惜別
吉本ばななの『ムーンライト・シャドウ』が映画化されるという記事を読んだ。確か、本棚にあったなと思い、出してきて、読み返した。
なんと言うか、生きる力がみなぎっている作品だと思った。死者がいて、生きている者がいて、生きている者は、生き続けていくから、死者からどんどん離れていく。だから、惜別の情がわくのだけれど、この作品の惜別は、悲しくない。というと語弊があるが、とてもすっきりしている。当たり前のように生きる。だから悲しい。けれどそれは透明で、粘り気がない。透明、という言葉は、この作品の中に、何度か出てくる。
その夜、『キッチン』も読んで、眠った。