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3億円事件

最近、3億円事件の実行犯と名乗る者による告白文が話題になっているとネットで知った。もう何年も前に時効が成立したのに、こうして時々世間を騒がす不思議な事件だ。

不思議な事件。

あくまで個人的な印象だ。なぜ解決できなかったのか、本当に未解決なのか。様々な憶測が憶測を呼ぶ。これまでも、映像や小説などで何度も取り上げられている。
そんな3億円事件の作品の中で異彩を放っていると思う作品がある。

「初恋」だ。
中原みすずによる同名小説だ。2006年に宮崎あおい主演で映画化もされた。
物語は3億円事件の犯人は女子高生だった。というものだ。女子高生の初恋と3億円事件。その相反するものを軸に、とても淡々とした文章で語られている。
実写映画化された映画ですら、驚くほどの淡泊さ。その淡泊さは忠実に原作を再現した証だった。
実際、当時のレビューには作り方が雑などの意見もあったようだが、原作を読んでから観た自分はとても原作に忠実だったと大満足だった。再現度という点では素晴らしい作品だ。作品という点で観てしまうと様々な意見があると思うが。

この物語の冒頭も「私が実行犯かもしれない」といった文言から始まる。そして、主人公の名前が作者の名前でもある「みすず」なのだ。
作者紹介も名前しか記載されていない。そして「初恋」以外の著書がない。
それが犯人は女子高生、いや作者かもしれない?と淡い期待のようなものを持たせた。

出演者の関係でテレビ放送で見かけることはないかもしれない。けれど、3億円事件に興味を持ったら一度は原作と一緒に観てほしいと思う作品だ。

 #コラム #レビュー #小説 #映画 #エッセイ #初恋 #宮崎あおい #エンタメ

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