映画の名言に学ぶ。ep.4「PERFECT DAYS」
2023年12月24日、クリスマスイブ。
日曜なのに仕事をして、その日最後の上映に向かった。
作品が私を呼んでいる感じがした。わからないけど。
こんな人も世の中にはいるのかもしれないと思った。
東京渋谷の公衆トイレを毎日掃除するのが仕事で、機嫌の良い、無口な主人公が素敵だった。
毎朝、空を見ては、ほほ笑む。
人からの蔑まれるような態度は、あまり気に止めない。
人とのちょっとした、あたたかな交流を大切に、植物と、木漏れ日を愛でる。
毎日同じことの繰り返しだけど、実は、ちょっとずつ違うし、ちょっとずつ周りに変化は起きるけど、
一日一日が新しい日で、気分よく生きること。
彼、口数が非常に少ない。セリフは全編通して多分A4用紙に収まるぐらいな感じ。
姪が川を見て彼にききます。
「この先、海に繋がってるかな?」
そうだね、と答える彼。
行ってみようと姪が提案するが、また今度、と彼は言う。
「今度っていつ?」
そこで彼の一言。
「今度は今度、いまはいま」
そのあとふたりは、「こんどはこんど、いまはいま」と復唱しながら家まで向かう自転車を漕ぎ出します。
繰り返しの日々、「今」を生きる毎日を送る彼が言う「こんどはこんど、いまはいま」という言葉が印象的。
私は、きっとその今度は来ないじゃないかな、という気がした。
だって、彼が大事にしているのは「今」だから。
もう一つ。この映画はカセットテープで彼が車で聴く楽曲が非常にきわだっていましたが、
最後に流れるニーナ シモンのFeeling goodが沁みます。
曲を聴き、目に涙を溜めながら笑みを浮かべる役所さんがかっこよくて、私はにやりと笑ってしまった。
あれはいい曲。あの曲が流れた瞬間この映画を観てよかったと思った。