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【注釈2020*vol.15】ああ無情

移民の貧困を描いた仏映画「レ・ミゼラブル」の舞台はパリ郊外のモンフェルメイユ。ユゴーの同名小説に「さびれた村」として出てくる。ジャン・バルジャンがみなしごのコゼットを宿屋夫婦から奪いかえす場面が有名だ▼コゼットは2歳で夫婦に預けられ、服はぼろぼろ、皿洗いや洗濯を言いつけられた。びくびくふるえるので「ひばりっ子」と近所の人は呼んだ。ひばりとはかわいいが、児童虐待である。ジャン・バルジャンが助けるまでの7年間、だれもがなおざりにした▼モンフェルメイユは今、ヘロインや売春の温床となり、その中で少年たちは懸命に生きる。小説も映画も子どもに無理解な大人社会を告発している。弱き者の声を聞き逃さないことだ。(2020/03/25記)