[#123] 生まれ変わりのエジプト旅⑪
エジプト旅の続き↓
シナイ山の山頂を目指して、真っ暗闇の中を歩くぞー!
暗闇を歩く
ラクダに小一時間ほど乗っていただろうか。
山の中腹にある山小屋に着き、我々はそこでラクダを降りることになった。
山小屋で休憩をし、山頂を目指して皆で歩く。
我々が山小屋を出発するや否や、わらわらと10名ほどのエジプト人が群がってくる。
彼らは、言うなれば志願制の“お手伝い要員”のようなもの。
荷物を持ったり、肩を貸したり、山登りのサポートをすることで、小銭を稼ぐ集団だ。
エジプトでは、物売りだけではなく、親切な行いをすることでお金を要求する人々が、そこら中にいる。
これも一種の文化というか、エジプトでは“そういうもん”なのだ。
ここシナイ山でも例外ではなく、というかむしろバージョンアップ版で、それが起こっていた。
15名のそこそこ大きなグループだから、チャンスとばかりに大量の人々が群がってくる。
あまりの多さに歩きづらかったので、おーちゃんがガイドさんを通して、「我々には必要ないので、ここで諦めてくれないか」ということを伝えてくれた。
が、誰一人引き下がることなく、同じ調子で群がってくる。笑
申し訳ないが、こちらからすると“しつこい”と思ってしまうのだが、その貪欲さや“動じない精神”に気づかされることもあった。
諦めたらそこで試合終了だが、我々についてくれば“ワンチャン”あるかもしれないのだ。
最後まで可能性を諦めなかった人に、チャンスはやってくるもの。
チャンスには食らいつく!、出来ることはやる!、そのガッツがすごいなと思った。
それに、お金を純粋に求める、人の目なんて気にしないという、
自分の欲求に素直というか、思うがままに生きるその姿が、なんだかピュアにも思えた。
日本では、お金をねだるなんて品性の無い行為だと思われがちだが、「欲しいものは欲しい」と純粋に求める姿が、新鮮にも映ったのだ。
そういうガッツや、「自分の心に素直に」、という部分には、見習うべきところもあるなぁと冷静に思ったりもした。
私たちにとっては“ありがた迷惑”なこの行為だったが、一方では、助けられる人もいるというのは事実だろう。
大きい荷物がある人、足腰があまり強くない人などは、彼らのヘルプがありがたいものとなるだろうし。
ここでも、「今を生きる」、「今に一生懸命」というエジプト人の一面を垣間見た。
ご来光を待つ
暗闇の中の山道を、休み休み登っていく。
休憩の度に星空を見上げ、その都度、思わず感嘆の声が出る。
写真には上手く写らなかったことが残念だったが、しっかり肉眼に焼き付けておいた。
我々が高度を上げるにつれ、先ほどの群がる集団は一人、また一人と離れて行き、いつの間にか皆いなくなっていた。
流石にここまで来れば、下で新たな客を待つ方が、望みがあると判断するのだろうか。
そうこうしている内に、我々はシナイ山の頂へと辿り着いた。
山を登り始めた頃から、辺りは冷えていたが、山頂は一層寒かった。
ご来光まで、岩にじっと座って待っていたのだが、冷え切った岩のヒンヤリ感に、お尻はカチコチに固まっていた。笑
お尻を凍らせながら待っていると、さっきまで満天の星空だったのに、東の空が少しずつ明るくなってくる。
だんだん明らんでくる空を前に、まだか?まだか?と待ち遠しく待つ。
しかし、ここからがまぁまぁ長かった。
岩からのヒンヤリが骨まで沁みてくる。。。
辛抱強く待っていると、ついに!見えたぞー!真っ赤な太陽が!
一旦太陽が出ると、どんどん昇っていき、あっという間に辺りを真っ赤に染めた。
「美しい」、その一言に尽きる。
太陽のエネルギーが全身に満たされていくようなイメージで、日光を浴びた。
思わず手を合わせずにはいられない程、神々しかった。
エジプトに来れて、シナイ山という神聖なこの地で太陽を拝めたことが、ただただ有難かった。
こんな機会に恵まれるなんて、感謝以外の何物でもない。
太陽が出てくると、やはり暖かい。
冷えた体が暖かく包み込まれていき、太陽の偉大さや有難みが、身に沁みた。
日本やエジプトを始め、人類が古代から太陽を崇拝してきたのも、ごく自然なことだと思えた。
この場所で、太陽のパワーを十分堪能した後、下山することになった。
山を下り始めると、さっきまで見えなかった景色が見えてくる。
こんな山を私たちは登ってきたのだということに、ここで気がついた。
太陽に照らされた岩山もまた、とても美しかった。
途中にある売店のようなところで、石が売られていた。
シナイ山でしか買えない独特の模様が入った石や、クリスタルなどが所狭しと並べられている。
我々はそこで思い思いにショッピングを楽しみ、途中の山小屋まで下山したのだった。
つづく。
最後までお読みくださりありがとうございました。
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