流産をした。
11月14日。
4週間ぶりの妊婦健診でのことだった。
10w6dの健診。
前回の妊婦健診でやっと心拍が確認できたところだった。
尿検査をし、血圧、体重を測り、
看護師さんとお話しをして。
いざ、先生の待つ診察室。
もう、何の話をしたか覚えていない。
助成金の話とかだったかな。
もう申請は済んでるね?
みたいな。
じゃー、元気な赤ちゃん見に行こうか!
と笑顔で内診室に向かうよう指示をされた。
そしていざ、内診。
旦那さん、USBお持ちになりました?スマホで撮るー?
準備してねー!
じゃー、台上げますね〜。
では、エコー入れますね!
…?
あれ?
…心拍が見えないね。
何度も何度も場所を変え、角度を変え見てくれる先生。
…残念だけど、これは流産だね。
赤ちゃんがいないよ。心拍もない。
卵黄嚢だけ大きくなっちゃってるね。
んー、本当に残念です。
これは流産です。
エコー入れて、胎嚢が見えた瞬間に私でもわかったよ。
卵黄嚢が見えたらもう、私も確信してしまったよ。
長女の時と全く違う。
違和感なんかじゃなくて、
あ、ダメだったんだ…。
こんなに大きな卵黄嚢なんて見たことない。
そこに寄り添うように、くっつくようにいたはずの赤ちゃんも見えない。
これじゃー、心拍の確認のしようもない。
私は先生の言葉に、
はい。
としか言えなかった。
では、内診台おろしますね〜!
流産がわかる前と同じ声のトーンで看護師さんが明るく言う。
準備ができましたらもう一度診察室に行って下さいねー!
もうその声は何とも言えなかった。
診察室に行き先生のお話。
今回は残念ですが流産です。
紹介状を用意するからもう今日このままこの足で行って来てくださいね。
お母さん、大丈夫!
悲しいけど、また妊娠できます!
だってあなたはこうして立派に1人産んでますから!
だから、大丈夫。
またいつでもおいで。何でも相談に乗りますから。
と、
助成金の話を再度され、
私たちは診察室を出た。
そして、受付で紹介状を貰い、
一度帰宅し、準備をして紹介先の病院へ向かった。
旦那と5ヶ月半の娘と。
まずは、エコーをした。
わかってはいたが、
診断は覆らなかった。
そうね、うちとしても診断は同じで、流産ですね。
それから、たくさんの検査をした。
血液検査、尿検査、心電図、レントゲン。
そして、
翌日手術というスケジュールになった。
あれよあれよと、
私の理解度は追いつかないまま話だけが進んでいった。
まだ流産を突きつけられたばかり。
感情もよく把握できないままだった。
ただ、涙は時折溢れた。
旦那とも目を合わせられなかった。
検査も終わり、
最後に入院についての説明を聞いてその日は終わり、
会計をして帰宅した。
その日から数日が経ち、
やっと少しずつ思い出せてきた。
なのでこうして書き留めている。
赤ちゃんは10wの予定だった。
でも、8w4dの大きさの胎嚢だけを残して、
カケラのように小さくなってた。
悲しみなのか何なのかわからないまま泣いた。
もう、何も調べない。私からは手を伸ばさない。
そう決めて寝床へ行き、
いつも通りプロジェクターでYouTubeを付けた。
そして、流れるままに動画を流した。
すると。
なぜか偶然に、稽留流産を語る動画が流れ始めた。
うん、これは私が手を伸ばして得た情報ではない。だから、見るべきなんだろう。
そう感じ、見てみた。
内容は、
手術するのも1つ。
でも、赤ちゃんは必ずいずれは自然と出てくる。
自然排出は必ずいつか起こり始める。
それを待つのも1つだ。
という内容だった。
私にしてみたら本当に衝撃だった。
自然排出?え?手術しない選択もあるってこと?
であれば、この子を、この子をここまで守ってくれたモノ達をこの手に抱けるということ?
であるならば、私は自然排出を待ちたい!
誰にも抱きしめられることもなく、機械に吸い込まれていくなんてなんだかすごく悲しくて、
自分の目でちゃんと終わりを迎えたい。
そう気持ちが変わってしまった。
誰からも、紹介元も紹介先もどちらも自然排出の話はしてくれなかった。
確かに、手術までに自然と出てきてしまった場合の対応は聞いてた。
でも、それを待つなんていう選択は誰も教えてくれなかった。
私は眠れなくなり、そのまま関連動画を見ることになった。
そして、朝。
旦那に今の私の気持ちを伝えた。
今日の手術はキャンセルして、自然排出を待ちたい。
まだ気持ちの整理がついてないから、今このタイミングで手術をしたら何かしら後悔する気がする。
うん、わかった。
とりあえず、予定時刻に病院に到着し、
今の気持ちをそのまま素直に先生に伝えた。
一旦、紹介元のクリニックへ戻ることになった。
そりゃもう、多大なるご迷惑をおかけした事は重々承知です。
ただ、最初に言っておいて欲しかった。
自然排出を待つという選択もあるけど、
こういう状況のあなたは手術にした方がいい。
自然排出はオススメ出来ない。
そう伝えてくれてれば、
私はまだ受け止められたと思う。
医者のせいにするわけじゃないけど、
多分、それを知らずに言われるままに手術をしていたら、手術の後に自然排出という選択肢を知ったら、私は確実に後悔していたと思うからだ。
メリットやデメリットでは整理のつかない気持ちというものがある。
だからせめて、それを理解した上で進みたかった。
キャンセルした日、それは流産宣告をされた翌日。
まだまだ私は暗闇の中だった。
その日こそどう過ごしたかもう覚えてない。
その翌日、かかりつけのクリニックに連絡をした。
こういう経緯で手術をキャンセルしました。
その後のことはひとまず、かかりつけの先生に相談してみてください。と言われました。
先生とお話しさせて頂きたいのですが、本日伺ってもよろしいでしょうか?
と。
今日はいっぱいなので、先生と直接お電話でお話しして頂くのは難しいですね〜💦
ひとまず、詳しく伺いたいので看護師にかわりますね!
と受付の方は非常に優しく案内してくれた。
そして、看護師さんにかわっていただいたのですが…まぁ、バチクソ感じ悪い返答が来ました。
キャンセルというのはどういうことですか?
勝手にされたのですか?
自然排出してしまったらどうするつもりですか?
紹介先から何の返答もまだ貰ってないのでうちでは排出されたものは見れないですよ?
などなど。
あ、路頭に迷ったな。やっちまったな。
と思いましたね。
そしてまた受付の方に引き継がれ、
とりあえず、今日の診察は難しいので、現状を先生に伝えますので、こちらから折り返しお電話してもよろしいですか?少しお待ち頂けますか?
と。この声、安心するな…。
もうあまり期待はしてないけど、折り返しをお願いした。
それから1時間程してかかってきた。
先生には伝えました。自然排出を待つことは了解しましたとのことです。
直接お話をしたいとのことでしたよね?
月曜日はいかがですか?
と、とりあえず、週明けに予約を入れて頂いた。
そして、月曜日。予約時間に伺い…。
例の看護師さんとまずはお話し。
うん、例の先日の圧強目な看護師さん。
あなたは今、宙ぶらりんな状態ですよ。
と。
紹介状を書いた先からまだ何の連絡もないので、
どうなっているのかこちらでは把握ができていない。
どういうお話になってるのですか?
一通り説明。
そして、診察室に呼ばれる。
なんか、先生の態度も心なしかいつもと違った。
最終的には、そんな事なかったようにも思うけど。
先生には色々言われた。
私はもちろん、自分のしたことがクソ忙しい医療現場に対してとても失礼で、迷惑行為で、自分勝手だったことは理解している。
確かに情報に踊らされたのかもしれない。
でも、それでも一つだけブレない想いがあった。
どんな選択をしても知らなかった事で後悔はしたくないという想いだ。
ありふれた稽留流産の患者かもしれないが、
私にとっては一大事だから。
自分の身体に起こっていることだ。
もう失われた命はかえらない。
それだけは理解していたから、
あとは、自分がなるべく後悔をしないように、
何があっても自己責任という思いで立ち向かいたかった。
それだけだ。
中途半端な気持ちで全てを終わらす
ということは自分の性格上出来ないのだ。
それが顕著に出た一件だった。
先生が私に向けた言葉は、
情報過多の時代を生きてる検索魔の1人。
的なモノだったように思う。
もちろん、お母さんの言ってることはわかるんですよ。
でも、今の時代の水洗トイレに流れてしまったらどうするんですか?
すぐ流れていってしまって、他人の糞尿に紛れてしまうんですよ?
矛盾してるんですよ。大抵の方が。
僕なら自分の子が他人の糞尿に紛れてしまうなんて耐えられないですけどね。
あぁ…そうですか。
と内心返した。
何も言い返すこともないし、
この人にとっては、私はそのような人に映ってしまったんだな、そういう物言いをしてしまったんだな、私のせいだな。
先生の判断を覆してしまったのだから、
そう思われても仕方ないよな。
もちろん、侮辱のつもりなんて1ミリもなかったけど。
私は自分の気持ちを伝えただけのつもりだった。
でも、医療に気持ちは関係ないのだ。
何かを否定したり、ネット情報が全て!なんて思ってもない。
ただ知らずにいた選択肢が急浮上して、
それよって生まれたモヤモヤを
一晩では解決どころか消化もできず、
ちゃんと考える時間が欲しかっただけなんだ。
でもまぁ、最終的には、
ひとまず、1週間様子を見てみよう。
次の月曜日までに自然排出されなければ手術しよう。
その時はしっかり覚悟を決めてきてね。
それまでに何かあればうちでちゃんと対応するから。
真夜中でも大丈夫、連絡して。
と言ってくれた。
それは本当にありがたかった。
そして最後に、看護士さんに、
排出時の取り方教えてあげて!
と言い、
私はまた違う別室にいった。
その時の看護師さんは先生のお話を聞いていたのと、
その時の私を見ていたからか、
心配そうな眼差しで私を見つめ、
自然排出待って全然大丈夫だからね!
と指でOKサインを作って喋ってくれた。
そして、優しく取り方を伝授して貰った。
先生はとても熱い人なのはわかっている。
だからこそなのも理解が出来る。
多分、30分は話をしてくれた。
受付に戻ると5,6名の患者さんが待っていた。
申し訳ない気持ちになった。
予約時間の10:00から診察までは多少待ったけど、
家に着いたらもう11:40だった。
ちなみに、クリニックは家の向かいのビル。
1分、2分で着ける場所だ。
なんなら1時間くらい話していたのかもしれない。
そして私はまた泣きながら家に帰った。
旦那はリモートで仕事をしていて、
私が帰ってくるなり、おかえりと私の顔を見た。
どうしたの?泣いてるの?何かあったの?
と声をかけてくれた。
それが昨日の出来事。
今日、なんとなく気持ちが落ち着いてきた気がする。
この続きは、次に書こうと思う。