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【泣ける日本語RAPを木村昴が語る】「グッくる叙情性で“泣ける日本語RAP”名曲、昴的ベスト4!」【HIPHOP HOORAY VOL.15 ヤングジャンプ公式】

『ヒプノシスマイク』で山田一郎役も務める声優界一の“ガチなヘッズ”な木村昴の日本語RAP連載!

オラオラ・イケイケだけではない叙情性や心にグッと来るメッセージに満ちた曲もたくさんある日本語RAP。木村さん流の“曲の世界に入り込む術”も教えてくれます。

木村 昴 きむら すばる:1990年6月29日生まれ。ドイツ出身。『ドラえもん』ジャイアン/剛田武役、『輪るピングドラム』高倉冠葉役等を担当。『ヒプノシスマイク』ではイケブクロ・ ディビジョン代表Buster Bros!!!を率いる山田一郎役。天才劇団バカバッカを主宰。ラッパーとしても『フリースタイルダンジョン』にも出演していたラッパー・掌幻と“掌幻と昴”として活動中。

※本記事は週刊ヤングジャンプ2020年45号に掲載された内容をnote用に一部改変して収録しました。

グッくる叙情性で“泣ける日本語RAP”名曲、昴的ベスト4!

ヒップホップは喜怒哀楽全ての感情が詰まってるんですよ。だからオラオラなノリにも、ちょっとエロい気持ちにもなったりするのと同時に、涙してしまうことも少なくないんです

——エモーショナルな感情に満たされるというか。

エモさにもいろんな種類があるんですが、リリックの内容に想像力が刺激されて、浮かんだイメージに感情移入してめっちゃ泣ける! っていうのが、ケツメイシの『花鳥風月』

『花鳥風月』:ケツメイシのアルバム『ケツノポリス3』(2003年リリース)。超有名ヒットシングル収録。

——夏ソングとして定番の『夏の思い出』も収録されたアルバム『ケツノポリス3』のラストソングですね。でも“泣かせにかかる”ような曲ではない。

内容的には自然や景色を歌った、まさに花鳥風月をラップにした曲なんですよね。すごく詩的な内容で、表現も抽象的だから、リスナーによっていかようにも表情が変わる曲で。そこで僕の中に浮かんだヴィジョンっていうのが、何もかもなくなってしまったところから立ち上がる人だったり、壊滅した状況から復興していくようなイメージだったんですよ。

人だけじゃなくて、木々も動物も、生きとし生けるものが大きな打撃を受けて、それでも命は紡がれて、続いていくっていう、壮大な物語と光景をこの曲から感じて。考えれば考えるほど、切なく、美しく、力強い気持ちになったし、聴き終わった後には、1本の映画を観たぐらいの聴き応えがある曲なんですよ

——その中でも印象に残るラインは?

“ひたむきに生きる毎日の中で流れる時はゆるく 生き方は変わらずに古く”

っていう部分は、無骨だけどスゴく優しかった自分のおじいちゃんを思い出しましたね。“みんなにはどう聴こえた?”って聞きたい曲です。沁みる曲といえば以前この連載でもちょっと触れたSHINGO★西成さんの『切り花の一生』

『切り花の一生』:SHINGO★西成のアルバム『おかげさまです。』(2013年リリース)。ジャケットが強烈!

——アルバム『おかげさまです。』 に収録された、大阪のヒップホップブルースとも言える曲ですね。

初めて聴いた時は立ち上がれなくなりましたね。それぐらい衝撃を受けました。僕は曲を聴く時に、“その曲を歌ってる自分”とか“もしMVを撮るんだったら”みたいな想像をしてて。そうするとその曲に更にグッと踏み込むことが出来るんですが、この曲で想像したのは、舞台のラストシーンでしたね。舞台上で様々な生活をしている群像に対して、SHINGOさんが上空から見下ろしながら、この曲を歌うっていう。それを想像しただけで爆泣きですね(笑)

——市井の生活の苦しみと喜びを歌う内容の曲ですからね。

ラップのフロウもセリフっぽいんですよ。でも、

“携帯と1枚のミントガム/失敗の中に成功のヒントある/と分かったからやっとピント合う”

みたいな、リリカルなライミングもしっかりある。そして

“人を喜ばせて死んでいく”

というライン。死ぬ時にこう思えたら最高ですよね。もし自分で台本や舞台を作るなら、この曲をエンディングにしたいと思うぐらい好きな曲です。同じ大阪だと、韻シストの『Dear』も泣けます!

——『HIPSTORY』収録のベースのShyoudogさんがヴォーカルを取った曲ですね。

大切な人を失ったことを歌った曲なんですけど、それが家族なのか、友達なのか、恩師なのか……照らし合わせる人がリスナーによって変わる曲だと思います。ライヴでの表現も最高なんで、また生でライヴで見れる日が来て欲しいですね。バンドアレンジの曲っていうと、GAKU-MCさんのアルバム『WORD MUSIC』のラストを飾る『ここにいない君へ』もものすごく感動したんですよね

——『DA.YO.NE.』でお馴染みのEAST END×YURIのGAKUさんのソロですね。

僕も昔は軽く“死にそ〜”とか言ってたんですけど、この曲を聴いて、そして

“夜に誰かが言う/「もう死にそうだ」/そう容易く言わないで/どうか”

ってリリックを知って、そういうネガティヴを広げるような言葉は使うべきじゃないなって。そうやって感動したり、戒められたり、気付かされることが多いのがヒップホップですね!

最後までお読みいただきありがとうございました!次回もお楽しみに!

撮影◎門嶋淳矢
取材・文◎高木“JET”晋一郎

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