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私的2020年今年の10冊+1
毎年やっております今年の10冊+1。
ルールはなるべく今年出た本(もしくは昨年末)で今年という年を象徴した本から漫画を含む11冊を選ぶこと。
ちなみに去年はこちら。
今年のベストはこの一冊。
『ブルシット・ジョブ――クソどうでもいい仕事の理論』
今年ブームを巻き起こしたしたブルシットジョブ! なぜ給料がいいのに働いている本人がクソどうでもいい!と絶望してしまうような仕事が生まれてしまうのかを巡る考察はコロナ禍の今年にあって仕事と生きることの関係を再考するのに大きく貢献しました。
2冊目、今年の準ベストは
『ゲンロン戦記-「知の観客」をつくる』
東浩紀のゲンロンを巡る10年の歩みは私的な事業の振り返りでありながら2010年代というこの10年を考えるヒントが多く書かれています。
小説(?)からは昨年末に出たこの一冊を。
『青い秋』
アイドル評論家の中森明夫が80年代に出会った岡田有希子や後藤久美子と宮沢りえ、そこに関わる人々の熱を伝える本です。そこに描かれているのは煌びやかな世界というよりそこに生きる人々の生。この本に出てくる男も女も全ての登場人物が美しく思えました。
スポーツからはこの一冊を。
『たった一人のオリンピック 』
マイナーな種目で孤高に五輪を目指した男達。内容自体は80年のモスクワ五輪前後の頃に書かれたものですが、この本に書かれていることは来年の(?)東京五輪を考える上でとても大事なように思えます。
これも昨年末に出た本ですが、強烈なインパクトを残した一冊です。
『聖なるズー』
ドイツの動物性愛者達を追った本なのですが、彼らの性愛に対する考え方を聞くことで対等な性愛とは何かを考えさせられます。
死生学を考える一冊としてはこの一冊を。
『兄の終い』
翻訳家として多くの本を出している村井理子さんが関係があまりよくなかった兄の急死の遺体引き取りや様々な整理をした様子を書き記した一冊です。
コロナ禍の今年ほど自分や人の死を考えた年はなかったかもしれません。そんな今にぜひ読んでほしい一冊です。
本についての本はこの一冊を。
『中年の本棚』
40代の私にはこれほど刺さる本の本はありませんでした。中年とは決して自然になれるものではありません。色んなことを考えて感じて中年としての自分を受け入れてやっと中年になれるのです。この本にはそれを学べる本達が数多く紹介されています。
ここからの2冊は個人的な事情による今年の1冊です。今年は個人的な事情でフェミニズムやジェンダー、包括的性教育についてたくさん考えた1年でした。
フェミニズム、ジェンダーからはこの一冊を。
『フェミニズムはみんなのもの 情熱の政治学』
黒人のフェミニズム運動家、ベル・フックスは自身のそれまでの活動を通してフェミニズムとは何かを書いていきます。多くの人がフェミニズムとは何かを誤解していると思います。ぜひこの本を読んでほしく思います。
今年は性教育の本がたくさん出ました。その中からこの一冊を。
『児童青年の発達と「性」の問題への理解と支援
自分らしく生きるために 包括的支援モデルによる性教育の実践』
和歌山大学教育学部の包括的性教育の取り組みがまとめられた本です。包括的性教育をどう進めていくかの参考にもってこいの一冊です。
漫画はこの一冊を。
『昭和天皇物語(7)』
令和の今に天皇制を考える上で多いに勉強になる漫画です。この漫画を読むと天皇制はただのシステムではなく、多くの人々の人生によって形づくられたものだと感じられます。
今年出た7巻では大正天皇が崩御しついに昭和が始まります。
最後のおまけの一冊は今年出た本ではないですが、どうしても今年を象徴するこの一冊。
『史上最悪のインフルエンザ 忘れられたパンデミック』
100年前のスペイン風邪パンデミック。実はそこに現在のコロナ禍を乗り切る術がたくさん書かれています。歴史は繰り返しているのです。