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【一番好き!】🥁高橋ユキヒロ「音楽殺人」。世界一多彩なドラマーが思いっきり遊んでみたアルバム!【スカ!】

ドラマーというものは基本 “ウラカタ” であります。音楽の、リズム部門のみを担当しますので、音階や和声、つまり音楽理論を知らなくてもできるし、たぶん知らない人も多いと思う。

だから歳を重ねても他の楽器のプレイヤーのようにアレンジや作曲の方面には向かわず、優秀な人でも死ぬまでドラマーというパターンがほとんどです。

だけどこの人は違う。サディスティック・ミカ・バンド、YMOと、歴史的バンドを2つも支えつつ、幾多のセッションへの参加と、ドラマーとしての仕事を十分すぎるくらいこなしながら、1978年には早くもソロアルバム制作、それ以降コンスタントになんと22枚ものアルバムをリリース。

さらに人への楽曲提供、プロデュース、映画音楽、おまけにレーベルを運営したり、ファッションブランドを立ち上げたりも。

こんなに多彩なドラマー、他に知らない。特にドラマーにして22枚のソロアルバムというのはギネス級じゃないですか?… そう、高橋幸宏です。

さて、本題の『音楽殺人』。『サラヴァ!』とは全く方向性が違うのですが、まだ発展途上という感じがします。

おもいっきり「わかりやすいポップス」に振り切った最高傑作アルバム。ベンチャースに提供した「スイミングスクールの美人教師」は画期的なテクノインスト。


この在籍していたサディスティックスのセカンドアルバムのvol.2『知る人ぞ知る “ニュー・ミュージック” 愛すべきトニー・マンスフィールドの世界』でご紹介したNew Musikを彷彿とさせるような曲や、ばっちりニューロマンティック!な曲があったり、その頃ユキヒロ氏が大いに刺激を受けたと思われる音楽がちりばめられています。

『サラヴァ!』から聴いてくると、あんた、一体何がしたいの?と言いたくなるかもしれませんが、社会現象になるくらいヒットしたYMOの一員として、好きなことをできる経済的余裕ができた反面ストレスも大きい、そんな中で思い切り “遊んでみた” 作品なのではないでしょうか?

簡単に言うと、『サラヴァ!』は背伸びした憧れの世界、この『音楽殺人』では今好きなものを素直に形にしたということで、対照的な2作での試行錯誤により、ドラマーの高橋幸宏はアーティストに進化していったんじゃないでしょうか。

⇑ 「スイミングスクールの美人教師」。タイトルは糸井重里が「10万円」ポッキリで付けたという。

⇑モータウンサウンドの傑作。シュープリームスの「ストップ・イン・ザ・ネーム・オブ・ラブ」。ユキヒロがこういうアプローチしたなら・・・。

⇑ 同じ「ストップ・イン・ザ・ネーム・オブ・ラブ」でも、大滝詠一が自分なりにアプローチすると、こうなるのです。


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