麻生太郎義務教育発言をよく聞いてみた
麻生副総理の昨年9月のN高での講演での発言が今ごろになって話題になっているらしい。「義務教育は小学校まで」「微分積分やサインコサインはいらない」と発言していたらしく非難が殺到している。
現在もこの講演は公開されているので早速動画を見てみた。
問題の箇所は25分くらいののN高の生徒の質問に答える場面。
「今の教育は中学などは個人の多様性が抑え込まれてる教育の仕方だと思います。(中略)今の教育はベストな仕方ですか?」
という質問に対して出した麻生副総理(以下敬称略)の答えの中で中学の非義務教育化の話が出てくる。
麻生は日本の近代の一斉教育がその時代に合っていたが、今はもっと多様な教育が必要だと持論を述べる。その為に現在の高校の様に中学から様々な選択肢があった方がいい。一方で大事な基礎の部分は必要ということで幼稚園を義務教育として、現在の小中から幼小へと義務教育を変えるべきだと述べた。
どうだろう? これはなかなか興味深い提案ではないかと思う。
まず幼稚園の義務教育化は魅力的だ。世界中で不景気になった90年代にスウェーデンが最も教育効果が高いからと幼児教育を無償化した。日本では保育園との並立をどうしていくかという課題があるが幼稚園の義務教育化はかなり多くの方が賛同するのではないか。
問題は中学校の脱義務教育化だ。
反対している人は中学校が現在の大学の様になることを危惧してるのだと思う。大学は様々な専門知識を深めることができるが、現状では授業料も高く誰でも通えるわけではない。また、大卒かどうかでその後の就職にも大きく影響する。
一方、高校は公立ならばほぼ誰でも無償で通える(私立も差額分で学べる)。中学との違いは多様な学びの機会があることだ。学ぶことも学び方も多様。学区の学校に縛られることもない。
麻生の普段の発言から問題視する人も多いが、麻生があの場で言っている中学の脱義務教育化は中学の大学化ではなく高校化であることは明らかだ。講演の場がドワンゴがつくった新しい高校であるN高であることからもそれは明白である。
今、高校は激変している。現在、高校生の10人に1人がN高の様な今までの枠に収まらない高校で勉強している。
その高校改革の波が中学まで及ぶには中学校の根本的な形が変わる必要がある。麻生はそれを言っているのではないだろうか。