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電通関西支社で、本物の「糸井重里」さんに会ったとき、「糸井さん!『MOTHER2』は本当に発売されるですね!」と尋ねたら、「大丈夫。今頃、工場でパッケージされてますよ」と返された件。
某百貨店の宣伝部っぽいところで働いていた時、半年に一回、在阪の百貨店の宣伝部員が、電通関西支社に呼ばれて、東京からやってくる有名人の話を聴くという講演会がありまして。
私が途中入社して、初めて話を聴きに行ったのが「天野祐吉さん」で。なかなか骨のある編集者で、広告の「特効薬中の特効薬」について教えてもらいました。
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で、二回目が「糸井重里さん」。ちょうど、その講演会が、1994年の8月初頭でして。任天堂スーパーファミコン「MOTHER2」の発売日が、8月27日。会ったなら、本当に発売日に店頭に並ぶのか確認しておかなければ!これまで、何度も発売延期してるし。
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で、講演会の当日。講演がおわり、ちょっとした歓談会というかミニパーティーがありました。そこで、他のコピーライターやアートディレクターと一緒に、糸井さんが他人と談笑しているところへ突撃しました。勇気がいりました。なにせ、沢田研二「TOKIO」の糸井さんですから。長谷川和彦監督「太陽を盗んだ男」の『ボクの先生は原爆を持っている。』の糸井さんですから。ウッディ・アレンの「おいしい生活」の糸井さんですから。矢沢永吉の「成りあがり」の糸井さんですから。
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糸井さんという人は、ほんとうにフランクで、初対面の、わけのわからない下品な関西人である私たちにも、親しく話をしてくれました。
で、ミーハーな女性デザイナーや女性コピーライターが糸井さんと名刺交換をしているときに、私はおもむろに「糸井さん!スーファミの<MOTHER2>は本当に27日に発売されるんですね。ほんとですね!」と詰め寄りました。
糸井さんは胸を張って「発売されます。自信作です。おもいきり楽しんでください!」と頼もしいお返事。
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◆◇◆
その後、8月27日に無事「MOTHER2」は発売され、その日から毎晩、会社から帰ったらプレイしました。いやあ、面白かったです。
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キャッチフレーズは、 「大人も子供も、おねーさんも。」。CMキャラは、SMAPのキムタク。当時のキムタク人気がすごかったのです。ゲームがヒットしないはずがない。
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ファミコンで発売された一作目のキャッチフレーズが、「エンディングまで、泣くんじゃない。」
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糸井さんらしいコピーだといえば、糸井さんらしいですね。小難しいことをすっとばして「カンタンコピー」 に仕上げる。このカンタンっぽさが「糸井節」と呼ばれるコピーだったのです。
◆◇◆
その後・・・。私は名刺を持っていっていなかったのですが、名刺交換した女子社員のもとへ、次の年のお正月に、糸井さんから「手書きの年賀状」が送られてきました。「マメな人やなぁ・・・おそらく事務所の人と手分けして書いたんやろけど」と感心しました。
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コピーライターが、自分の書いたコピーの商品広告に出演しちゃうというのも、糸井さんが初めてだったんじゃないかしら。というか、普通、コピーライターって裏方に徹するのを好むのですが。
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