初段ってなんですか?
今日は、囲碁の
初段
について、お話ししてみたいと思います。
囲碁の初段、とはどういう棋力の方を指すのか。
一級とは何が違うのか?
そのあたりを、考察していきたいと思います。
まずは、ひとつの道標、
のような意味合いが初段にはあります。
とくに、級位の方、また、
始めたばかりの方にとっては
段
というのは、一つの憧れではあります。
さすがに、級位者がいきなり六段目指します!
も、無理があるかと思うので、
初段は現実的な目標なのかと思われます。
級というと、どうしても含まれる、
練習生、勉強中、という
ニュアンスを嫌い、
段、
というものに憧れを持つ方は、
少なからずいらっしゃいます。
また、残念ながら、
一昔前、
あるいは、今もかもしれないですが、
級位者お断りの碁会所が存在します。
そこで、言われるのが、
「とりあえず初段取ってから
またおいで」という言葉です。
たしかに、古いタイプの、年配の席亭さんの中には
人と対局するなら、とりあえず初段ぐらいは
という考えを持つ方がいるのは事実です。
さて、ここで、日本棋院は
アマチュア初段のことを、
どう捉えているのでしょうか。
詳しくみて参りましょう。
をご覧ください。
免状の文面、なかなか興味深いです。
一級までの免状は、
棋道の志篤く
とあります。
やる気あるじゃん!
との評価が下されております。
に対して、初段の免状には
棋道執心、修行懈怠なく
棋道に心を砕き、さらに、勉強熱心だね!
との評価が。
やる気だけではなく、
勉強もしっかりやっていると褒められました。
さらに、面白いのはその先。
勉励上達の心がけ肝要
初段の免状には
こうるさい小言が、付いてきます笑
ようは、さらに上達できるように、
しっかり勉強しよう!
級の免状にはなかった、小言がついてきます。
段をとっても、まだまだ勉強は続くようです。
さて、気になるのはそのお値段。
1級から9級が5500円なのに対して、
初段はいきなり33000円に跳ね上がります。
跳ね上がり率6倍。
初段は甘くない
という、日本棋院の強い意志を感じます。
初段というのは、やはり、
一つの到達点では、あるようです。
さらには、こちら。
再発行料が、
級だと2750円に対して、
段だと11000円に跳ね上がりました。
跳ね上がり率4倍。
有段者は、免状を破損したり、
なくしたりしないように気をつけてください。
さらに追贈のところは…
級は送れません!
追贈するのは、初段以降になります。
やっぱり、段
の響きのかっこよさを
日本棋院も感じていることが
読み取れます。
さらに、
箱入りになるのも初段以上になります。
段は箱入り。級はそのまま渡し。
こうしてみると、
免状の初段と一級の間には、
大きな大河が流れていることが、
よく読み取れます。
さて、では、ここからは
一級の方と初段は何が違うのか、について
碁会所の席亭として、
さまざまな1級とさまざまな初段を見てきた
経験からお話しいたします。
手抜きと捨石
ここに尽きるかと思います。
実は、これ、相当、本能に反する行動なんです。
まずは
手抜き
これ、実は相当難しい。
やはり音がした方に注意がいくのは
当たり前の話です。
そこで、一度頭をリセットして、
手抜きができるかどうか。
初段の方は、手抜きがある程度できます。
手抜きを勝ちに繋げる手段として、
ある程度使いこなせるのが、
初段かと思います。
もちろん、初段は初段であり、
高段ではないので、
高段者同士でよくある、手抜きの応酬、
フリカワリの連続、にはなりません。
なりませんし、手抜きが妥当かどうかは、
全く別問題ではあります。
ただ、級位者の方は、基本的には相手の手への
応手を軸に考えることが多く、
手抜きがほとんど出来ず、
手抜く意識もだいぶ希薄なことが
多いように思われます。
手抜きができれば初段
手抜きができなければ級
ここは、日頃見ていて、
強く感じるところではあります。
さらにもう一つ。
捨石
これは。。
実に難しい。
石を取られては損、という、
最初にされる教えが、
この捨石という考えを邪魔します。
取られてはいけない、という意識が
あまりにも強すぎるので、
全ての石を取られないようにする、
という。
結果、捨石ができない、ということに
なってしまいます。
石を捨てる、発想がもてるかどうか。
ここは、一つの分かれ道のようにも思います。
捨石が考えられれば初段
捨石ができなければ級
これも、日頃感じているところです。
手抜きと捨石 両方できれば初段
これが、私の結論です。
もちろん、不完全でもなんでも構いません。
この両方を意識しながら対局できれば、
初段と言ってよいかと思います。
片方できれば、1-2級。
かなり強い級位者であり、
初段ははっきり視野にあります。
両方できない場合は、級で、
まだ初段もしばらくかかりそうな感じがします。
初段にならなきゃいけないの?
この質問は、実際に
生徒さんにも、小さな生徒さんの
保護者の方にも受けたことがあります。
結論から言うと
そんなことは全くありません
はっきり言って、棋力は、
追い求めていくとキリがありません。
何段になろうが、
その上がゴロゴロいるのが現実です。
そして、強くなればなるほど面白い、
とか、
有段者になると見えてくる景色が違う、
とか、
たまに聞くんですが、
級位歴10年以上の自分の意見としては、
別に強くなるに連れて、面白くなってきた
とは思わないし、
見える景色も大した変わりません。
努力する目標として、初段を掲げて、
それを目指して、一生懸命頑張る、
と言うのは大変素晴らしいことだと思います。
ただ、初段になれない、
ということで、自分を責めたりするのは
絶対にやめていただきたく思います。
ずいぶん長くなりました笑
こんな長文を読んでいただいて、
ありがとうございます。
今度は、いずれ、
自分がどうやって初段になったか。
そして、用賀の教室に来る生徒さんで、
初段になった方は、どんなことをやっていたのか。
初段を目指す級の方の参考になる記事が書ければ、
と思っています。
それではまた。
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