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相手の行動に影響を与える関わりとは?

 上司のが進行中の案件について、部下のYさんに声をかけました。

上司:「Yさん、あの案件は今どういう状況?次の打ち合わせはいつだっけ?」
Yさん:「はい、来週火曜日です。」
上司:「サンプルとか場所とか準備は大丈夫?」
Yさん:「はい、他社品含め一通りそろえて準備しています。」
上司:「あれ、これって○○部のOさんに見てもらった?」
Yさん:「いえ、まだです。この打ち合わせの時にと思ってました。」
上司:「いや、その時だと遅いよ。前もって共有しといてって、先週もいわなかったっけ?」
Yさん:「はい、すみません。」
上司:「じゃあ、今日明日中に一度見てもらった方がいいね。やっておいてね。」
Yさん:「はい、そうします。」
上司:「よろしくね。」

◎探索へいざなう

 上記の会話で上司が扱った質問は、部下のYさんへどのような影響を与えたのでしょうか?

 私達が普段扱う質問は、自分が知りたいための質問をしてしまいがちです。それは「自分が知りたいことを知る」ための、確認のための質問だからです。
 これでは、相手には行動どころか、気づきを与えることもできません。

 効果的な質問は、相手の行動に影響を与えます。
 ・相手が行動を始める。
 ・相手が行動を変える。
 ・相手が行動をやめる。
 そうして、本人が気づいていない、見落としている可能性や知識や経験を対話を通して一緒に探索することができます。

※同じような考えや表現で「引き出す」という表現があります。
 答えは相手の中にすでにある、内側に持っている。それを引き出す人がいれば、相手は内側の奥底から見つけ出すことができる。
 これは、引き出す側と引き出される側の力関係が生まれ、対等ではなくなると考えています。
 一緒に問いを共有し探索し発見する。これが醍醐味だと考えます。
 この意識の違いが、同じ問いをしたとしても、引き出す関わりであればそれはトレーニングとなってしまい、結果、相手の行動はこれまでと変わらないことになるでしょう。

◎質問の目的

 的確で刺激的な質問は、相手を創造的にし、行動的にします。そのためには目的を持った質問を作り出す必要があります。
 いくつかご紹介します。

  1. 視点を変える。

  2. リソースを探す。

  3. 物事を具体的にする。

  4. 知識、スキルを棚卸する。

  5. 未来を予測する。
    ・・・これ以外にもまだたくさんあります。

 これら目的を持つと、先ほどの上司とYさんはどうなるのでしょうか?

上司:「Yさん、あの案件は今どういう状況?何か気になることはある?」
Yさん:「はい、準備はできていますが、、、自信がないです。」
上司:「なるほどね。何か不安な点や問題はあるの?」
Yさん:「そうですね。他社品含め一通りそろえて準備していますが、それで十分なのかと思っています。それと○○部のOさんの意見が大きいので、上手く進めたい方向へとプレゼンできるか、伝えたいことが伝わるのか不安です。」
上司:「そうか、方向性と伝わるかどうか。何とかうまく進めたいところだね。○○部のOさんの立場で考えると、どんな質問をしてくるのだろう?」
Yさん:「そうですね、まずは、価格面や供給の安定性について聞かれると思います。」
上司:「そうだね。営業窓口への説明の際に最低限必要な情報だよね。他にはあるかな?」
Yさん:「はい。他には、この商品のフックとなるポイントが何か、一言で言えるようにしておくといいかもしれません。」
上司:「いいねえ。そうすることで、方向性を示したうえで議論もしやすくなりそうだね。」
Yさん:「そうだ、他には、、、、」

 上記の目的の1つ「視点を変える」を実践しました。
 これは、上司はYさんの意見を受け止め、自分で選択できる状態を準備しました。たとえ、これまでのYさんの経験をしたことであったとしても、改めて1つ1つの選択肢を受け止めてもらい、認識することで、いくつかある他の選択肢の中から選んでいるという確かさから自信につながります。
 また、立場を変えることで、新しい考えを見つけるように支援しています。

◎自分を知る

 あなたが普段よくする質問はなんですか?それは何のためにしているのでしょうか?
 その目的を一度振り返ってみましょう。
よくする質問 例)最近の調子はどう?
その質問の目的 例)部下の状況を把握するため。

※「目的」というnoteも参考になると思います。

◇内容について気になる、もう少し詳しく聞きたい、お話してみたいなど、お気軽にご連絡ください。
―問い合わせはこちらから―


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