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あなたはコミュニケーションを何と訳しますか?

 「コミュニケーション(Communication)」には日本語訳がありません。
 —あなたは何と訳しますか?

 語源は、ラテン語の「コミュニス(Communis)」「コモン(Common)」、「コムカチオ(Communicatio)」と言われています。それぞれ、「共通の」「共有する」「分かち合う」といった意味です。つまり、コミュニケーションとは何かを「共有」するためのプロセスと言えるのではないでしょうか。

◎コミュニケーションとは?

 コミュニケーションのうまい人ってどんな人?と聞くと、「伝えるのがうまい人」「話をよく聞く人」「相手に合わせて伝える人」「共感する人」などがあげる人が多くいます。

 コミュニケーションという言葉を検索すると、「伝達」「通信」「交流」「情報伝達」「報道」といった言葉が並びます。また辞書で調べると次のように「伝える」ということが書かれています。

言葉による意思・思想などの伝達

新明解国語辞典

(1)社会生活を営む人間が互いに意思や感情、思考を伝達し合うこと。
          言語・文字・身振りなどを媒介として行われる。
(2)動物どうしの間で行われる、身振りや音声などによる情報伝達。

デジタル大辞林

 世の中には、伝える力、聞く力などコミュニケーションスキルに関する本が多くあります。
 また、「伝える」「聞く」というと、一方向だけの矢印が頭に浮かびます。しかし、「伝達し合う」という表現からは、矢印が双方向に向き合っているイメージが頭に浮かびます。

 しかし、なぜ「言ったつもり」「伝えたつもり」「わかったつもり」「共有したつもり」といった、ミスコミュニケーションが起こるのでしょうか。
 それは、先述した「共有する」という観点からのアプローチが欠けているからかもしれません。スキルを活用してその場は盛り上がるかもしれませんが、それは”会話”であり”対話”でないことがほとんどです。
 確かに、スキルを得、それを実践していくことで得るもの屋変わっていくものは沢山あります。しかし、それ以上の関わりをしようとしたとき、ある壁にぶつかります。

◎自分の捉え方

 福澤諭吉は沢山の言葉残したそうです。例えば「経済」「社会」「競争」「自由」「演説」。その中に「人間交際」という言葉を残しています。コミュニケーションを人間交際と訳しています。しかし、これは消えてしまっています。もし、この言葉がそのまま残ってたとしたら、今の日本人のコミュニケーションの捉え方はどうなっているのでしょうか。
 なぜ、「人間交際」という言葉と選んだのでしょうか。近代化していく日本は、これから人が財産となり、人と人との関係性がより大事となってくることを考えていたのでしょう。
 
 何事もそうですが、その物事に対する、今回の話では、コミュニケーションに対する自分の理解、解釈、捉え方以上の関わりかた、成果を得ること、行動を起こすことはできません。
 それぞれの価値観やポリシー、文化などが異なる前提で言葉を介して行われる対話は、お互いを尊敬し双方の背景を踏まえ、今その場面を共有しているのです。
 まさに「人間交際」という言葉にふさわしいです。しかし、相手と自分が違う前提で、違うことを尊敬する姿勢で向き合っているでしょうか。お互いの意見や前提の押し付け合いになっていないでしょうか。

 「自分を知る」でも書きました。自分自身を知ることで周りへの関わり方が変わってくると思います。

 まずはコミュニケーションという言葉を自分自身がどう捉えているのか、相手をどんな捉え方をしているのか、そこから向き合うことが大事だと思います。

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