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【ELDEN RING考察】暴竜ベールと嵐の王について
初めまして。お久しぶりです。
あやたか。と申します。
当記事は前提として、ゲームクリア後に閲覧される事を想定して書いております。
また今回、DLC『SHADOW OF THE ERDTREE』の内容も含まれており、そちらのクリアも前提として書かせていただいております。
故にネタバレを恐れる方々には、ページをそっと閉じていただく事を推奨致します。
考察部分に関しましては、文体を変更して書かせていただいております。そちらのほうが書きやすい為です。ご了承くださいませ。
前回(と言いましても約2年前になりますが)、こちらの記事にて『霊界と《ヘルフェンの尖塔》』について書かせていただきました。
DLCは、エルデンリングの物語に関するいくつかの答えを我々に提示すると共に、再び多くの考察材料を残していきました。今回はそれらを踏まえつつ、私自身の脳内の整理も兼ねて考察していこうかと思います。
今回、妄想成分かなり高めでお送りしますので、啓蒙を高めた上で、お読みいただく事を推奨致します。
それでは、前置きが長くなりましたが、本題に移らせていただきます。
はじめに
『ELDEN RING』のダウンロードコンテンツである、『SHADOW OF THE ERDTREE』。過去最大規模のDLCであり、「DLCを買ったはずが、プレイしてみるとELDEN RING 2(続編と見紛うほどの規模)だった」という声も多く見られるほどだ。
そしてなんと、当記事を書いている最中に、『ELDEN RING NIGHTREIGN』の発売が発表された。考察内容の大幅修正に怯えたが、NIGHTREIGNにおける破砕戦争以降の話は、世界線の異なる話だと言う。一安心と言いたいところだが、裏を返せばそれは破砕戦争以前の内容に新たな内容が加わる可能性もあるのではないか、というのは考えすぎだろうか。
当記事の内容は、破砕戦争以前まで遡る。だとすれば、新たな補完によって、この記事もやがて壊れてしまうのではないかと不安すら抱いてしまう。まあ考えていても仕方が無いので、ここまでにしておこう。
どのような作品であれ、ともかく、楽しみである。
さて、冒険の舞台となるのは、マリカが神となり、黄金樹が生まれた地である。黄金の律はここから始まったのだ。
影の地
黄金樹の影に隠された地
神たるマリカが、降り立った場所
そして、謳われぬ戦い、粛清の地
メスメルの火に焼かれた場所
だから、ミケラは影の地に向かった
その黄金の身体も、力も、使命も
全てを棄てた
ミケラは待つ
約束の王を
本記事は、ギザ山とケイリッドを中心に、狭間の地と影の地の関係を紐解きながら、暴竜ベールと竜王プラキドサクス、竜餐の歴史や、竜の心臓に関する私の考えを説き、それらの解を読者に委ねるものである。
故に、考察とは銘打ったものの、私自身が解決できず、未だに結論を出せずにいる多くの疑問点の、走り書きのようなものと考えてお読みいただきたい。
1.《狭間の中心》
・狭間の地、影の地
影の地とは、黄金樹の影に隠された地である。祝福を瞳に宿さぬ、あるいは、宿したそれを失った人々が旅をした狭間の地から、隔絶された場所だ。
広大な墓地平原には無数の霊墓が並び立ち、建築物の多くは焼き払われ、廃墟と化している。影の地をただ散策しているだけで、この地で起きた凄惨な出来事が目に浮かぶようである。
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今でこそ影の地と呼ばれているこの地は、あらゆる死が流れ着く場所、狭間の中心である事が《鎮めの柱》の石碑から読み取れる。そして、かつて狭間の中心であったこの地は影に隠され、後に影の地と呼ばれるようになったのだろう。であれば、狭間の地の中心部分、つまり地図で見たところの、黄金樹の少し南側に大きく空いた海、影の地はその辺りに、元々は存在していたのではないか。
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こちらが狭間の地の地図だ。この地図の中心部分に、影の地の地図を重ねてみる。
↓
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こちらが、実際に狭間の地の地図に、影の地の地形を重ね合わせたものだ。計測したところ、2つの地図の縮尺は同じだった為、そのまま重ねている。
ケイリッドとギザ山が被らない程度のサイズまで影の地を縮小し、狭間の地に重ねた地図も散見されるが、そもそも2つの地図の縮尺が同じである為、これらはそのまま重ねるべきだ。
これは自分の考察の辻褄を合わせる為ではなく、縮尺を変えてしまっては何でもありになってしまう為だ。極論だが、影の地をめちゃくちゃに縮小して、狭間の地の、六つの神授塔に囲まれた中心の雲の中に埋めてしまっても構わないのだ。縮尺を少しでも変えるという事は、そのような行為まで許容する事になる。
その為、なにか特殊な事情が無い限りは、地図の縮尺は変えずにそのまま使用する。
そういう訳で、ここからは影の地が狭間の地の一部だと考えられる要素をいくつか挙げていこう。
・鎮めの塔
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影の地がかつて、狭間の地の中心にあったのではないかと考えたきっかけであり、大きな前提となったのが、この鎮めの塔である。石碑にはこう記されている。
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狭間の中心
あらゆる死が流れ着き
あらゆる死を鎮める
碑文によると、ここは狭間の中心である。そのままの意味として受け取るならば、鎮めの塔とは、狭間の地の中心である。
《稀人のルーン》に、狭間の外という記述があるように、狭間とは、狭間の地を指す言葉として使用される。よって狭間の中心を、狭間の地の中心と読み替えても問題は無いものと思われる。
ただし、鎮めの塔が狭間の地の、正確な中心であるかは不明である。何より現在の狭間の地の地図は、黄金樹を中心として記録されている。
よって狭間の中心とは、鎮めの塔の周辺一帯を含めたもの、あるいは、鎮めの塔を中心とした影の地全体を指している、としたほうが無難かも知れない。
・各地域の位置関係
狭間の地から隔絶された影の地には、古い時代の狭間の文化が色濃く残っている。時系列としては、狭間も影の地も時間は同様に進んではいるものの、影の地には当時の情景がそのまま残っているものも多く、時系列は同一であるにも関わらず、過去に時間移動したような体験のできるフィールドとなっている。
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さて、影の地を狭間の中心に配置した場合、関連性の高いものが比較的近い位置にある事が分かる。
例えば、狭間の地の黄金樹は、影の地の巫子の村と近い位置にある。もっと正確に言えば、仮に地図上の黄金樹の位置が正確であるならば、黄金樹の下部にあたる箇所はミアの指遺跡である。
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巫子の村とは、マリカの故郷。彼女は自身が神となった後に、故郷を黄金で包み込み、沢山の花に囲まれたその中心には、小さな黄金樹が残された。巫女の村も、燦然と輝く黄金樹も、マリカの足跡を辿り、長い旅路の果てにある。
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王都ローデイルにあたる箇所には、影樹の聖杯が置かれている。影樹から滴る祝福を賜る為の聖杯が、黄金樹の輝きを一身に受ける王都と等しい位置にあるというのは、何かしらの意図があるのだろうか。
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そして、影樹の根本にあたる箇所。狭間の地下深くの同じ場所にゴッドウィンの肉体が安置されている。黄金の二つ名を冠しながら、黄金樹の時代の終わり、その象徴の1つでもある、死王子ゴッドウィンが埋葬されたのは、黄金樹ではなく、影樹の根本だったのだろうか。
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最後に、今回の本題でもある、ケイリッドとギザ山。この2箇所には多くの類似点が見られる。詳細は後述するが、共に飛竜の生息域である事や、巨大な飛竜の存在、大竜餐教会・竜餐の大祭壇が挙げられる。
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以上を踏まえ、影の地の地形・高低差を比較・考慮の上で、影の地が狭間の中心である事はほぼ間違いないと考えているものの、これではあまりに説明不足だ。他にもそう考えられる要素は幾つか存在するのだが、今回はギザ山とケイリッドを重点的に比較しながら、影の地と狭間の地の関係を詳しく見ていきたい。
2.《飛竜と土竜》
・ベールの反逆
ギザ山には、象徴的な竜、《暴竜ベール》が棲まう。古き時代、竜王プラキドサクスに挑み、大きく傷つけ、遂には敗れた凶竜。
見かけの特徴としては、前脚が無く、あるのは翼と2本の脚。これは飛竜の特徴に当てはまるものだ。
プラキドサクスが古竜の王ならば、ベールは飛竜の王と呼んでも過言では無いだろう。力こそ、王の故である。
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褪せ人が対峙する時点でのベールは、左脚の膝辺りから先が欠損しており、右脚と尻尾を使って自立している状態である。
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両翼膜は大きく破れ、本来あるべきはずの翼膜の半分程度すら残ってはいないだろう。
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左翼は翼爪の大部分が欠損しており、右翼は翼爪の根本を超えて肉が剥がれ、骨が剥き出しになっている。これではもう、飛ぶ事もままならない。
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対するプラキドサクスも、体を大きく傷つけられており、首を何本か失っている。この失われた首は当初、ゴッドフレイとの一騎打ち(嵐の王=プラキドサクスであると仮定した場合の話)によるものだと思われていたが、ベールの存在によってそれは覆された。
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ベールの首元から背中にかけて古龍の首が2本確認でき、これらの首はプラキドサクスのものと思われる。プラキドサクスの頭部は他の古龍のものとは大きく異なる為、ほぼ間違いないだろう。この2本の首は、本体から離れてなおもベールに噛み付いている。
よってプラキドサクスの首が失われた原因は、このベールの反逆によるものだったのだとするのが自然だろう。
ただし、プラキドサクスから確認できる首の断面は3箇所だ。《古き王のタリスマン》より確認できる首は4本。プラキドサクスの首が最初から4本ならば、残った1つの断面には何が繋がっていたのだろうか。元々は5本首だった可能性や、ゴッドフレイが首をもう1本持って行ったという事も考えられるが、真偽は不明なままである。
ベールの反逆以来、飛竜は竜餐の贄となった。ギザ山にある竜餐の大祭壇には、巨大な飛竜が倒れており、胸部が大きく抉れている。
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ケイリッドの特定地域にその名が付けられるほどの巨大な飛竜、大老竜グレイオールと同等の巨体と思われるが、それを屠り、心臓を喰らった戦士がいたという事だろうか。
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さて、当記事を読み進める上で、竜餐とは何なのかを理解していただいておく必要がある。ここからは認識の擦り合わせも含め、竜餐について説明しておこう。
・竜餐の成り立ち
まず竜餐とは、竜の心臓を喰らい、竜の力を得る行為だ。その起源は古い時代、暴竜ベールの反逆まで遡る。暴竜ベールが敗れた後、竜王プラキドサクスは、反逆者であるベールと、その一族である飛竜を喰らう事を、人の戦士らに伝えた。竜の心臓を喰らう事で戦士の飢えは満たされ、その様はおぞましく野蛮で、美しいのだと。
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竜狩りの果実たる、竜の心臓
さざれ石の混じった異形のそれは
まだ、生々しく脈打っている
竜餐と呼ばれる儀式の供物であり
祭壇でこれを喰らうことで
竜の力を、我がものとすることができる
その様は、おぞましく野蛮であり
また美しい
竜の心臓は、その持ち主から切り離されてなお、脈打っている。祭壇でこれを喰らう事で、竜の力を我がものとすることができる。
竜餐が広まるに至った経緯は、古竜フローサクスの功績が大きいと思われる。プラキドサクスを「我が王」と呼び慕う彼女は、ベールを討つただその為に自らを捧げた。人の姿を得た彼女は竜餐の巫女として、人々に竜王の意志を伝えて回ったのだろう。
竜餐の巫女フローサクスによると、ベールは「反逆者」「いと憎き我らの仇」だという。
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…ベールは、古き時代、竜の王に背いた反逆者
王に挑み、大きく傷つけ、遂には敗れた凶竜
…いと憎き我らの仇
以来ベールと、彼の一族…飛竜たちは、竜餐の贄となったのです
人の戦士よ。我が王、プラキドサクスが、貴方たちに示したのです
猛き心、その飢えを満たす餐を
その小さな身に、竜を宿す高揚を
黄金樹の前史、プラキドサクスはエルデの王であった。故に、王であるプラキドサクスに挑んだ暴竜ベールは、古き時代への反逆者である。彼はプラキドサクスを大きく傷つけ、その末に敗れた。にも関わらず、ベールはギザ山の山頂で生き続けている。深手を負わせたものの、プラキドサクスでは、ベールを死に追いやる事はできなかったのだ。その上、プラキドサクス自身は最終的に何らかの要因により、時の狭間に永遠に座している。そして、ファルム・アズラと共に滅び続けている。
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竜王プラキドサクスの追憶から得られた力
己が姿を竜王となし、上空から金色のブレスを吐く
ジャンプ中に使うこともできる
それは、時の狭間に永遠に座した竜王の
滅びゆく断末魔であった
この、プラキドサクスが滅びゆく原因について詳しくは不明であり、ベールが直接関わっていると考えられるようなものを見つける事はできなかったのだが、隕石によって古き王の都が破壊され、かつてのエルデの王がその都ごと狭間の地から離れる事になったきっかけ、ベールの反逆はその大きな要因の一つとなったのではないだろうか。そうでなければ、フローサクスがここまでベールに固執するとは考え難いのだ。
神により見出され、エルデの王になるという事は、狭間の地にある他の全てと戦う事を意味する。実際にマリカは、ホーラ・ルーに王たるを見出し、狭間の全てと戦い、共にそれを成し遂げてみせた。であれば、プラキドサクスにとってベールの反逆など、繰り返されてきた戦いの一つに過ぎないはずだ。フローサクスがベールのみを指して「我らの仇」と呼ぶなど有り得ぬことである。
だとすれば、恐らくベールの反逆はプラキドサクスにとって致命的だったのだ。ベールの力はそれ程までに強大で、故にプラキドサクスと共に、大きく傷つき倒れた。
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ギザ山の暴竜を象ったタリスマン
その咆哮が轟く時、ギザ山の溶岩は沸騰する
溶岩の威力を高める
その暴竜は、名をベールという
かつて古竜の王に挑み、共に傷つき倒れた
怒れる破壊者であるという
「共に傷つき、共に倒れた」とするのか、「共に傷つき、ベールだけが倒れた」とするのかによって内容は大きく変わってしまうが、いずれにせよ、この反逆がベールを、古竜の仇たらしめている事は確かだろう。これらが狭間の地に何を齎したのか、それについては後ほど詳しく説明する為、今はここまでとしておく。
そして長い時を経て、褪せ人によりベールは討伐される。古き時代から竜王を知る古竜、フローサクスは語る。
…ああ、貴方が成し遂げたのですね
古き時代からの、我らの悲願を
…我が王は、慧眼であった
人の、燃え尽きぬ飢えと、猛き心
まさにそれが、憎き我らの仇を、ベールを屠ったのだ
戦士よ、貴方は竜たるに相応しい
暴竜ベールを討つ。それは古き時代からの、古竜たちの悲願であった。「慧眼」とは、「物事の本質を見抜く者」という意味で使われる。プラキドサクスは竜餐を伝えるという形で、古竜たちの悲願を人々に示したのだろう。そして時の狭間で、永遠に待ち続けたのだ。いずれ人の戦士の中から、竜餐の果てにベールを討つ者が現れるその日を。
つまり、プラキドサクスが伝えた竜餐とは、人が竜の心臓を喰らい、竜の力を得る行為ではあるものの、その目的は、幾度もの竜餐を経たその先で、やがてベールに挑み、討ち果たす者を見出す為である。
しかしそれは、竜の力を得るだけに留まらなかったようだ。
・竜餐の過ちと代償
竜餐を4度行うと、褪せ人の瞳は、竜の瞳孔のように変化する。竜餐を繰り返す事で、いずれ人は竜へ至るのかも知れない。実際、竜餐の果てに竜となった者たちが存在している。翼を持つ身でありながら飛ぶすることができず、地を這い続けるその姿は、土竜と呼ばれている。
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竜餐の祈祷のひとつ
己が姿を土竜となし、溶岩のブレスを吐く
一度だけ追撃ができる
竜餐を為した者は、いつか人ではなくなる
地を這う土竜は、その哀れな結末である
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硬い鱗に覆われた巨大な曲剣
竜の顎を模した、溶岩土竜たちの得物
土竜たちは、元々は人の英雄だったという
彼らは竜餐をなし、いつか過ちを侵し
地を這う姿は、そのなれの果てなのだと
竜餐が人の身をやがて竜に変える事を、プラキドサクスは知っていたのだろうか。戦士たちは、繰り返される竜餐の中でやがて自らが過ちを侵し、土竜になり果てる事など想像していただろうか。土竜とは、竜餐を繰り返す内に、過ちを侵した者のなれの果てである。これは過ちを侵さぬ限りは土竜になる事はない、とも読み取れる。
よって、土竜とは竜餐を繰り返した者の辿る結末のひとつであり、それはつまり、誤った竜餐に至った者の末路であると考えられる。竜餐の戦士たちの中には土竜になった者、土竜にならなかった者のどちらもいるという事だ。だとすれば、土竜になった者とそうでない者とを分けたものは何だったのだろうか。
【ドラゴン・ハーティド】
まず、土竜にならなかった者たちの特徴を見ていこう。
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竜餐の祈祷のひとつ
己が姿を竜となし、魔力のブレスを吐く
タメ使用で、ブレスを吐く時間が延びる
竜餐を続け、只人を超えた者だけが
竜心、ドラゴン・ハーティドと呼ばれる
竜餐を続け、只人(=常人)を超えた者だけが、ドラゴン・ハーティドと呼ばれる。ドラゴン・ハーティドとはつまり、竜の心を宿す者だ。度重なる竜餐は、多くの竜を狩り続けてきた事を意味する。幾つもの竜の心臓を喰らい、その度に竜の力を手にする。竜餐は戦士の飢えを満たし、やがて戦士をひとつの竜となす。その果てに人は、竜の心を宿すのだ。これが恐らくは、土竜という結末へ至らなかった者たちなのだろう。そしてこの心とは、心臓でもある。
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熱い血の流れる異形の花
アイテム製作に用いる素材のひとつ
稀にしか見ることはできない
幾度となく竜餐を行った戦士の死体
その心臓に一輪だけが咲くという
竜熱花とは、幾度となく竜餐を行った戦士の死体、その心臓に一輪だけ咲く花だ。この花は、ギザ山の道中で見られる幾つかの死体に咲いている。死体が熱を帯びている事から、ベールに挑み敗れた者たちなのだろうか。不思議な事に、この花にはさざれ石で出来たトゲのようなものが生えており、そして熱い血が流れている。まるでこの花が、新たな心臓として鼓動する事を望んでいるかのように。
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幾度となく竜餐を行い、その心臓に一輪の花を咲かせながら散ってゆく。この在り方こそが、彼らがドラゴン・ハーティドと呼ばれる所以なのではないだろうか。竜熱花とは、花であり、そして心臓だった。
恐らくこれが、プラキドサクスの伝えた竜餐の本来あるべき形であり、その終わりなのだろう。だが、そうならない者たちがいた。
【溶岩土竜】
先に、竜餐の末路を比較しておきたい。ドラゴン・ハーティドと呼ばれる者たちが死ぬと、その心臓には竜熱花が咲く。では、土竜が死ぬと何が残るだろうか。
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竜狩りの果実たる、竜の心臓
さざれ石の混じった異形のそれは
まだ、生々しく脈打っている
竜餐と呼ばれる儀式の供物であり
祭壇でこれを喰らうことで
竜の力を、我がものとすることができる
その様は、おぞましく野蛮であり
また美しい
土竜はその生涯を終えた際、竜の心臓を遺す。この心臓は、飛竜のものと全く同一であり、竜餐の供物でもある。土竜とは、元々は人の戦士である。にも関わらず、その心臓は竜のものである。竜餐は過ちにより、その心臓さえも竜に変質させてしまうのだろうか。であれば、むしろ過ちを侵した者こそ本当の意味でのドラゴン・ハーティドなのではないかとすら思える。
竜熱花と竜の心臓とを比較すると、その性質は似通っている事が分かる。
《竜熱花》
・熱い血が流れている
・竜餐の戦士の心臓に咲く
・さざれ石が混じっている
《竜の心臓》
・生々しく脈打っている
・竜餐の戦士の心臓そのもの
・さざれ石が混じっている
似通ってはいるものの、竜餐を成した者たちの末路には差異が生じている。この差異は、どのようにして齎されたのだろうか。それを知る為にも、ここから土竜について考えていこう。
土竜とは、地を這う竜である。飛竜にはない硬い鱗を持ち、翼を持つにも関わらず、飛ぶことができない。代わりに前脚が人の手のように物を掴む事のできる形状をしており、武器を携えている。そして土竜は、溶岩を利用した攻撃を使用することができる。
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竜餐の祈祷のひとつ
己が姿を土竜となし、溶岩のブレスを吐く
一度だけ追撃ができる
竜餐を為した者は、いつか人ではなくなる
地を這う土竜は、その哀れな結末である
戦士たちは、プラキドサクスより伝わった竜餐により、飛竜の心臓を喰らい続けた。にも関わらず、その果てに待つ姿は何もかもが飛竜の性質とは一致しない。これは何故なのか。飛竜には無い、土竜特有の性質と、それらを獲得するまでの過程に、過ちの原因を見出せるかも知れない。
では、土竜の性質を見ていこう。
・硬い鱗を持つ
・飛ぶことができない
・武器を使う
・溶岩を利用した攻撃を行う
土竜の持つ性質として特徴的なものは、これら4つである。そして、これら全ての性質に当てはまる竜が存在している。
もうお分かりだろう。暴竜ベールだ。
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その体に硬い鱗を持ち、両翼は大きく壊れ、飛ぶ事はできない。代わりに翼を腕のように使い、剥き出しの翼爪を武器のように扱う。やがて生命の危機に瀕したベールは、特定の攻撃時に地面から溶岩を噴出させるようになる。この溶岩の噴出は自然に起こるものではなく、ベールによって引き起こされるものである。ベールの咆哮によって、それと呼応するかのように、ギザ山の溶岩は沸騰するのだ。
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ギザ山の暴竜を象ったタリスマン
その咆哮が轟く時、ギザ山の溶岩は沸騰する
溶岩の威力を高める
その暴竜は、名をベールという
かつて古竜の王に挑み、共に傷つき倒れた
怒れる破壊者であるという
戦士たちは、過ちの果てに土竜となる。その姿は、まるでベールのなり損ないのようである。だとすれば、土竜となった戦士たちの過ちとは、ベールと同じく古竜への反逆なのではないか。竜餐の戦士たちは、どのような行為に及んだのだろうか。
・竜餐の変化
竜餐のはじまりは、飛竜の心臓を喰らう事である。これはフローサクスとの会話や、ギザ山にある竜餐の大祭壇に倒れている巨大な飛竜からも明らかだ。少なくとも、プラキドサクスの伝えた竜餐とはそのようである。
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しかし、現在の狭間の地における竜餐がそうだと言い切れるだろうか。影の地がそうだからと言って、狭間の地でも同じように竜餐が続いていると言えるだろうか。
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狭間の戦士たちが、未だプラキドサクスより伝わった竜餐を継続しており、それが飛竜の心臓を喰らう事なのであれば、大竜餐教会に倒れているこれは何なのだろうか。飛竜の心臓を喰らう儀式の場に、飛竜ではなく古竜が倒れているのは何故なのだろうか。
これこそが竜餐の変化であり、過ちである。戦士たちはあろうことか、飛竜ではなく、古竜を狩り始めたのだ。古竜の心臓は、竜餐の戦士たちの体に変化を齎した。
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竜餐の古い原型とされる心臓
裸で使用し、人の身を古竜となす
死ぬ時まで、姿が戻ることはなく
古竜の身で使用すると
一時的に、竜餐の祈祷を強化する
人の身で、最後に眺めた景色は
夕焼けの中で、だが全てが色褪せ
永遠とはほど遠いものだった
古竜の心臓は、その使用者を古竜へと変える。これは、飛竜の心臓では起こり得ぬ事だ。これが、竜餐において過ちを侵した者と、そうでない者とを分けた要因だろう。そして同時に、土竜に硬い鱗が生じている理由でもある。
飛竜の心臓の場合、それを喰らう事で戦士たちをひとつの竜となした。体内に取り込まれた心臓は、人を内から竜へと変える。幾つもの心臓を喰らった戦士はやがて、ドラゴン・ハーティドと呼ばれ、その死体は心臓に花を咲かせる。
古竜の心臓の場合、それを喰らう事はしない。飛竜の心臓は竜餐教会、大竜餐教会、竜餐の大祭壇でのみ使用可能で、それを食べるような動作を取る。一方、古竜の心臓の場合、その動作は心臓を食べる際のそれではなく、言い表すならば、その身に竜を降ろす、力を纏うような印象を受ける。
更に、これはシステム上の話だが、《竜の心臓》は竜餐の度に消費される。しかし古竜の心臓である《岩の心臓》、《巫女の心臓》は使用しても消費されない。それどころか再使用によって、《岩の心臓》であれば竜餐の祈祷、《巫女の心臓》であれば古竜信仰の祈祷の威力を強化する。
また、例えば《岩の心臓》を使用して竜体化した場合、異なる古竜の心臓である《巫女の心臓》を使用する事はできない。これではまるで、同一の心臓の2度以上の使用が想定されているかのようである。
これらの事から、竜体化の為に古竜の心臓を喰らう、少なくとも物理的に摂取する必要は無く、あくまで古竜の心臓は、その身に竜を降ろす触媒として利用されているだけなのだろう。
《岩の心臓》は竜餐の古い原型とされている。自らの肉体に竜を降ろし、力を振るう。これこそが本来あるべき竜餐の形だったのではないだろうか。
そして、この竜を降ろす行為は古竜への信仰を意味する。これは、やがて角人が坩堝を信仰し、その身に角を降ろす文化の基盤となったのだろう。
さて、竜餐の戦士が土竜となるにあたり、古竜の心臓が関わっている可能性が浮上した。しかし、仮にそうだとして、主人公である褪せ人は古竜の心臓を使用しても土竜にならないじゃないか、という疑問も同時に浮かぶ。
褪せ人の一人ひとりに多様な生き方・意志があり、故に心臓を一度も喰らっていないという場合もある。逆に、幾度となく竜餐をなした者もいるはずだ。それがどちらであるにせよ、古竜の心臓を使用しても土竜になる事は無い。だとすれば、古竜の心臓を使用して竜体化する事は、竜餐において過ちではないのだと考えられる。少なくとも、古竜の心臓の使用は、土竜になる条件ではない。それが竜餐の古い原型とされている以上は、そうなのだろう。
だとすれば、褪せ人と、土竜となった竜餐の戦士たちを分けたものは何だろうか。
【古竜人】
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影の地からギザ山へ向かうにあたって、《竜の穴》と呼ばれる洞窟を潜る必要がある。この洞窟の終端には《古竜人》と呼ばれる者が待ち構えている。彼はかつて竜餐の戦士の一人であった。そして、暴竜を食らい得る戦士を選別していたのだ。
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刀身にさざれ石の逆棘を持つ大刀
竜の穴の古竜人の得物
竜に対する特効がある
古竜人は、かつて竜餐の戦士の一人であり
暴竜を食らい得る戦士を選別していた
《岩の心臓》を使用した褪せ人は、体格こそ異なるものの《古竜人》と全く同じ姿となる。これは、竜餐が齎した結末の一つと言える。
さて、この《竜の穴》には古竜人の待つ《竜の穴、終端》以外に、もう一つの終端がある。というのもこの洞窟、終端の手前で分かれ道が用意されている。片方の先には《古竜人》。それを超えた先が、ギザ山の麓だ。
そしてもう片方の先に待ち構えているのは、行き止まり。そして《溶岩土竜》だ。これこそが、この洞窟の意味である。
古竜人を超えた先でベールを討つか。土竜となって地を這い続けるか。この《竜の穴》とは、ベールを食らい得る戦士を選別すると同時に、竜餐における選択と過ち、それらが齎す結末を示した洞窟でもあるのだろう。
ここに来て一つの仮説が立てられる。古竜の心臓によって、古竜人となる褪せ人と、土竜となる竜餐の戦士の違いを考えるのであれば、それは古竜の心臓の扱い方の違いなのではないだろうか。
最終的に竜をその身に降ろすか、竜をその内に取り込むかによって、土竜とそうでない者に分かれたのではないだろうか。
つまり古竜人と土竜とを分けたのは、古竜の心臓を喰らったか否か、であり、そしてそれこそが、《土竜の鱗剣》に語られる、過ちなのではないだろうか。
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硬い鱗に覆われた巨大な曲剣
竜の顎を模した、溶岩土竜たちの得物
土竜たちは、元々は人の英雄だったという
彼らは竜餐をなし、いつか過ちを侵し
地を這う姿は、そのなれの果てなのだと
これは単なる憶測ではなく、古竜の心臓を喰らったのではないか、という考えに至った経緯と根拠がある。
・竜の心臓
土竜とは、元々は人の英雄であったという。しかし土竜となったその身は、徐々にその構造を変化させてゆく。
その身には、長い尾や、翼の形状をしたものが生じ、溶岩ブレスを吐くための喉袋さえも獲得した。尾、翼、喉袋。これらは坩堝の騎士が宿す、生命の坩堝の力。土竜となるにあたって、人の身に坩堝が生じたのだ。
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そしてその坩堝は、心臓にまで及んだのである。
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竜狩りの果実たる、竜の心臓
さざれ石の混じった異形のそれは
まだ、生々しく脈打っている
竜餐と呼ばれる儀式の供物であり
祭壇でこれを喰らうことで
竜の力を、我がものとすることができる
その様は、おぞましく野蛮であり
また美しい
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鋭く尖った石の剥片。その塊
アイテム製作に用いる素材のひとつ
かつて、古竜に襲われた地で見つかり
それは古竜のウロコであるという
竜の心臓には、さざれ石が混じっている。さざれ石とは本来、古竜の鱗である。それが何故、飛竜の心臓に混じっているのだろうか。考えられる要因は2つある。
①竜が古竜より生じた際の名残
②飛竜が古竜を喰らった事で生じた
結論を出すにも難しい内容だが、これら2つの要因を仮説として考えていこう。
①竜が古竜より生じた際の名残
まずこちらは、飛竜とは古竜から生じたものであり、故に心臓にさざれ石の特徴が残っていた、という仮説だ。要因として最も考えられそうなところである。
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さざれ石を混ぜ合わせた根脂
製作可能なアイテムのひとつ
武器に塗り、竜に対する特効を付加する
その効果は一定時間で消える
竜は、古竜より生じたとき、岩のウロコを失った
それこそが、竜に致命の傷を与えるという
アイテム《竜傷脂》によると、竜という存在は、古竜より生じた。そしてその時、岩のウロコを失ったのだと。確かに飛竜には、古竜のような硬い鱗が無い。それどころか、鱗そのものが無いようにも見える。何なら代わりに毛がいっぱい生えている。背中には棘のようなものが少し見える程度である。
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この段階では背中に棘は無く、
代わりに幾つもの瘤(こぶ)がある。
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瘤も成長するという事なのだろうか。
このように、一見すると飛竜には鱗が無いように見えるが、実はそうではない。こちらをご照覧あれ。
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こちらは、接ぎ木のゴドリックが接いだ飛竜である。首の断面部から背面の方向にかけて鱗がはっきりと見える。接いだ際にこの部分だけ表皮が剥がれてしまったのだろうか。もしかするとヤツメのように、退化したウロコが皮膚の下に埋まっていたのかも知れない。
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真珠色に輝く、透けるように薄い硬片
アイテム製作に用いる素材のひとつ
ヤツメを倒すと、手に入ることがある
それは、退化したウロコであり
ヤツメの皮膚の下に埋まっている
いずれにせよ、飛竜は岩のウロコを失ったものの、鱗そのものはその身に残っているという事だ。
飛竜が古竜から生じたという事は、飛竜は元を辿れば古竜である。それがどのように生じたのかは定かではないが、飛竜とはそもそも、古竜から分かたれたもの。岩のウロコを失ったものの、完全には失われていなかった。故に、古竜の名残であるさざれ石が、飛竜の心臓に混じっていた、とは考えられないだろうか。
もう一つの要因も考えていこう。
②飛竜が古竜を喰らった事で生じた
こちらは、そもそも飛竜は古竜から生じた際に岩のウロコを失っており、故に心臓にもさざれ石は残っていない、という事を前提とした仮説である。では、心臓に混じるさざれ石をどのように獲得したのか。
ギザ山の飛竜を討伐する事で《竜の心臓》を手にする事ができる。それと同時に手に入るものが、もう一つ。それは《逆鱗の肉塊》だ。
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古い竜の体に生じるとされる逆鱗
その根元部分の、熱を帯びた肉塊
そのまま食べることで
生命力、持久力、筋力、技量を上昇させるが
HPが少しずつ減少する
竜熱は、竜の戦士にとって最上の酒である
これこそが、飛竜が古竜を喰らっていたと考えられる直接的な証拠である。心臓にさざれ石を宿した飛竜は全て、これを喰らっていたのではないだろうか。
そしてそれは、竜の戦士にとっても最上の酒であったという。故に、土竜の落とす竜の心臓にも、飛竜と同じようにさざれ石が混じっていた。
飛竜も、戦士も、古竜の肉塊をその逆鱗ごと喰らっていたのだ。
やがて竜の戦士は飢えを満たす為、その肉塊を再現した。
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冷めぬ熱を帯びた獣肉の塊
製作可能なアイテムのひとつ
生命力、持久力、筋力、技量を上昇させるが
HPが少しずつ減少する
人の手で再現された逆鱗の肉塊
それは、竜の戦士の飢えを一時だけ満たす
ただし、飢えが満たされるのは一時的なものだ。戦士の飢えが尽きる事はない。そして竜熱は、猛き心を再び燃やす。竜餐とはそうして繰り返されてきたのだ。
戦士は古竜の肉塊を喰らい、再び飢え、それを満たす為に戦う。そうして戦士たちは人の身でありながら、竜の心を宿していった。
もし戦士が飛竜の在り方を真似たのだとすれば、飛竜は何故、古竜を喰らっていたのだろうか。
・戦士と飛竜
ともに古竜を喰らうもの同士、戦士と飛竜の在り方はとても似通っているのだろう。戦士たちが飢えを満たす為に戦うのであれば、飛竜は何のために戦っているのだろうか。
影の地において、狭間の地とは異なる性質の飛竜が確認されている。2体の飛竜が争っていたのだ。
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また、《竜の穴、終端》から出て少し進んだ先の水辺に眠る《ギザ山の飛竜》の周囲には、数体の飛竜が倒れている。中には2体が一組となって倒れているものも確認できる。
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壮絶な縄張り争いが行われ、あの場所で眠っていた飛竜はそれを生き延びた個体なのだろうか。2体で一組の飛竜は体格差がある事から、子を守ろうと絶命した光景と見る事もできるだろう。
更に、《ギザ山の飛竜》と呼ばれる個体には、他の飛竜にない性質がある。その性質は本来であれば飛竜に無いはずのもの。それは、雷である。
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《ギザ山の飛竜》は雷を扱う。これは狭間の地の飛竜だけでなく、ギザ山に住む他の飛竜も獲得していない性質だと考えられる。
それを裏付けるものが、2体の飛竜である。祝福《ギザ山の麓》から少し進んだ先で2体の飛竜が争いを繰り広げており、片方には《ギザ山の飛竜》と名前が付けられている。しかし、もう一方の飛竜には名前が表示されていない。これは、この2体に明確な違いがあるからである。
ギザ山の飛竜と対峙している名もなき飛竜は、雷を扱う事ができない。雷とは本来、古竜の武器だからだ。
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王都古竜信仰の祈祷のひとつ
落雷を呼び、前方に奔らせる
連続で使用することができる
さざれ石のウロコを持つ古竜は
雷を武器とする、竜たちの祖先であり
かつて、王都ローデイルと戦ったという
狭間の地にも雷を扱う飛竜は存在していない事から、雷を扱う飛竜の希少性の高さが窺えるだろう。よってこれは、《ギザ山の飛竜》のみが獲得した性質であると考えられる。
古竜が武器とする雷を、飛竜が扱っている。何故だろうか。
ここで飛竜の扱う武器について確認しておきたい。狭間の地には、様々な属性を扱う飛竜が数多く存在している。アギールは火を、スマラグは魔力を、ボレアリスは冷気を、エグズキスは腐敗を。これらは先天的なものなのだろうか。
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竜餐の祈祷のひとつ
己が姿を竜となし、前方を噛み裂く
竜を狩り、その心臓を捧げ喰らう者たちの技
それは純粋で、圧倒的な力である
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竜餐の祈祷のひとつ
己が姿を竜となし、竜爪で切り裂く
一度だけ追撃ができる
竜を狩り、その心臓を捧げ喰らう者たちの技
それは純粋で、圧倒的な力である
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竜餐の祈祷のひとつ
己が姿を竜となし、炎のブレスを吐く
タメ使用で、ブレスを吐く時間が延びる
竜を狩り、その心臓を捧げ喰らう者たちの技
それは純粋で、圧倒的な力である
純粋で、圧倒的な力。それこそが飛竜の在り方である。飛竜の持つ性質として先天的なものは、属性の種類に限れば、竜炎だけなのだと考えられる。というのも、この記述は竜咬、竜爪、竜炎の3つにしか存在しない。先天的であるが故に、その力は純粋なのである。
だとすれば、魔力、冷気、腐敗、そして雷は、純粋でない、後天的なものだ。それを裏付ける飛竜が、《輝石竜スマラグ》である。
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竜餐の祈祷、その高位のもの
輝石竜スマラグの力を振るう技
己が姿を竜となし、上空から魔力のブレスを吐く
タメ使用で、ブレスを吐く時間が延び
ジャンプ中にも使うこともできる
魔術師喰らいのスマラグは
やがて、その輝石に蝕まれていった
スマラグは魔術師を喰らっていた。彼はやがて輝石に蝕まれ、その性質は彼の一部となったのだろう。《輝石竜アデューラ》も同じく、魔術師を喰らい、輝石の力を自らの一部とすると同時に、輝石に蝕まれている。
これらと類似した事が、ギザ山の飛竜にも起きたのだろうか。古竜を喰らう事によって、雷の力を獲得したのだろうか。恐らく、そうでは無い。これでは大きな矛盾が生じてしまう。
古竜を喰らう事で雷を獲得し、心臓にさざれ石が混じるのであれば、竜の心臓を落とす全ての竜は、雷を扱う事ができるはずだ。しかし実際に雷を扱う飛竜は、ギザ山の飛竜のみである。
だとすれば、飛竜が雷を獲得するに至るまでの過程が必要である。
ここで今一度、飛竜の心臓と古竜の心臓を比較しておこう。
飛竜の心臓とは、喰らう事で竜の力をその身に宿す為のものである。同時に竜餐の贄であり、それは飛竜の反逆に対する、古竜の報復でもある。
古竜の心臓とは、竜を降ろす事でその身を竜となすものである。同時にそれは信仰の表れでもあり、竜餐の古い原型でもある。
このように、心臓を喰らう事と、竜を降ろす事には明確な違いがある。そして褪せ人が竜の祈祷を扱う際にも、その違いは現れる。
古竜信仰の祈祷、及びプラキドサクスの祈祷は全て、信仰のみによって補正され、その威力に影響を与える。しかし、その全てが古竜でない竜に由来した、竜餐の祈祷は、信仰だけでなく神秘によっても威力が補正される。
よって竜体化に古竜の心臓を喰らう必要が無いように、雷を扱うにも古竜を喰らう必要は無いのだと考えられる。
ギザ山の飛竜でない個体は、腐敗や冷気の属性をブレスとして放つ。それに対して、ギザ山の飛竜は雷を直接ブレスとして吐く事は無く、あくまで竜炎をブレスとしている。この事から、ギザ山の飛竜は他の飛竜とは異なる方法で、雷を獲得したのだと考えられる。
では、ギザ山の飛竜が雷をどのように扱っているのか確認してみよう。と言っても、雷を使う攻撃は1つだけだ。
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咆哮と共に周囲に落雷を生じる。この1つだけである。しかし、この攻撃には特殊な性質がある。
まず一つは、これが純粋な雷ではないという事。この赤みを帯びた雷は炎雷と呼ばれ、落下した地点には炎が生じる。炎雷とは、ベールが武器としているものである。
そしてもう一つの特性は、使用者がこの炎雷を身体に纏うというものだ。
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この状態となった《ギザ山の飛竜》のステータスがどのように強化されているのか、それについては確認できていないが、纏った炎雷は時間経過で消える。しかし、落雷のたびに身体に炎雷を纏う。その光景はまるで、祈祷を扱っているかのようである。
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円卓の騎士、ヴァイクの祈祷
赤き雷を呼び、右手の武器と身体に纏う
武器に、雷属性の攻撃力が付与され
装備重量の上限が上昇する
ただし、雷カット率は低下してしまう
竜槍の二つ名でも呼ばれたヴァイクは
ランサクスが、最も愛した騎士であった
つまり、飛竜の扱う炎雷は、古竜を喰らった事で齎されたものではない。どちらかと言えばそれは、信仰に近いものだったのだろう。そしてその信仰は、炎雷を使う誰かに向けられていたのではないか。
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以上の事から、飛竜が古竜を喰らう事と、飛竜が炎雷を扱う事は無関係である事が分かる。
そう考えれば、飛竜の心臓に混じったさざれ石が、古竜を喰らった事に起因しているとしても違和感は無い。
魔術師を喰らい続けた《輝石竜スマラグ》、《輝石竜アデューラ》が輝石に蝕まれたように、古竜を喰らい続けた竜の心臓は、さざれ石によって蝕まれたと考えられるだろう。であれば、スマラグやアデューラ、エグズキスやボレアリスもまた、古い時代に、古竜を喰らい続けていたという事になる。
そして、古竜を喰らうだけの理由が飛竜らにはある。
その身に竜を降ろす行為は信仰となるが、竜を宿す行為は、その血ですら自らに取り込むことを意味する。それは野蛮な行いであり、古竜に対する明確な反逆の意志となるだろう。やがて古竜が永遠に統治するかつての狭間の地において、揺らぎが訪れた。その揺らぎの最たるものが、暴竜ベールなのだ。
飛竜とは、暴竜ベールの一族である。同時に、岩のウロコを失った、永遠なき、卑小な竜の末裔でもある。
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原初の雷を宿したさざれ石の刺剣
追憶から得られた、竜王の力の片鱗
永遠なき、卑小な竜の末裔たちに
高い威力を発揮する
卑小な竜の末裔と表現されているように、古竜にとって、飛竜とは取るに足らぬ存在なのだろう。プラキドサクスがエルデの王として君臨していた時代には、少なくとも、古竜とそれ以外の竜は明確に区別されていた事が窺える。ベールが反逆に至る要因の一つであるとも考えられそうだ。
また、永遠なきという記述から推測するに、古竜とは永遠の存在なのだろう。故に、岩のウロコを持たぬ飛竜は、永遠ではないのだ。
プラキドサクスに挑み、恐らく引き分けまでに持ち込んだであろうベールは間違い無く、最も強い飛竜だったのだろう。とはいえ、彼一人ではプラキドサクスとの一騎打ちに持ち込む事すら困難だったかも知れない。何故ならプラキドサクスは、エルデの王にして古竜の王。多くの古竜を従えていたはずである。
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巨大な古竜が浮き彫られた、錬鉄のタリスマン
「伝説のタリスマン」のひとつ
物理カット率を、きわめて大きく高める
黄金樹なき先史時代の主たる古竜は
王を守る、巌の壁であったという
故に竜姿は、あらゆる護りの象徴である
巌の壁、という記述の通り、ファルム・アズラの土台は夥しい数の古竜によって形作られている。勿論それだけでなく、プラキドサクスの従える古竜たちが、プラキドサクスを守っていた、というそのままの意味の記述でもあるのだろう。
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ベールがどれほどの強さを持ち合わせていようが、それらを超えるのは至難の業だ。何故なら、古竜の性質であるさざれ石は飛竜に対して、致命的な傷を与えるものだからだ。さざれ石とは、いわば飛竜の弱点である。
だとすれば、ベールが1人で無数の古竜に立ち向かったとは考え難い。多くの飛竜たちを引き連れて戦いに臨んだと考えるほうが自然である。
プラキドサクスの伝えた竜餐の対象に、ベールだけでなく、飛竜たちも含まれていたのはこれが原因だと考えられる。単にベールの一族だからというだけでは、根拠としては弱く思う。卑小な飛竜たちもまた、古竜と戦う戦士であった。
そもそもの話だ。ベールは何故、プラキドサクスに挑んだのだろう。要因の一つとしては前述した通り、古竜と飛竜が区別され、卑小な存在と蔑まれた事に対するものと考えられる。
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竜餐の祈祷、その最たるもの
暴竜ベールの巨大な力を振るう技
己が姿を暴竜となし
咆哮と共に、熱風を爆発させ
周囲に激しい噴火を起こす
暴竜の滾る心臓は、喰らわれてなお
袞えることなく服従を拒み続けている
それは、いつか竜餐の主を、その肉体と魂を
内から焼き尽くすだろう
喰らわれてなお、服従を拒み続けるその心臓は、彼の意志の表れなのだろう。彼にとってはそれだけでも十分な理由になり得るのかも知れない。しかし、それだけではない。王に挑み、脚をもがれ、翼を壊され、それでも生き、ギザ山の山頂で傷を癒やしている。
竜王は去り、一つの時代が終わりを迎え、新たな時代を迎えた。そして今やそれすら壊れかけている。それだけの時を経てもまだ、彼は生き続けている。ベールが内に宿す意志とは何なのだろうか。彼を生きながらえさせているものは何なのだろうか。
考えられる理由はたった一つだ。
彼はまだ、飢えている。猛き心を燃やしている。
好敵手が去ってなお、その瞳は褪せてはいないのだから。
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そしてその意志は、やがて1人の戦士へと受け継がれるのだろう。
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彼の名はエーゴン。かつて暴竜に挑み、壊され、それでもなお飢え、猛き心を燃やす戦士。
フローサクスは語る。
…その名は、覚えています
壊れてしまった、竜の戦士
そしてなお飢え、猛き心を燃やす人
我が王が、貴方たちに竜餐を示した由は
まさに、あのようなあり様なのでしょう
若きがゆえの、そして卑小がゆえの、燃え尽きぬ飢えと、猛き心
それは、あのベールにも似て
老いた我らに、到底抱き得ぬものです
エーゴンの在り方は、ベールと似ているのだという。そしてプラキドサクスが竜餐を伝え、戦士たちに求めたものも恐らく、そのような在り方であった。
…ベール!ベールよ!
我が恐怖よ!
儂はまだ、生きているぞ!
たまらなく、飢えているぞ!お前の心臓に!
必ずや!お前にも、恐怖を!
うおおおおおおお!
ベールと戦い、壊された戦士、エーゴン。彼は恐怖を植え付けられ、それでも生き、なおベールに挑む事を諦めず、その心臓を渇望している。
エーゴンの尽きぬ飢え、猛き心、そしてその意志は、かつてプラキドサクスに挑んだベールのそれと酷似していたのではないだろうか。
かつての自分にも似たその姿に、ベールは何を想ったのだろうか。
竜餐の戦士として猛き心を燃やし、飢えを満たす為に戦う。そうして竜を狩り続け、心臓を喰らってきた者たちが、ギザ山でベールと対峙する。幾度もの竜餐を重ねた者は、ドラゴン・ハーティドと呼ばれる。それは竜の心を意味する。
恐らくベールと対峙したその殆どが恐怖し、死んでいった。その圧倒的な力に憧れを見出した者もいただろう。竜餐の戦士として生き続けた彼らの在り方は、その意志は、ベールと、その一族たる飛竜のそれとよく似ていた。
プラキドサクスは見抜いていたのではないだろうか。ベールを屠り喰らうことができるのは、ベールだけなのだと。
ギザ山を登るにつれて飛竜の亡骸は数を増していく。それは竜餐の戦士たちに敗れたベールの一族なのか、それとも古竜らの仕業か。それらは炎雷を操るギザ山の飛竜なのか、それ以外なのか。
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古い竜の体に生じるとされる逆鱗
その根元部分の、熱を帯びた肉塊
そのまま食べることで
生命力、持久力、筋力、技量を上昇させるが
HPが少しずつ減少する
竜熱は、竜の戦士にとって最上の酒である
古竜の体に生じる逆鱗を、飛竜はその内に宿していた。前述の通り、これは飛竜が古竜を喰らっていたと考えられる直接的な証拠である。そしてその竜熱は飛竜だけでなく、戦士たちの猛き心をも燃やし続けたのだ。
ベールは恐らくその最たるものだったのだろう。ベールの生きる意味とは、彼の意志とは、常に戦いと共にある事だった。
飢えを知らぬ心を燃やし、より強き者と戦い続ける。それがベール、そしてその一族である飛竜の意志だったのではないだろうか。そしてその到達点に、ベールがいた。
そして遂に、古竜の中から裏切り者が現れる。
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儀式壺を使った製作アイテムのひとつ
素材を混ぜ合わせ、壺に封じたもの
敵に投げつけ、雷ダメージを与える
それは周囲の敵を巻き込む
伝播する赤い雷は、王を裏切り
暴君に仕えた古竜の技であるという
ベールがプラキドサクスと引き分けた要因には、古竜の裏切りも大きく関係しているのだろう。
雷とは本来、黄金の輝きを放つ。それが、赤く染まっている。赤い雷を使う古竜は、狭間の地と影の地でともに確認されている。
影の地では、《古竜セネサクス》。狭間の地では、《古竜ランサクス》そして、《竜王プラキドサクス》である。
しかし、王とはプラキドサクスを意味するもののはずだ。暴君とは恐らくベールの事だろう。この前提が覆ってしまえば、何もかもが滅茶苦茶である。
《古竜ランサクス》とは《古竜フォルサクス》の姉であり、古竜信仰の司祭である。
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古竜ランサクスの力を振るう祈祷
赤い雷の薙刀を呼び、上空から薙ぎ払う
その斬撃は雷を奔らせる
ランサクスはフォルサクスの姉であり
人の姿に化け、古竜信仰の司祭として
騎士たちと交わったという
もしかすると、裏切りとは先史時代における話、つまりセネサクスと同じ時代を生きる古竜に限った話であり、黄金樹の時代において、赤雷はまた異なる意味を持つのかも知れない。姉という概念が存在している事から、例えばランサクスがセネサクスの血縁であるとも考えられ、赤雷が遺伝したと考える事も不可能ではない。と思いたいところだが、これは流石に厳しい。このままではプラキドサクスの赤雷に説明がつかない。
赤雷、つまりは赤い雷。赤とは生命の色である。同時にそれは生命に必ず訪れる死の色でもあり、血の色である。つまり、赤雷には《死のルーン》の存在が関わっていると考えられる。
岩のウロコを持つ古竜は、本来であれば永遠である。よって古竜とは、生命とは異なる存在だ。そこに、死が混じった。よって裏切りとは、永遠を捨てた古竜たちを指すのではないだろうか。永遠ではなく、一つの生命としての在り方を選んだのだ。
そこに関わっていたのは間違いなくベールだろう。全ての生命に必ず訪れる死。壊れても喰らいつく、死をも恐れぬ強い意志。卑小な竜とはどちらであったろうか。古竜は自ら永遠である事を、捨てたのだ。
…はは、ははは
うわーっはっはっはっ…!
見たことか!これこそが、戦士よ!
竜の戦士よ!
エーゴンよ、お前もかつてそうだったろう!
思い出せ!思い出せ!
恐怖など、知りもしなかったはずだろう!
うわーっはっはっはっ…!
原初の黄金、坩堝は赤みを帯びていた。これは《死のルーン》の性質である。その影響はやがて、プラキドサクスにも現れたのだろう。
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しかし、王を裏切るほどまでに、古竜を惹きつけたものは何だったのだろうか。そこにベールの強大さが窺える。
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二つの心房を持った、暴竜ベールの心臓
幾本もの、角のようなさざれ石が生え
真っ赤に滾っている
竜餐の大祭壇でこれを喰らうことで
ベールの力を、我がものとすることができる
竜餐の巫女は言った
それは、至高の竜餐であると
《ベールの心臓》には幾本ものさざれ石が生え、それはまるで角のようである。この角は、角人に生じた坩堝、混じり角を彷彿とさせる。
また、この心臓は二つの心房を持つ。これは《竜の心臓》にはない性質であり、竜の心臓とは本来、心房が一つなのだ。
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竜狩りの果実たる、竜の心臓
さざれ石の混じった異形のそれは
まだ、生々しく脈打っている
竜餐と呼ばれる儀式の供物であり
祭壇でこれを喰らうことで
竜の力を、我がものとすることができる
その様は、おぞましく野蛮であり
また美しい
形状としては、飛竜や土竜の心臓は、鳥類のものに近い。鳥といえば、飛竜の翼膜や、脚から尻尾にかけて無数の鳥の羽が生えている。
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しかし鳥類の心臓は二心房二心室であり、管が2本しかない竜の心臓とは構造が異なっている。管が2本という事は、一心房一心室という事になり、現実だとこれには魚類が該当する。飛竜とは魚類の一種だったのだろうか。
対してベールの心臓は、二つの心房を持つ。これは両生類、爬虫類、鳥類、哺乳類が該当している。つまり心臓の構造が明らかに変化しているのだ。形状から見るのであれば、まるで人のそれのようである。この心臓の変化については謎が多く、それらは未だ解明できていない。
坩堝の一種だと思われるが、戦士の心臓が変質したように、ベールの心臓も何かしらの要因を経て変質したのだろうか。
さて、《ベールの心臓》は持ち主から切り離されてもなお真っ赤に滾っている。心臓とは、生命そのものである。そして心臓とは、ベールそのものであった。
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竜餐の祈祷、その最たるもの
暴竜ベールの巨大な力を振るう技
己が姿を暴竜となし
咆哮と共に、熱風を爆発させ
周囲に激しい噴火を起こす
暴竜の滾る心臓は、喰らわれてなお
袞えることなく服従を拒み続けている
それは、いつか竜餐の主を、その肉体と魂を
内から焼き尽くすだろう
疑問に思わないだろうか。ベールの外見は、他の飛竜とは明らかに異なっている。ベールの身体は何故ここまで赤いのだろうか。
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幾度もの戦いを経て、多くの傷跡が全身に残っている。しかしそれだけではない。彼の身体は全体的に赤黒い。顎は硬化しており、角は捻れている。背中には硬い鱗を持ち、多くの角のような突起が見られる。この角は綺麗に生え揃っているわけではなく、同じ箇所から2本が生えている箇所も見られる。そして破れた翼膜や、尻尾の先端までもが赤く染まっている。
これらは恐らく、ベールに生じた坩堝なのだ。
赤とは生命の色である。同時にそれは生命に必ず訪れる死の色でもあり、血の色である。この赤は、他の誰よりも生命を謳歌した事の表れである。
これは言わば、永遠に対する冒涜である。永遠でないからこそ、彼の心臓はいつまでも赤く滾り続け、その瞳が色褪せる事はない。女王マリカの求めた輝ける生命は、既にここにあったのだ。
古竜とはさざれ石を持つ永遠の存在である。それは王を守る巌の壁であり、故に竜姿はあらゆる護りの象徴であった。
対してさざれ石を持たぬ飛竜は、永遠ではない卑小な存在だ。しかし、ベールは示した。王に喰らいつくほどの圧倒的な力を。壊れても挑み続ける竜の心を。死とともに強くある意志を。
そして、力こそ、王の故であると。
さて、ここまで竜餐の成り立ちについて長々と考察してきた。一旦まとめる事にする。
暴竜ベールは、竜王プラキドサクスを大きく傷つけた、古竜の仇である
ベールは敗北し、その一族である飛竜と共に竜餐の贄となった
プラキドサクスより伝わった竜餐とは、飛竜の心臓を喰らう事である
やがて古竜を狩る竜餐の戦士が現れた
古竜の心臓を喰らった竜餐の戦士には坩堝が生じた
竜餐の過ちとは、人が古竜の心臓を喰らう事である
土竜とは、古竜の心臓を喰らった戦士たちの末路である
飛竜の宿す属性には、後天的なものがある
ギザ山の飛竜の炎雷は、祈祷に近しいものである
戦士と飛竜の在り方は非常によく似ている
竜の心臓に混じるさざれ石は、古竜を喰らった事によるものである
古竜とは護りの象徴である
力こそ、王の故である
3.《竜塚とギザ山の特色》
・グレイオールの竜塚
ではここから、ようやく地形に関する話に入ろう。
ケイリッドには、多くの飛竜が密集した地帯が形成されており、この地はグレイオールの竜塚と呼ばれる。《大老竜グレイオール》が横たわり、周りを囲むはその眷属たる飛竜。この眷竜たちとグレイオールは生命力を共有しているようで、眷竜を1体討伐する度にグレイオールの生命力は衰え、逆にグレイオールを討伐する事で周囲の眷竜たちは生命力を失う。
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竜餐の祈祷、その高位のもの
大老竜グレイオールの力を振るう技
「伝説の祈祷」のひとつ
己が姿を竜となし、大咆哮を轟かせ
周囲の敵の攻撃力と防御力を低下させる
竜の大母、グレイオールは
おそるべき山であった
グレイオールとは、おそるべき山であった。これを比喩と捉えるべきか、それとも、そのまま捉えるべきだろうか。その巨体故に、山と見紛う者がいたとしてもおかしくはないだろう。
グレイオールは竜の大母である。竜と大きな括りをされているが、恐らく飛竜だろう。尤も、飛竜だとしても十分に大きな括りだ。
飛竜の大母とするのであれば、グレイオールは飛竜の祖とも呼べるのではないだろうか。飛竜の祖先たる山のような巨体の竜。故にグレイオールとは、飛竜を従える山なのだ。
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飛竜を従える山については心当たりがある。影の地の南東に位置する、《ギザ山》だ。そしてその近くの竜餐の大祭壇には、巨大な飛竜の亡骸が倒れている。この飛竜は何者なのだろうか。
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そしてこの場所以外にも、ケイリッドには飛竜が多く生息している。逆に、狭間の地にこれほど多くの飛竜が生息している地域は、ある場所を除いて他に存在しない。
このように、どちらも飛竜の生息地である事が、ケイリッドの竜塚とギザ山の大きな類似点となる。
また、どちらにも竜餐の儀式を執り行う場が設けられている。
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ただし、2つには大きな違いがある。影の地にある竜餐の大祭壇には巨大な飛竜が倒れているが、対して狭間の地にある竜餐の大教会、及び竜餐の教会には、古竜が倒れている。これについては、前述した通り、古竜を喰らう者たちが現れ、時代と共に竜餐が変化した為だと考えられる。
しかしこれだけでは、まだ根拠に乏しい。もっと確定的な根拠が必要である。
・古き王の都
狭間の各地には、剣の碑と呼ばれる石碑が建てられており、これらには狭間の歴史が刻まれている。
以下は、ケイリッドの剣の碑、その1つに刻まれた碑文である。
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ゴッドフレイ王の戦、最後の地
黄金の軍勢は止まることなく勝ち続け
だが祝福は失われ、色褪せた
碑文によるとケイリッドは、ゴッドフレイが王として戦った最後の地である。つまりこれは、ゴッドフレイが褪せ人となる以前の、最後の戦いだ。ゴッドフレイはここで、何と戦っていたのだろうか。
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最初のエルデの王、ゴッドフレイの王冠
黄金樹の始まりは、戦と共にあり
ゴッドフレイは戦場の王であった
巨人戦争、嵐の王との一騎討ち…
そして、好敵手がいなくなった時
王の瞳は色褪せたという
嵐の王とは、何を指すのか。長らく考察されてきたテーマの1つであり、未だに確定的な考察は無い。
ストームヴィルの鷹たちの王である、嵐鷹の古王なのか、それとも、嵐の中心に座す竜王、プラキドサクスなのだろうか。これら2つで大きく分かれているように思う。
まず最初に、ストームヴィル周辺の生態系について考えてみる。ストームヴィルには嵐が吹き荒れており、狼が多く生息している。ストームヴィル城周辺の狼たちは、遠吠えと共に嵐を呼ぶ特徴を持っている。近辺の洞窟にはアズラの獣人がおり、洞窟の周辺には遺跡が落ちている。
城内には老獅子が放し飼いされている。また、脚に武器を接がれた嵐の鷹がおり、褪せ人を待ち構えているだけでなく、城の遥か上空を常に飛び回っている光景も見られる。
最奥へ進むと、飛竜の亡骸と共に、接ぎ木のゴドリックが待ち構える。
嵐鷹の古王は、ストームヴィルに本当の嵐があった頃、鷹たちの王として君臨していた。
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ストームヴィルに本当の嵐があった頃
鷹たちの王として君臨した、一羽の遺灰
だが古王は誇り高く、誰の召喚にも応じない
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霊魂の宿った遺灰
嵐の鷹、ディーネの霊体を召喚する
かつて、ストームヴィルに本当の嵐のあった頃
最後まで古き王に仕えた、猛き鷹の霊体
鳴き声で、共に戦う者の士気を高め
その体に風を纏い、敵を切り裂く
この記述の通り、嵐鷹の古王とは、鷹たちの王である。そして、《嵐の鷹、ディーネ》は、最後まで古き王に仕えた、猛き鷹の霊体だ。古き王とは、嵐鷹の古王なのだろうか。
ストームヴィルにあった本当の嵐、これが鍵となりそうだ。ストームヴィル城の周辺は常に風が吹き荒れている。
ストームヴィル城から向かえる、リムグレイブの神授塔への橋の手前には、4体の甲冑が置かれている。
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この甲冑には古竜の意匠が施されており、リムグレイブ自体が、古竜との関わりが深い土地である事が分かる。
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また、ストームヴィル城周辺のように風が吹いている場所というのはもう1箇所あり、それは、ケイリッドにあるファルム大橋を超えた先、獣の神殿の周辺である。こちらは風がより強く、さらに雨も降っている。
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獣の神殿の内部には、《獣の司祭、グラング》がおり、死の根を集め、喰らっている。グラングとは、崩れゆくファルム・アズラの最奥で運命の死を封印している《黒き剣のマリケス》であり、ファルム・アズラは、古き王の都であるという。
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時の狭間、嵐の中心に座すという
古き王を象ったタリスマン
「伝説のタリスマン」のひとつ
魔術と祈祷の効果時間を延ばす
古き王の都、ファルム・アズラは
遥か前からずっと
ゆっくりと崩壊しているという
これらの事から、古き王、そしてストームヴィルにあった本当の嵐とは、プラキドサクスを指しているのだろう。ファルム・アズラにある巨大な竜巻や、建築物やその造形等から判断するに、少なくともストームヴィルからケイリッドにかけて、つまり狭間の地の南半分は、古竜の支配下にあったものと考えられそうだ。
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空から降る遺跡の残骸
その砕けなかった欠片を鍛えた武器
「伝説の武器」のひとつ
その遺跡は隕石により崩壊したとされ
この武器は、崩壊の力を宿している
古き王の都、ファルム・アズラは遥か昔からゆっくりと崩壊している。《遺跡の大剣》によると、それは隕石によるものだという。専用戦技《崩壊波》から見て取れるように、崩壊の力とは、重力の力だろう。
狭間の各地に落下した遺跡の残骸や、前述のように古竜がリムグレイブ、ケイリッドを支配していた事から、ファルム・アズラは現在のような狭間の地の東側の上空ではなく、狭間の地のどこかに、都として存在していたのではないだろうか。だとすれば、それは何処だろうか。
ゴッドフレイ王の戦、最後の地はケイリッドであった。その戦いにこそ勝利したものの、王の瞳は褪せた。この戦いこそが、嵐の王との一騎打ちであったと考えられる。古き王の都、ファルム・アズラは、ケイリッドにあったのだ。
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ファルム・アズラがケイリッドに存在していたであろう根拠は、探せば探すだけ出てくる。嵐の吹き荒れる獣の神殿と、神殿内部にいるグラングの存在はその最たるものである。確認が困難ではあるが、獣の神殿とファルム・アズラの建築物は、どちらも赤い丸屋根をしている。獣の神殿に繋がるファルム大橋の存在もまた、それを補強するものとなる。
そしてケイリッドが飛竜の生息地である事は、ファルム・アズラが大量の飛竜に囲まれている事とも関係している。
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そして影の地にも、飛竜の生息地だった場所が存在する。
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今でこそ、このギザ山に生息する飛竜は片手で数えられる程度になってしまったが、その亡骸の数から、多くの飛竜が生息していた事が分かる。
このギザ山の頂上には、ベールが待ち構えている。ここで疑問が浮上する。プラキドサクスとベールは、何処で戦ったのだろうか。狭間の地と影の地は切り離されている。ファルム・アズラは狭間の地のケイリッドにあり、ギザ山は影の地にある。
最初に貼った地図を見ていこう。
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ギザ山は思いっきり、ケイリッドの地形と被っている。赤獅子城や慟哭砂丘の周辺を除き、全てがギザ山と被っている。明らかに正しいとは思えないような地図だが、もしこの地図が正しい場合、ファルム・アズラは何処にあったのだろうか。
答えは、ここだ。
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暴竜ベールとの決戦の地、ギザ山の頂上である。真上から見るとこのようになっている。ギザ山は山だが、その山頂はどう考えても、自然に形成されたものではない。にしても、この円状の地形と周囲の造形、どこかで見覚えがある。
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どこからどう見ても、竜王プラキドサクスとの決戦の地である。古き王の都、ファルム・アズラは、ギザ山の頂上にあったのだ。
と、ここまでは、おおよそ想像通りといったところだろう。しかし、一つだけ大きな問題が残っている。それは、ギザ山がケイリッドの地形に、あまりにも被りすぎているという事だ。
正直この問題に対しては、私も頭を悩ませていた。流石に被りすぎだからである。しばらく考えた後、様々な角度からギザ山を眺めていた。
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1時間ほど眺めて、違和感を覚え始めた。そして、ようやく分かった事がある。ギザ山は、山ではない。
ここから先は、憶測の域を出ていない話を展開していく。故に、可能な限り啓蒙を高めた上でお読みいただきたい。
・巨大なさざれ石
ギザ山の成り立ちとして、考えられるものは二つある。
その一つは、さざれ石だ。
ギザ山を見て、気付いた事がある。ギザ山は、さざれ石とよく似た形状をしている。
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特に鋭く尖ったさざれ石
アイテム製作に用いる素材のひとつ
南の海岸にある、ギザ山で手に入る
それは、竜の血を吸った古竜のウロコである
竜の血を吸った古竜のウロコは、より鋭く尖る。このさざれ石は、ギザ山のある飛竜の亡骸の体に突き刺さっている。
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このさざれ石は、古竜に襲われた飛竜の体に残されたものだと考えていたが、それにしては妙な見た目をしている。まるで飛竜の体内から外側に向かって、その体を突き破り、伸びているような印象を受けないだろうか。
また、さざれ石の根に当たる箇所は赤く染まっている。これはさざれ石が吸った竜の血である事は間違いないだろう。だが、果たしてそれだけだろうか。
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ギザ山の暴竜を象ったタリスマン
その咆哮が轟く時、ギザ山の溶岩は沸騰する
溶岩の威力を高める
その暴竜は、名をベールという
かつて古竜の王に挑み、共に傷つき倒れた
怒れる破壊者であるという
ベールの咆哮が轟く時、ギザ山の溶岩は沸騰する。ギザ山の溶岩が何故、ベールの咆哮と呼応するように沸騰するのだろうか。
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古い竜の体に生じるとされる逆鱗
その根元部分の、熱を帯びた肉塊
そのまま食べることで
生命力、持久力、筋力、技量を上昇させるが
HPが少しずつ減少する
竜熱は、竜の戦士にとって最上の酒である
このさざれ石は、持ち主と離れてもまだ、熱を帯びている。まるで、それが一つの生命として鼓動するように。故にそれは、ベールの咆哮と呼び合うのだろう。
以上の理由から、飛竜の亡骸に生じた、尖ったさざれ石、それが成長し、やがて山と呼ばれるほどまでに成長したのではないだろうか。
もしそうだとすれば、狭間の地とは、巨大な竜の亡骸の上に成り立っている可能性すらあるのではないだろうか。
かつてグレイオールが、恐るべき山と称されたように、ギザ山も、竜の亡骸に芽吹いたさざれ石なのかも知れない。
心臓を失っているにも関わらず、今も生き続けている巨大な飛竜がいるくらいだ。もう何が起きていても不思議では無いだろう。
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そして、その巨大なさざれ石の頂上に築かれた文明は、隕石によって崩れ去るのである。
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空から降る遺跡の残骸
その砕けなかった欠片を鍛えた武器
「伝説の武器」のひとつ
その遺跡は隕石により崩壊したとされ
この武器は、崩壊の力を宿している
遺跡の大剣は、ケイリッドの赤獅子城にて手に入れる事ができる。その説明によると、ファルム・アズラは隕石により崩壊した。
ケイリッドの隕石とはつまり、星である。慟哭砂丘にてラダーンを撃破した後、封じられた夜空の運命は動き出し、星は大地に降り注いだ。
一つの巨大な星がリムグレイブに流れ落ち、巨大な穴が空いた。そして、そこには重力の影響が残っていた。
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ファルム・アズラが崩壊し、遺跡として宙に浮いている原因もこのように、重力が原因なのだろう。
だとすれば、ギザ山には、ファルム・アズラに放たれた巨大な重力、その痕跡が残っているのではないだろうか。
影の地を旅するにあたって、褪せ人たちはその隆起する地面を何度も目にしているはずだ。少なくとも私は、嫌というほど目にした。もう二度と御免である。
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重力を操る、宿将ガイウスの魔術
大地から、岩塊の刃を生じる
タメ使用で強化される
若かりしガイウスとラダーンは
共に研鑽し、この技を修めたという
これこそが、ギザ山の成り立ちのもう一つの可能性だ。ギザ山は、重力によって隆起した地面である。
ガイウスとラダーンが重力の魔術を修めるべく、その地にケイリッドを選んだのは何故だろうか。それは、重力を操る巨大な存在がそこにいたからではないだろうか。魔術街サリアや、赤獅子城にある星見場の存在からも、ケイリッドは星との関わりが深い地域である事が分かる。もしかすると、それは外なる神の1体なのかも知れない。
何より、ラダーンはケイリッドにて星を砕こうと修行しているのだ。星が落ちたのはそれが初めてではなかったはずである。
実はギザ山と似た形状の山が、狭間の地にも存在している。それは、ゲルミア火山だ。
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ベールの咆哮によって、ギザ山の溶岩は沸騰する。であれば、ギザ山も火山なのだろう。ゲルミア火山の山頂には《降る星の成獣》が生息している。隕石・重力と関係するこの生物がここにいる事も、山と重力の関係を表しているように思える。
以上が、ギザ山の成り立ちに関する私なりの結論だ。暴論とも言う。
かなりの力技だが、ケイリッドとギザ山の地形があまりにも被っている問題は、多少解決できたのではないかと思う。ただ、かなり無理があるのも事実なので、より良い気付きがあれば教えていただけると有り難く思う。
・嵐の王
さて、話を戻そう。これをまとめて、最後とする。
嵐の王とは誰だったのか。
ゴッドフレイとは、蛮地の王にしてエルデの王。そして、戦士である。
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エルデの王、ゴッドフレイを象ったタリスマン
「伝説のタリスマン」のひとつ
魔術/祈祷/戦技のタメ使用を強化する
ゴッドフレイは、猛き戦士であった
けれど、王となるを誓ったとき
沸々と滾り続ける戦意を抑えるため
宰相の獣、セローシュを背負ったのだ
ゴッドフレイ、いや、《戦士、ホーラ・ルー》。彼は猛き戦士であり、抑えきれぬほどの滾る戦意の持ち主である。
その在り方はまるで、竜の戦士そのものであった。いや、むしろ彼もまた、一人の竜の戦士だったのではないだろうか。
だとすれば、戦士が最後の戦いの地にケイリッドを選んだのは、そこに、竜王がいたからではないか。戦士として、最後の竜餐を成すために。
もしそれが、その瞳から祝福を、生きる意味を、意志を失う事になろうとも。
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ゴッドフレイ王の戦、最後の地
黄金の軍勢は止まることなく勝ち続け
だが祝福は失われ、色褪せた
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最初のエルデの王、ゴッドフレイの王冠
黄金樹の始まりは、戦と共にあり
ゴッドフレイは戦場の王であった
巨人戦争、嵐の王との一騎討ち…
そして、好敵手がいなくなった時
王の瞳は色褪せたという
ギザ山には、常に嵐が吹き荒れている。それは、かつてそこに嵐の王がいた名残なのだろう。山頂は雲に覆われ、上空からその様子を確認する事すら難しい。影の地の地図も、ギザ山の山頂は靄(もや)によって隠されており、はっきりとは視認できない。
だが一箇所だけ、嵐の止む場所がある。それは、絵画「竜の境地」が描かれた場所。
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放浪の画家の作品のひとつ
「竜の境地」と題された絵画の記憶
その画家は、死して消えゆく者たちの
最期の景色を描くという
今でも、その絵が描かれた場所にいけば
画家の霊と、最期の名残が見出せよう
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これが、この場所で何かを成し遂げ、死んだ者が見た最後の景色だ。
きっとここにはもう、本当の嵐は無いのだろう。
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竜餐の古い原型とされる心臓
裸で使用し、人の身を古竜となす
死ぬ時まで、姿が戻ることはなく
古竜の身で使用すると
一時的に、竜餐の祈祷を強化する
人の身で、最後に眺めた景色は
夕焼けの中で、だが全てが色褪せ
永遠とはほど遠いものだった
おわりに
お読みいただき有り難う御座いました。辰年までに書き終える予定だったのですが、遅刻しました。申し訳ございません。
2024年の7月に書き始め、そこから前回の比じゃないほどに収拾がつかなくなりました。ベールへの愛が重すぎたのかも知れません。
また、楽しく読んでいただけたのであれば、嬉しく思います。
今回、内容として含む事のできなかったものも多々あります。エニル・イリムと古竜信仰の関係性や、プラキドサクスとトリーナの関係など、そちらもいずれ記事にできたらと思います。
2025年も、エルデンリングを楽しみましょう。
それでは、失礼致します。