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デザインの世界に踏み入れた日ー『ROOTS OF FUTURE 過去を探って、未来を見つける』を訪れて

先週の日曜日、東京ミッドタウン・デザインハブで開催されていた企画展「ROOTS OF FUTURE 過去を探って、未来を見つける」に訪れた。同時に、日本デザイン団体協議会(DOO)ジャパン デザイン ミュージアム設立研究委員会(JDM)が開催するトークセッションも見学した。

DOOは、空間デザイン、グラフィックデザイン、インテリアデザイン、インダスリアルデザイン、ジュエリーデザイン、パッケージデザイン、サインデザインという七つの協会で構成されている。トークセッションは、各協会の理事長などが集まり、各領域から見た過去と未来を議論するものだった。

ビジネスの領域から方向転換して、デザインの領域に足を踏み入れようとしているタイミングでこのように全体感を知れるなんて、贅沢すぎると思いながら向かった。まだまだ知識は浅いが、企画展とトークセッションから特に印象的だった点を書き留めておく。


デザインの系譜 1950年代から2020年代まで

まず、この企画展の中心である、デザインの系譜。
先ほどの七つの領域に加えて、クラフトデザインが加わった八つの領域に関して、1950年代から2020年代までの変遷を各年の代表的なデザインをもとに辿っていく。

1950年
1960年以降の系譜は訪れてみてみてください!

すごい。30歳が近づいてきて、知識ではなく知恵を習得することの難しさと大切さを感じている。00年代の雑誌などを読んで、「あれ、この時も歴史の大転換期って言ってるじゃん。」と思い、短期的に物事を考えることに懐疑的になっていて、より長い時間軸で考えることが必要だと思っていた。なので、ある領域について、体系的に整理してくださって、本当にありがたい気持ちで眺めた。ありがとうございます。


そして、「領域」という縦軸と「時間」という横軸の他に六つの視点での展示もされていた。それが以下である。

Tokyo Midtown Design Hub. 「ROOTS OF FUTURE 過去を探って、未来を見つける」より

「安全にする」「障壁を下げる」という二つに関しては、生活者としてあまり受け取るタイミングがなかったので視点の獲得になった。
でも、何より驚き、嬉しかったのは「創造的にする」が一番最初にあったこと。これこそ私(や大好きな渡邉康太郎さん)が大切に思っていることであり、それがデザイン全体でも重要な視点とされていることを見て、思わず心の中でガッツポーズした。私はこれを中心としたデザイナーになりたいのだと思う。


その他にも、氷結のパッケージのダイヤカットは、NASAのソーラーパネルにも応用されている技術で、ブランドイメージの爽快感を表現したことを知って、次の日に買ってしまった。一見遠いところからアイデアを持ってきて、独自なものを作ることは楽しそうだ。また、強さと思想という難しいお題を広告の変遷で表現しているものもあり、20世紀の暴力の時代を振り返ることができた。




トークセッションも非常に面白かった。(意外にも?)お偉すぎる皆さんが柔らかくて、とても楽しんでいる雰囲気だった。良い意味でイメージと違って、デザイナーの方々って、こういう雰囲気なんだ!好きだ!ってなった。

「時を超えて価値あるデザインのエピソードを教えてください。」など、具体的でありそこから抽象的な示唆を得られそうな問いについて、皆さんが順番に回答する流れだった。

印象的なお話がたくさんあったが、その中でもジュエリーデザイナー協会の長井さんのお話で、結婚指輪はイタリア語で「fede」という。これは、語源となったラテン語では「信頼」という意味である。なので、結婚指輪は信頼そのものである。だから大きさが違っても重さは必ず一緒にする。
というお話。いやいや、そのお話エレガントセクシーすぎますよ。

あとは、グラフィックデザイン協会の天野さんが仰られていたこと。
「みる」という漢字はたくさんある。「見る」「観る」「視る」「看る」。いまはほとんど「見る」が使われている。その上で、現在はほとんどが画面上で見れる。足を使わず見れる。でも、「見る」という漢字には足がついている。その足がなくなって「目」だけになっている。これは足がないので、本来の「見る」ではないとのこと。
「見せられる」ことが多くなりすぎているという違和感があり、それをキュートに表現してくれた。

あとは、インダストリアルデザイン協会の太刀川さんの話は一貫していて、意志を感じた。デザイナーの目標は「時間を超えること」。すなわち、普遍、不変であること。本当に良いものは形は変わらなくて良いからサステイナブルである。美は人類史より長い。花は美しいけど、もちろん人間のために美しいのではなく、虫が寄ってきたくなる形をただ人間が美しいと思っている。
かっこよかった。聴きながらワクワクしている表情をしている時に目が合ったような気がして、ドキドキした。


とにかく、展示も、皆さんもかっこよくて、デザインに関わっていきたいという気持ちがより強くなった良い機会でした。
どこかで、お話されていた方と一緒に仕事することを楽しみに待っておこう。



あ、これに刺激を受けて、何かを表現したくなって、次の日に自分の目をたくさん撮った。


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Yugi Miyachi
おいしいフルーツやお肉をいただきます。大きな励みになります。

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