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【15回連載! インタビュー企画 Vol.10】〜インターン生から、インターン生達へ〜
ようびでは、地域人材の育成や、ものづくり、ブランディング等について実践的に学ぶことができるスクール事業やインターンシッププログラムをコーディネートしています。
そんなようびの様々なプログラムに、インターン生として参加してくれた就実大学教育学部の由藤さんが、同じようにプログラムに参加された他のインターン生や事業者様に、学生ならではの視点でインタビューをしてくれました。
現在連載で記事をお届けしています。ぜひご覧くださいませ。
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今回インタビューさせていただいたのは、「京もの担い手育成事業」のプログラムに昨年参加していただいた、「有限会社箔沌房」の澤野井生さん。
京もの担い手育成事業のプログラムでは、京都の若手伝統産業職人さんが抱える課題をインターン生と一緒に解決するワークショップを実施しています。
箔沌房では主に、薄く伸ばした金箔を品物に押して貼り付ける、「箔押し」という技術を用いて作品を制作されています。箔押しは、仏壇仏具や漆器などに用いられる伝統的な加飾技法のひとつです。
澤野井さんは3代目で、「伝統」と「サブカルチャー」を掛け合わせるような制作をされており、前職はアニメショップで働かれていたそうです!
現在に至るまでには、どのような経緯があったのでしょうか?
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――今回のプログラムに参加したきっかけを教えてください。
(澤野井さん) 箔押しは、ものづくりの中では加工業であり、中間工程に位置するため、0から新しく何かを作るというのがなかなか難しく、方向性に悩んでいました。そこで、「専門家の方の意見をお聞きしたい」と思い、今回参加させてもらいました。
――今回のプログラムで一番印象に残っている活動は何ですか?
(澤野井さん) 事業を取り巻く人たちとの関係性を図化した「ステークホルダーマップ」の作成ですね。このワークを通して、自分の社会的な繋がりがいかに偏っているかということがよく分かりました。
自社に足りていない繋がりが可視化されて、一緒に参加した学生の方や京都市役所の職員の方とも一目で問題点が共有できたので、こういう風に課題を見つけてチームで課題解決へ向かっていくことが大事だと学べたし、これが自分に足りない点であるなと。
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――今回インプットする機会が多くありましたが、1番驚いたことは何ですか?
(澤野井さん)「経営者と職人とで必要な能力が違う」というお話ですね。コーディネーターのようびの大島さんが、「これからの時代、経営者が知らなければいけない、新しい言葉、新しい概念、新しい定義がどんどん出てくる」とおっしゃっていて、まさにその通りだなと思いました。
自分の理解できないものを理解しないまま放っておくと、チャンスを取り逃すことがありえる・・・それは自分には欠けている考え方だから、これから勉強していかないといけないと思いましたね。
――参加する前と後で何か変化がありましたか?
(澤野井さん) 「前向きになった」と思います。自分は、かなり人見知りで「逃げたい!」と思うことがよくあるんですが、そういう気持ちと向き合って、「挑戦していこう」、「人と積極的に関わっていこう」っていう気持ちの変化があったと思いますね。
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――職人さんになる前にアニメショップで働いていたと伺ったのですが、三代目を継いだ経緯を教えてください。
(澤野井さん) 「自分が継がなかったら箔頓房はなくなる」っていうことは分かっていたので、「それは惜しいなあ」っていう気持ちがあったので、継ぎました。
あとは、箔押し業界って、やろうと思っても学べる学校がなかったり、弟子入りしようとなっても、受け入れてくれるところは割と少なかったりするんです。「この機会を逃したら、今後自分がこの世界に関わることはないな」と考えたのも1つの理由ですね。
――作品に対するこだわりや強みを教えてください。
(澤野井さん) 金は特別な色なので、金箔を使うと、金箔が本物の金の輝きや色を放ってくれるので、そこは強みだと思いますね。
あとは、基本的にどんな物にでも箔押しできるのも強みかな。箔押し後強くこすることがない物であれば、基本的にどんな物にも貼ることができます。
――あなたにとって一番大切な価値は何ですか?
(澤野井さん) 「楽しさ」ですね。生きて行く上でしんどいことって割とあると思うんですけど、楽しいことがあったら、そのために頑張れますし、しんどい時間だけだと生きている意味ないよねって思います。自分の作るものが人の楽しみや喜びに繋がれば、1番最高だと思います。
――今後の目標や展望を教えてください。
(澤野井さん) 箔沌房では、 0から1を作っているわけじゃなくて、最初から1ある物を装飾して2から3にする仕事なんです。さっきのお話と繋がっているんですけど、やっぱり楽しいことをしたいと思っているので、自分の好きなキャラクター産業と一緒に仕事がしたいというのが大きいですね。
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今回のインタビューでは、箔押しが中間工程に位置するからこそ抱えるお悩み、そして、箔押しの強みや魅力、箔押し業界の現状まで、たくさんのことをお聞きすることができました!
特に、澤野井さんからは「楽しいことが好き」という思いが強く感じられ、伝統とサブカルチャーを掛け合わせる活動は、こういう思いから来ているのだと知ることができました。
「伝統産業」と聞くと、厳かなイメージがありますが、澤野井さんのように自分たちに身近なものと組み合わせた作品だと、親しみやすくなりますね!
これからも箔押しの素敵な作品を、心より楽しみにしております!
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ご自身が受け継いだ箔押しの技術や伝統を時代に合わせ、新しい形で広めるチャレンジを続ける澤野井様。
そんな澤野井様に京もの担い手育成事業にご参加いただけたこと、たくさんの発見があったとおっしゃっていただけること、本当にありがたく思います!
※できるだけプログラム参加者様の思いや言葉をそのままお届けしたいという考えから、インタビュー内容についてはほぼ未修正で掲載しています。
箔沌房 https://hakutonbo.sakura.ne.jp/
京もの担い手育成事業について https://jirei.youbi.me/2022/03/31/1667/