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パルムドール受賞記念! 是枝裕和作品は血縁に依存しない家族性がテーマ
是枝裕和監督が『万引き家族』でカンヌ映画祭での最高賞であるパルムドールを獲得しました。ということで、今回は是枝裕和監督作品に共通するテーマについて書きたいと思います。
是枝裕和作品は家族がテーマであるというのは誰もが思うところでしょう。しかし、私はそこに血縁に依存しない家族というものがあると考えます。血縁故に家族ということでなく血縁とは別の要素によって家族がつくられているという意味です。
福山雅治主演で大きな話題となった『そして父になる』は分かりやすいですね。取り違えによって親子の血縁はありません。でも時の流れによって家族になっていく。だから時を経て「父になる」わけです。
『海街diary』は『そして父になる』と違って父親が一人だけ違う四姉妹の物語です。血縁はありますが、それ以上に彼女達を家族として結びつけるのは親の影響と思われる男運の悪さという共通点です。時には鏡を見るような苛立ちもありますが、この絆が四姉妹を家族にしていきます。
『海よりもまだ深く』は分かりやすいでしょう。離婚した夫婦を中心に子どもと祖母の四人の交流を描きます。彼らは元家族であって、血縁がある人もない人もいるわけですが、微妙な結びつきがあり、今も家族のようであるわけです。舞台が昭和の家族の一つの象徴であった団地というのも絶妙です。
私が最も好きな是枝裕和作品は『空気人形』です。この映画はラブドールが突然意識を持って動き出す話です。さすがにこの話は家族に関係ないかと思いましたが、この映画ってみんな空気人形みたいに空っぽで替えが効くような存在じゃないか、だからこそその空っぽの気持ちを埋め合うのに他者が必要なのではないかという話のように思えます。このテーマは家族というのが血縁でなく結びつきにこそ意味があるのだという他の是枝裕和作品と繋がってくるのかなと。
『空気人形』はぜひ多くの人に見てもらいたい。