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梶よう子『広重ぶるう』

NHKドラマ「広重ぶるう」を観ました。浮世絵には西洋絵画にはない独特の味があり、その魅力に引き込まれます。特に広重が活躍した時代は、写真技術が登場する直前の幕末であり、彼はまさに江戸文化を体現した最後の世代の一人です。この時代背景の中で、彼の絵師としての軌跡が描かれることに胸が高鳴りました。

ドラマでは、広重を見守り支えた奥さんのカヨさんの存在が重要な役割を果たします。カヨさんは広重の理解者であり、彼が絵師として成功していく過程を支え続けました。絵師としてようやく売れて、これからは彼女を楽にさせてあげられるという矢先にカヨさんが亡くなってしまうエピソードは、非常に切なく心に響きました。このエピソードを通じて、普段から自分によくしてくれる人やお世話になっている人、身近な大切な人に対して、慎ましくても感謝の気持ちを伝え、小さな恩返しをしていくことの大切さを改めて感じました。

ドラマの中で、広重とカヨさんを演じる阿部サダヲさんと優香さんの演技は素晴らしく、時代劇特有の古臭さを感じさせない現代的なアプローチが新鮮でした。江戸で生きる壮年期の夫婦の生活や絆がリアルに描かれており、視聴者としてその時代にタイムスリップしたかのような感覚を味わえます。

「広重ぶるう」を観て、江戸時代の作品にますます興味を持ちました。浮世絵を通じて感じられる江戸の文化や人々の暮らし、彼らの心情をもっと深く知りたいという欲求が湧きました。これからも浮世絵をはじめとする江戸時代の作品に触れ、その魅力を探求していきたいと思います。

ドラマ「広重ぶるう」は、広重の生涯と彼を支えた人々の絆を描く感動的な作品です。江戸時代の文化や浮世絵に興味がある方には、ぜひ一度観ていただきたいです。

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