日vs外 教育システムの違い。
著者:ゆうき
海外のインターナショナルスクールに通った経験もある著者。しかし小学校の半分は日本の「どこにでもある」公立学校へ通学していました。
小学校の頃なんて別にどこだって変わらないでしょうって?
小学校こそ、そのカリキュラムによって一番差が出てくる学年であり、一番カリキュラムの違いを堪能できる場所です。
平凡な公立小学校からいきなり海外インターへ転校。もちろん一番大きかったのは言葉の違いですが、子供ながらに感じた決定的な教育方針の違いや方向性の違う勉強スタイルがありました。
この記事では海外と日本の教育の違いについて、両方の教育システムを体験し日本の教育が海外に勝っている点、海外に見習える点、そして海外教育の方が良かった点などを綴ります。
あくまでも実体験となり、学校によって差もあり、「海外教育」と一括にいっても多種多様ですのでその点はご了承下さい。他にこんな体験があった!と共感してくれた方は是非コメント欄でその貴重な経験をシェアして下さい!
海外に出て感じた日本教育のメリット
著者は海外のインターナショナルスクールへ通いました。しかし日本の公立学校での教育も小学生ですが、経験しています。
海外に出たからこそ分かる「日本教育」の素晴らしさ、最大の日本教育の良い点は「平均的」という所でしょう。
落ちこぼれる事もあまりなく、教師が全力でサポートする。全生徒が平均的な学力に育ち、同じ事を勉強できる。
平均的に良い人材を作る為には最適な教育システムです。
これ、馬鹿にしてるんじゃないかって?
全然違います。
全生徒が、多少のばらつきはあるにしても全国で似たような教育を受け、同じくらいの学力になる。
こんなの、有りえません。
しかも公立学校でここまで質の高い教育を受けることができ、公立学校であそこまで環境が整っているんです。
あの日本教育の素晴らしさには脱帽です。
平均的に良い人材が育つのは必ずしも悪い事ではありません。所謂「良い子」で想像する人格を作り出し、学力も平均的に全科目でまあまあ良い点数。
すば抜けてとある科目だけ得意になりあとは全然、中々無いですよね。
インターナショナルスクールでは学生によって学力が全然変わり、途中からクラスも分けられます。
できる子とできない子をペアにすることはなく、できる子はできる子を組みさらに深い内容へ進む→評価も高くなる。
できない子はできない子と組必要最低限の知識を身につける→評価は上がらない。
そんなシステムを作り出し、できない組になってしまうとそこから抜け出すのは大変。
教師側から寄ってきて「何が必要?」となんて聞いてくれる優しい事はありません。基本的に自分から教師へ「これ教えてくれ!!」と言わないと教えてくれない。
そしてそれをやる学生が評価されるのです。机に座ってノートをしっかりと書き、教師に「この問題分かる人?」で手を挙げて答える、そんな平凡も世界から見ると凄い事。
日本の教育だってメリット・デメリットあります。メリットだって沢山あるんです。
日本はアクティブラーニングが少なすぎる
しかしもちろん、デメリットだってあります。
一番大きいのが「アクティブラーニング」の少なさでしょう。アクティブラーニングはプレゼンやソクラティックセミナー、学生が主体となって進める授業や発表の事を指します。
授業と言うとよっぽどの事が無い限り先生が教え生徒が学ぶ。生徒の発言の機会は質問があるとき、手を挙げて指された時、程度でしょう。
それは全くアクティブでは無い。
本当のアクティブラーニングでは先生は見守るのみ。一切口出ししません。進行するのも、プレゼンの流れも、先生が上手に作ってくれるなんて事は無し。上手くなるのも、下手になるのも、完全自己責任です。
プレゼンテーション
プレゼンテーション。これは近年日本でも少しずつ取り入れられてきています。
その回数は圧倒的に少ないですが、インターではプレゼンテーションは月に最低でも1−2回はやる、課題といったらプレゼンというほどやる事です。
プレゼンテーションでは自分が調べた事や課題の内容をクラスメイト、教師へ発表する、パブリックスピーキングが鍛えられます。
文面で提出するよりコミュニケーションスキルが求められ、相手に伝えないといけないのでロジカルシンキングも身につくでしょう。
セミナー式授業
さらにはソクラティックセミナーという横文字が長すぎるスタイルも時々見られます。
これはプレゼンテーションの様な一方的な発表、クラスメイトは聞くのみというスタイルとは打って変わり、「全員で話し合う」というのが目的。
一人が発表して他が吸収して終了ではなく、全員が意見を出し合いさらに理解を深めて意見を高めていく、ちょっと交渉にも通じるものがあるのがソクラティックセミナーの特徴。
討論で相手の意見を負かすのではなく、お互いの意見を尊重して取り入れているというのが注意ポイント。
アメリカ式のメリット
日本の教育のメリット・デメリットを見てきた所で、インターナショナルスクールの代表的なカリキュラム「アメリカンスクール」を見てみます。
ここでのアメリカンスクールはインター式を指していて、アメリカ本国にある公立学校とは違います。
アメリカンスクールの一番のメリットとしてはその「柔軟性」でしょう。新しい物も取り入れていき、新しい考えも受け入れていく。
またそれがアメリカと言ったらの醍醐味でもある「自由」にも繋がり、アメリカンスクールは自由です。
スケジュールの組み方、単位の取り方、全てが自由。成績の交渉だってできます。
STEM教育を取り入れている所も多く、想像力をも必要としたり、ただの紙のテストのみで学生を測らないというのも特徴。
プロジェクトベースのアメリカンスクールではテストは少ないかもしれませんが、まるで大学、課題が多い。その課題は前項でも出たプレゼンテーションやセミナー、討論、エッセイの提出など様々。
実践で使えるスキルも身につける事ができます。
でも完璧では無い
そんなアメリカンスクールももちろん完璧ではありません。
アメリカンスクールの特徴でもある「自由」は方向性を間違えると取り返しのつかない事になります。
単位を落とせば、中学生だって「留年」ありえます。
伸び伸びと成長できる自由さの反面、自由で自己責任だからこそ大変な部分もあり、実際に高校2年生を3年間繰り返していた生徒がいました。
学校へ来なかったり、授業に来ない、テストを受けない、テストの点数が低い、これも自由です。
学校としては卒業してほしいのでサポートはしますが、学校側から歩み寄ってくれるのは稀。基本的にカウンセリングまででその後どうしようとそれは学生の自由が尊重されます。
この「自由」というのはメリットにもなりますが、怖いデメリットに変貌を遂げる事だってあるのです。
決定的な違いは〇〇
日本と海外の教育、海外と言っても広く多種多様なので一概に比較する事はできません。
ただ、日本の教育はすべてにおいて「整っている」のです。平均的な人材を育て、平均的に良い学生ができる。
「平均点」を好む日本のシステム、特徴はあまり出さずに一般的な「良い子」をつくるのには最適な教育システム。
ただ柔軟性に欠けていて、新しい事を取り組むのには時間がかかり、アクティブラーニングが圧倒的に少ない。暗記型教育に頼っていて思考を深めるのではなく長期記憶力は鍛えられるでしょう。
そんな日本の教育、世界から見ても賛否両論ありますが、普通に「凄い」教育システムなのです。
公立学校としては環境が整った、ほぼ無料で受けられる教育でこの質を維持できている日本の教育システムは評価できます。
さいごに
今回は日本の教育システムと海外(主にアメリカ)の教育システムとの決定的な違いについて見てきました。
日本は柔軟性にかけているが環境は整った、平均的な教育システム。
この教育システムも幾つかの改善点が取り入れられればさらに良くなるでしょう。アクティブラーニングを取り入れたり、もう少し考え方に柔軟性をつける。
アメリカンスクールでは自由が尊重されていますが、その自由は時に牙を向きます。自由の国アメリカのそれらしい教育方法ですね。
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当記事の英語版も公開されています。
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