ふじのくに茶の都ミュージアムでお茶体験。
お茶の新芽が息吹く初夏、出歩くにはいい季節なので、静岡県のふじのくに茶の都ミュージアムに遊びに行ってきました。
世界のお茶の文化について学びながら、茶摘みや抹茶挽き、茶道体験もできる楽しい施設です。
日本庭園は御水尾院の仙洞御所の庭、徳川幕府の茶匠を勤めた小堀遠州が作庭したものの一部を再現しています。
書院造の建物に、島と回遊式の池を配置してあります。池にせり出して釣殿があるのが王朝風ですね。
室内からの景観が素晴らしいだけでなく、池に舟を浮かべて遊んだり釣殿で涼むことができるのが、王朝文学に造詣の深い御水尾院好みの建築だと思います。
日本庭園はなるたけ自然の風景に寄せようとしますが、小堀遠州は「直線」を使って大胆に空間を作るのが特徴です。
当時の人の感覚ではどう見えていたのか気になります。
古民家で和風の作りなのに、屋内の装飾はステンドグラスやモザイクタイルでモダンに仕上がっていて、でも茶室はあえて田舎風に見せる贅沢な作りになっていて、庭はイングリッシュガーデン 、のような和洋折衷でバタ臭い感じと思われていたかもしれないですね笑
小堀遠州ゆかりの茶室、縦目楼(しょうもくろう)でお茶体験。
自分で抹茶を立てるコースと、お点前を拝見するコースがありますが、もちろん人にお願いします。
当日のお茶の奉仕は裏千家でした。
横目でしっかりとお点前を拝見…。
私が稽古をしているのは遠州流なので、どういう違いがあるのか観察です。
他の場所で裏千家のお点前を拝見して思ったのですが、遠州流は華やかというか、スタイリッシュというか、映えを意識している感じがします。
利休さんの侘び寂びの茶よりも室礼や茶道具が明るいので、手捌きにすこしエンターテイメント性があるほうが見栄えするのかもですね。
主菓子は紫陽花。いただいたお茶は、あっさりとした香りで、熱くもなくぬるくもなく、季節にふさわしい爽やかなものでした。
お茶はいいですね。
ミュージアムでは抹茶挽き体験もできます。
10グラムのお茶を作るのに20分茶臼を回して、抹茶が高価なのも無理もないと納得です。
挽きたての抹茶は若々しい茶葉の香りがして、どんなに素晴らしい風味だろうと期待が高まりますが、帰宅してさっそく服してみたところ、聞いて驚け
青笹の味がしました。
茶葉の風味がまったく落ち着いていない上に、香りが青すぎました。
抹茶の飲み比べをしていたせいか、お点前の稽古で使わせていただいく抹茶の品質がいいからなのか、
「これが新鮮な抹茶なのね!」
と感激するには舌が変に肥えてしまった気がします。
旨味成分「テアニン」がたっぷり入った抹茶は、トロッとした喉越しと香りのよさがファビュラス。お坊さんや都の貴人が愛したのも当然の天国の飲み物です。
茶道だと11月に茶壷の封を切って初出しの抹茶をふるまう
「口切りの茶事」
がありますが、それは茶葉を一度寝かせてエグミを落ち着かせる必要があった、ということではないかと思い至った体験になりました。