufumunews.jp/articles/-/23580

ようは敢えて刺激的では無くして、メインである食事を楽しめるようにしている訳です。何事にも塩梅は大事ですからね。

・マクドナルド化する社会では昼食をすき家で食べよう


そして私はこのすき家RADIOこそが『マクドナルド化する社会を緩和してくれる一つのアイデア』ではないかと言いたいわけです!

と言われても、どういうことなんだ……?と疑問が浮かんでくると思いますので順に説明していきます。

・マクドナルド化するとは?


そもそもマクドナルド化(McDonaldization)とは、アメリカ合衆国の社会学者であるジョージ・リッツァ氏が1993年の著書『マクドナルド化する社会(The McDonaldization of Society)』にて提唱した考えで、社会における合理的な生産が進んでいくと、脱人間的な動きが社会全体で進んでいくという考えです。

と、いっても…なんのこっちゃという感じですよね。出来るだけ分かりやすいように、リッツァの主張を大まかに4つの観点に分けて説明していきます。

1.効率性
2.計算可能性
3.予測可能性
4.統制

主にこの4点によって主張が成り立っています。それぞれを詳しく見ていきましょう。

1.効率性

マクドナルドに行くときの目的といえば「おなかが減ってるから何か食べたい」というものが大きいですよね。マクドナルドではこの目的を達成するために、最大限効率化しているというのです。
例えば(期間限定商品などを除いては)常に同じメニューが同じ内容で同じ作り方で提供されます。注文の聞き方は店員さんによって異なることはなく同じように聞かれ、提供する際の包装までも画一化されています。
このようにすることで、少しでも早く客に商品が届いておなかを満たせるようになり目的に対しての効率化を行っているのです。

2.計算可能性

マクドナルド化では「量は質に等しい」とし、程度や品質よりもその量に重きを置いてるという考えです。こうするとどれだけの量を得ているのか、どれくらいの金額を支払っているのかを分かりやすく数値化することができます。(ことマクドナルドにおいては味や品質においても中々に良いと思いますが……)
程度ではなく量にこだわることで、消費者にどれほどの製品を得ているか分かりすくしより満足感を与えているのです。

3.予測可能性

マクドナルドを利用する時はどこの店舗のどの従業員さんであっても、毎回同じようなサービスを受けられる上に、同じ商品がありますよね。また従業員の視点からしても同じで、どの店舗でも多くの場合で同じような仕事を繰り返しするわけです。これをリッツァは予測可能であると述べたのです。

4.統制

マクドナルドのハンバーガーは数年修業したシェフでないと作ることが出来ない程に複雑なもの…というわけではないですよね。ある程度の知識があればマニュアルに沿うことで同じように作れます。
これは属人的な技術や知識を頼ることを避けて、非属人的な技術へ置き換えて従業員のサービスの質を一定にするということです。これこそが統制です。

このように徹底的に合理的な生産活動を目指していくと、個々の人間にある細かな差異やその人の人間らしさを無視されて、そこには人間らしさがほとんど残らないようになります。人間が利用するためのサービスなのに人間らしさが残らないのは皮肉なものです。
今回はマクドナルドを例に挙げましたが何もこの現象はこれだけに留まらず、他にはコンビニやファミレスにも見られますし、また飲食業界を超えても同様の現象は起こっています。

・だからこそすき家Radioには意味がある


合理化をしていくだけならBGMを無くすか有線放送をそのままかければいいですし、わざわざコストのかかるオリジナル番組を作る必要はありません
しかし徹底的に合理化をしていく社会の中で、すき家の店内放送ではどこの誰かも分からない人の思い出とリクエスト曲が流れつつ高盛浩二さんが元気モリモリしているわけです。私企業の活動としてマクドナルド化とは相反するようなものです。
ここに私は意義があるように感じます。だからこそ私はすき家Radioが好きなのです。

・しっかり向き合わなけばいけないもの


しかし、そんなすき家も過去には深夜のワンオペ営業という大きな問題を抱えていました。

すき家といえば過去、ワンオペ勤務が社会的に大きな問題となった。2014年に深夜のワンオペ勤務をはじめとする従業員の過酷な労働実態が発覚。全国で一時閉店する店舗が相次ぎ、約2000店舗(当時)のうち最大で123店舗が店を開けられない状態に。

すき家、なぜ店内に従業員いるのに営業休止…ワンオペ禁止の徹底ぶりが話題(https://biz-journal.jp/company/post_384400.html

全ての企業が完璧にマクドナルド化を阻止して人間らしさを重視した社会を作っていくのはとても難しい問題です。さらに言えば、我々はそういったマクドナルド化する社会の恩恵を受けて便利な生活を手にしているわけです。合理化や利便性を追及する上での人間らしさの排斥、これは我々自身が真摯になって向き合っていく問題なのではないでしょうか?

実際にイタリアではスローフード運動という伝統的な食文化の継承や栄養の整った食事をしようという運動が1980年代の終わりに始まりました。マクドナルド化された食事であるとにかく腹を満たすファストフードと、文化や栄養のために戦いだしたのです。

最後にマクドナルドの公式HPを見て終わりにしたいと思います。

https://www.mcdonalds.co.jp/shop/bgm/より

いや、お前もオリジナル店内放送やってんのかい。



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