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『スター・ウォーズ 最後のジェダイ』レイの出生について思うこと

 『スター・ウォーズ 最後のジェダイ』では主人公レイの出生が明らかになります(当然、この記事にはネタバレ情報があります)。
 これについて考察している人が少ないのですが、実はレイの出生はとても興味深い現象が見えるので、今回はそれを書きたいと思います。

 実はスター・ウォーズには、映画になっているのとは別のエピソード7から9がありました。それが小説として出版されていたのです。映画版の7から9が違うストーリーになったことで、映画のストーリーを正史(カノン)、それまでの7から9のような別のストーリーを非正史(レジェンス)と分けることになりました。

 面白いのはレジェンスのエピソード7から9と現在の映画のストーリーの比較です。
 レジェンスでは、レイアとハン・ソロに男女の双子ジェイナとジェンセンが生まれます。ジェンソンは祖父アナキンの様に闇落ちしてしまい、それをジェイナが倒すというのが大まかなストーリーです。
 わざわざ新ストーリーとしてつくった正史であるエピソード7のストーリーも、実はレジェンスにこの基本部分が似ています。レイアとハン・ソロの間にできた男の子であるカイロ・レンが闇落ちし、それに向かい合うのはフォースに目覚めジェダイとなる女性のレイ。二人の名前が似てるとこまで同じです。

 これでレイが実はレイアやルークの子どもだったとなれば、正史もレジェンスも基本となる話の筋は同じになっていました。
 ところが、最新作エピソード8『最後のジェダイ』で、レイの出生が明らかにされます。彼女の両親は(ストーリー的には)名のないただの貧困者でした。
 『フォースの覚醒』でレイがいた場所はゴミだらけの場所で、彼女はゴミ漁りをしていました。まさに貧困の象徴となる場です。そんな中にいた彼女に、実は秘められた出生があったということでもなんでもなく、彼女は名もなき貧困者だったのです。
 私はこの設定を知った時に非常に現在を意識しているなと感心しました。スター・ウォーズから40年。当時は貧しい国と富める国に分かれていた格差は姿を変えました。貧しい国はもちろん今もあるものの、貧困は世界へと拡散し世界中の国で格差と貧困が大きな問題となっています。
 だからこそ、スター・ウォーズはあえて主人公を何の特別な出自もない貧困出身者にしたのではないか。もし、世界が40年前のままの様であったなら、スター・ウォーズ正史はレジェンスのようにレイをアナキンの血統にしたのではないか。そう思えてなりません。


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