【ポップス研究④】🎹松任谷由実『Destiny』。スペクターサウンドに、ユーミンらしい<オチ>を効かせる実験大成功!
初めて聴いたとき、「ああ、旦那が<松任谷正隆流のスペクターサウンド>に挑戦したな」と思いました。
そして、歌詞を聴いていくと、なんというか、PTSDになるようなドラマチックな展開に良質の洋画を観たような満足気分になりました。
私は観ていないのですが、1980年代後半にフジテレビ系テレビドラマ『季節はずれの海岸物語』に挿入歌として使われて以来、多くの人に知られるようになったらしいですね。
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◉曲調はフルオーケストラ&バンドサウンドの「ウォールオブサウンド」
スタジオミュージシャンの顔ぶれが凄いですね。
大瀧詠一師匠と双璧を成すというか何というか。
参加ミュージシャン
キーボード:松任谷正隆(編曲も担当)
ドラム&ティンパニ:林立夫
ベース:高水健司
エレキギター:鈴木茂
スティール・ギター:尾崎孝
アコースティックギター:吉川忠英(8弦ウクレレも兼任)
ピッコロ:衛藤幸雄
サキソフォン:Jake H. Conception、斉藤清、砂原俊三
ビブラホーン:大井貴司
ストリングス:トマト・ストリングス・アンサンブル
ホイッスル:吉川忠英、常富喜雄
シンセサイザー・プログラミング:松武秀樹
作詞:松任谷由実、作曲:松任谷由実、編曲(ストリングスアレンジも):松任谷正隆
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◉歌詞に、日本ポップシーン最大の「オチ」をつけた名曲
まあ、歌詞が凄いですね、この曲は。
・・・
♬ ホコリだらけの車に指で書いた
True love, my true love
本当に愛していたんだと
あなたは気にもとめずに走りだした
True love, my true love
誰かが待ってたから
冷たくされて いつかは
みかえすつもりだった
それからどんな人にも
心をゆるせず 今日わかった
また会う日が 生きがいの
悲しいDestiny
緑のクウペが停まる
雲を映し Sure love, my true love
昔より遊んでるみたい
みがいた窓をおろして口笛ふく
Sure love, my true love
傷あとも知らないで
冷たくされて いつかは
みかえすつもりだった
それからどこへ行くにも
着かざってたのに どうしてなの
今日にかぎって「安いサンダル」をはいてた
今日わかった 空しいこと
むすばれぬ 悲しいDestiny ♬
・・・
この緑のクウペに乗った男にふられた女の子は、彼に「復讐」したかったんでしょうね。気持ちはわかります。私も同じようなことしたありますから。
でも、たまたま出会ったその日に限って
「安いサンダル」
を履いていた。
一生の不覚!
でも、なんだか、虚しいことしてたな、とふっきれた・・・と強がり言っていますが、さて、本心はどうなんでしょうか。
女心は怖いですよ。
初めて聴いたとき、寒気がしたことを思い出します。
一度フラれて、
「絶対に前より綺麗になってやる。
そして次に会った時に
『あ?!俺ってば、こんなに綺麗な奴を捨ててしまったのか。
なんてこった』と
後悔させてやる!」
と、執念を燃やすこと、ありませんでしたか?
だけど、その壮大な計画が、「サンダル一足」ですべて、おじゃんになる。
ドラマチックですね。
絶対に彼女は、近所の公園で、「安いサンダル」を、どないかして燃やしながら、新たな復讐計画を練ったのではないでしょうか。しらんけど・・・。私ならそうしますけどね。俺ってサイコパスだから。
⇑ まあ、一度、歌詞を観ながらゆっくり聴いてみてください。オチに驚きます。
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