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2024/07/01(虚)

 気まぐれに植えたバジルが根を張り始めて、世界のモデル化は恐ろしいとも思った。この純粋な驚きもなく、子供は植物が根を張ることを知っているのだ。長い間種のまま放置されていても、途中でちょん切られても、土に入れて水をかければ命が動き出すなんて、こんな驚きは他にない。と思いながら大きな車体のワゴンが行き過ぎて、価値というものの実態がなんだか分からなくなる。自分が尊いと思うものに、世界は価値を置いていないと思う。それは、誰もがそう思うのだろうか。モデルの偉大さも愚かさも分かっているから、モデルではなくただ一つの具体例だけを愛でていたいのに、それは間違っていることなのだろうか。車は多分、ボルボというやつだと思う。名前の響きが、もう自分はお呼びではないと思った。

 鶏の肉のことをチキンと言ってしまって、言った後ですごく落ち込んだ。矛盾ばかりしていて、最大級に愚かなのは自分だと思う。枠を嫌悪しながら、枠に思考が乗っ取られていく。

 駅前の通りでは顔に斜めの線が入った人たちが、重心を必死で前に傾けて歩いていた。桜の、知らないタイプのやつが歩道に迫り出していて、その花を横切る時だけ、その斜めの線が消えて目と口がチロリ、と動いた。無限に歩道のブロックのパターンが続くことも、そう決めた人がいる。ここに自然など一つもない。能動もまた自然と言えるほど人を愛せないから、この街は自然ではない、と思うのだ。

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