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【小さな書店】🏠「本の街」京都が、さらにワンステップ、進化を遂げつつあるかもしれない。
2024年になってからやたらと耳にする「京都市内に新しい本のお店ができた」という噂。それも一店だけではない。京都にはもともと恵文社一乗寺店やホホホ座、誠光社と、その店をめがけて京都旅行したくなる本のお店がたくさんある。古本文化も根付いていて、有名な古書店も多い。
筆者も小さな書店を運営しているため、本屋情報は普段から収集しているが、同じくらい閉店のニュースも聞こえてくる。本屋といえば、居心地のよい夢の空間というイメージがあるけれど、長く続く場所をつくるのは簡単ではない。
ところが、今年に入って開店のニュースを聞いた店は一味違う(気がする)。その秘密を探ることで、みなさんに「わざわざ訪れてみたくなる場所」を新たに紹介できるかもしれない。文化的なスポットとして有名な左京区だけでなく、上京区や北区などさまざまなエリアで「本のカルチャー」が花開きそうな噂に誘われて、今回は3つの場所を訪れることにした。
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1. 「自分たちが取り扱う意味のある本」を届ける―余波舎 / NAGORO BOOKS
はじめに取り上げるのは、京都市上京区の大宮寺之内にある書店・余波舎(なごろしゃ)。知る人ぞ知る名喫茶店「西陣ほんやら洞」のあった建物の2階に、2024年1月にオープンした。
1階奥にはイタリアンレストランがあり、吹き抜けのエントランスから2階にあがる。
近隣の穏やかな雰囲気によく馴染んだ気持ちの良い書店空間だ。
店主は涌上昌輝さん、佐光佳典さんのふたり。
チェーン型の書店ではなく、いわゆる独立系書店と呼ばれるお店だ。
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2.本とのかかわり方を増やすコミュニティ―一乗寺BOOK APARTMENT(シェア型書店)
京都市左京区の一乗寺BOOK APARTMENT。2024年7月にオープンしたばかり。近所には、恵文社をはじめマヤルカ古書店やアリバイブックスなど数多くの本のお店が存在する。
そんな本と文化の街で開店した一乗寺BOOK APARTMENTは、新刊書店でも古書店でもない「シェア型書店」。シェア型書店は「アパートメント」の言葉が指す通り、まるで部屋を借りるかのように、個人が本棚の一区画をレンタルし小さな本屋を開店するような形式で運営されている。
同店では第一期として45ブースが貸し出され、あっと言う間に、ほぼ全ブースが埋まったというから驚きだ。
どんな人たちが借りているのだろうと棚を覗いてみると古書店顔負けの選書のブース、ZINEや詩集などの制作者、伝えたいメッセージを選書に乗せたコンセプトのあるブース、著名人のブースなど、賑わう本棚に「住む」人たちの幅がとても広いことが見て取れる。店に伺った際には、出店者のお一人が机を使って、販売する本の準備やポップの作成も行っていた。こうして交流も生まれるのだろう。
店主は北本一郎さん。
新聞記者として東京や名古屋で長年勤めた後、学生時代を過ごした京都に戻ってきたという。
一乗寺BOOK APARTMENTのルーツは、東京のシェア型書店である「西日暮里BOOK APARTMENT」。
北本さんはもともと同店で本棚を借りていて、シェア型書店の魅力を強く実感。自分も開店するなら同じ形式を、と決めた。
許可を受けて「BOOK APARTMENT」の名前を冠し、本棚も同店の設計者に依頼したというから、その意志を広げる思いを強く感じる。
長い間スナックとして使われていた一軒家を改装した同店には簡単なキッチン設備もありコーヒーやお酒を楽しめる。
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3.夕書房(出版社・オープンスペース)
最後に紹介するのは京都市北区の夕書房。これまでの二店は書店だったが、夕書房は、本をつくる側、つまり出版社である。茨城県つくば市を拠点としていたひとり出版社で、この4月に京都に移転してきた。運営するのは高松夕佳さん。これまで文芸、アート、まちづくりといったさまざまなジャンルで活躍する人たちの営みにまつわる書籍を刊行してきた。
夕書房では金曜と土曜を中心に「文庫喫茶」として「事務所びらき」をしており土曜には刊行した書籍の著者などさまざまな人をゲストに招待する企画も行っている。
「近所のおじいちゃんおばあちゃんがふらっと遊びに来てくれたり、これまでかかわってきた本の著者や編集者がおもしろがって遊びにきてくれたりして、なんだかおもしろい時間が流れます」と高松さん。
夕書房が事務所を構える場所は、もともと高松さんの祖父母の家で、幼い頃に何度も遊びにきていたという。建物自体は取り壊され土地だけになっていたところに、新たな場所をつくりだした格好だ。設計は京都の建築設計事務所・木村松本建築設計事務所。開いた居場所をつくりたいと考えた高松さんの思いを反映した、大きなガラス窓が特徴の開放的な空間が出来上がった。
お話を伺ううちに、夕書房の「文庫喫茶」という場所の魅力の本質は「夕書房の本が買えますよ」とか「コーヒーも楽しめます」ということだけではないと感じた。地域の持つ文脈を拾い上げ、周りの人の声に耳を傾け、丁寧にその場所に編み込むような、そんなしなやかさがおもしろい。
![](https://assets.st-note.com/img/1728550855-kBvSjUsaGM8cOTl1p9Ren7I0.png?width=1200)
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この記事を書いた人
嶋田翔伍(しまだ・しょうご)
「必要な時に、必要な人に必ず届くのろしのような本作りを。」を掲げるひとり出版社・烽火書房(ほうかしょぼう)代表。堀川五条の路地にて新刊書店hoka booksも運営中。京都市生まれ京都市在住。近頃は改めて、本の周辺文化をはじめ京都の街へ強い関心を寄せている。
⇑ 行き方などは、上記のサイトでご確認を。⇑
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