【注釈2020*vol.33】あの日から15年
マンションにぶつかった電車の下から助けを求める乗客の手だけが見えました。どれだけ手を尽くしても車両は動きません。その晩、阪神大震災で親族の親子が亡くなったことを思い出しました。
「しまった。あの人はきっと家族のだれかと話したかったのだ。せめて携帯電話で連絡をとって、すき間に入れてあげればよかった」
107人が死亡したJR福知山線脱線事故。現場につくられた資料展示室では、救出にあたった人たちのこのようなつらい思いを読むことができます。
惨事を知ってもらおうと、1年前はゼミ生と見学に出かけました。今年は緊急事態宣言を受けて、きょうから30日まで立ち入りが制限されます。その前に、おととい一人で手を合わせて来ました。
事故から15年がたちます。ウイルス感染拡大の報道に隠れて、節目のニュースは目立たないかもしれません。でも、あの日の記憶がよみがえる人は今なお多い。そのことは忘れないようにします。(2020/04/20記)
*今回から、字数を300字から400字に増やし、体裁も変えました。