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『Eastward』ゲーム感想

イーストワードを知ったのはもうかなり前。まだ発売してなくて、開発中であることがゲーム情報系のブログで紹介されSNSで流れてきたのだ。

たしかダム城のマップだったかな。あまりのピクセルアートの美しさに一目惚れし、はやく完成しないかなと心待ちにしていた。

それにしては遊ぶのが遅くないか…?自分で自分に言いたくなる。どうして人は多くの罪(ゲー)を重ねているにもかかわらず、さらに罪(ゲー)を重ねてしてしまうのだろう…。

そんなこんなでやっとこさ遊んだイーストワードのプレイ感想です。
多少のネタバレは含んでるので気を付けてね!




Eastward

開発元:pixpil

ゲーム概要


フライパンや爆弾などの武器を扱えるジョンと、不思議な力を持つ珊。ふたりの力を最大限発揮できるようにうまく操作を切り替え、崩壊した世界に残された街やダンジョンを探索し、さまざまな困難を乗り越えながらすべての元凶となったタタリに立ち向かうアクションアドベンチャーゲーム。

スローライフが楽しめる大規模追加コンテンツ「よみがえれ!カモメ町」もリリースされている。こちらは本作のパラレルワールドが舞台で、どこかで会ったことのある知らないキャラクターたちが登場する。イーストワード本編をプレイしたあとに遊ぶと幸せになれるかもしれない。


所感

世界観


この美しく緻密に作り込まれた世界を冒険する、ということがこのゲームの売りのひとつだと思って間違いないだろう。

廃れたバスや船の中で人々が生活してて、現代人が持っている固定概念を覆すような暮らしぶりにロマンを感じる。廃墟の町やデパートがダンジョンになってるのもそそる。本作はゲームなので、実際に歩き回れることに喜びを感じる。この手の世界観が好きな人にはぜひオススメしたい。

けっこう哲学的な要素もある。とくにセーブポイントとなる冷蔵庫はいつも意味深な言葉を投げかけてくる。その時々の展開にあわせた内容になっていて興味深いが、わたしのような頻繁にセーブしないと落ち着かない民には2回目以降同じセリフの表示はつい早送りしてしまうのであった…。

また、この作品に登場するすべての個性的なキャラクターたちも魅力的である。誰ひとりとしてコピーのモブはおらず、人やロボットが当たり前のように共存しているし、なんならしゃべる猿まで大量に出てくる。ズルかったり意地悪だったり嫌なやつもいれば、愛にあふれていて優しかったり憎めないやつもいる。いろんなタイプのキャラがいるところに人間味を感じられる。


アートや音楽


とにかくグラフィックが素晴らしい。寒い場所ではキャラが白い息を吐くし、動きのあるオブジェも多くて人も町もすべてが生きてるって感じがする。色の淡さもかなりわたしの好みだ。足音も歩く場所の質感で細かく分かれてるところが好き。ただ歩き回ってるだけで楽しい。

蛇口をひねって水流したり、トイレの便座を上げたり下げたりできるのもきっとなにか意味があるのでは…?とつい勘ぐってしまったが特に意味はなさそうだった。

基本的に次に行く場所はマップ開くとマークがついてたり、まだ行ってない場所には斜線が引かれてるので慣れてくると迷子にならない。トンネルなど別のマップへ遷移できる場所が少しわかりにくかったけど、高い建物の裏を歩くとキャラのいる位置が光ったりもしてて工夫を感じられた。


システム


基本的な遊びは探索とアクションのふたつ。それらは明確に区別されていて、探索パートで攻撃などのアクションを行うことはできない。逆に言うと探索パートの間は突然死を迎えるなどの危険もないので物語に没頭できる。

動きが細かくてクオリティ高い分、キャラ劇や場面転換の際にテンポが気になることもあったが、特定のボタンを長押しすることで早送りできるのはありがたい。ただ、あまり多用するとセリフを見逃してしまうので注意。

また、早送りとは関係なくゲーム側のタイミングで勝手にセリフをすぐ送られてしまうシーンもあるので、スクショ撮りたい勢はすぐ撮っておくほうが後悔しなくてすむ。

序盤のアクションパートは、ただフライパン振ったり爆弾を爆発させてるだけで楽しい。進めていくと殴ってもすぐに死なないモンスターが出てくるので、珊の力で足止めするなど協力しあうことで被ダメを受けにくくなる。相手が複数になると同時にヒットさせるには少しコツがいる。

地味にツラかったのが弾薬切れ。バンバン銃を何度も撃ち込まないと死なないモンスターとフレイムセプターの茨焼きがセットで配置されていると弾切れして何もできなくなり、ただ呆然とソニックボーイのチャージタイムを待ち続けることになってしまう。リュックの容量はしっかり拡張して予備の弾をいくつか持っておくと安心かも。

宝箱が近くにあると教えてくれる機能がめちゃくちゃ便利だった。電波マークと音の強弱で距離感がわかるのがとても良い。隠し部屋を探し出すヒントにもなった。強化パーツは宝箱からしか入手できないのでありがたい。

アクションパートには戦うだけでなく、手持ちの武器や珊の力を使ってギミックを動かすようなパズル要素や、追いかけてくるものに捕まらないようにゴールまで逃げ切る逃げゲー要素、敵のサーチに引っかからないようにゴールを目指すステルスゲーム要素などたくさんの遊びが用意されている。

キャラが分離してそれぞれのルートを進み、互いの能力で助け合いながらダンジョンを進んでいくのはバディものならではの良さ。まるでひとり二役でマルチプレイゲームをしている気分になる。キャラの切り替えだけじゃなく、同行と単独行動の両方を自由に切り替えられるのは珍しいかも?

ギミックを使った謎解きや要素もあるが根気さえあればクリアすることは難しくない。この手のゲームがクソ苦手なわたしでもなんとか遊びきれた。

ちなみにわたしが本作で一番苦戦したのがイザベル戦だった。

3〜4回くる連撃を防ぎ切るとボタン連打の押し合いがはじまる。それを何度か繰り返すことでクリアできるのだが、連撃の最後がなかなかタイミング合わなくて何度も死んだ。手に汗かく戦いとはこのことだ。

そんな感じで下手なわたしは頻繁にゲームオーバーしてしまったわけだが、簡単にコンテニューできるところがやる気を削がなくて良い。タタリからの逃げゲーも苦手すぎて何回もコンテニューした。オートセーブ機能には感謝しかない。

探索とアクションと並んで大事なのが料理システムだろう。手に入れた食材を使って回復やバフ効果のつく料理を合成できる。料理用のコンロは近づくと展開される可変式なのが大変かっこいい。料理グラも美味しそう。

材料を選んだあと毎回スロット演出が入り、横に2つ以上揃うと効果がプラスされる仕組み。斜めはダメだった。自分は目押しが下手なので揃えばラッキーくらいの気持ちで回してた。

食材がフライパンの中で踊るのを見てるとゼルダBotWを思い出した。楽しげでいいんだけどすぐ飽きてしまうのが難点。初回演出も早送りできると嬉しかったかも。


操作性


ジョンは多くの武器や爆弾を持ち替えて戦う。たとえば進行するのに邪魔なオブジェクトをフライパンで破壊したのち、すぐにバンバン銃に変更してモンスターを攻撃する。SwitchではRボタンを押すのだが、アホのわたしはつい+でメニューを開いてしまうことが多かった。

というのも、たしかLボタンでアイテム欄を出せるのにわたしはいつもメニューからアイテム欄を開いていた。体力が残りわずかですぐ回復しないと死んでしまうとき、とっさにメニューを開くクセがついていたのだ。なので、武器の持ち替えも慌てているとついメニューを開いていたのであった…。

そこまで複雑な操作はないけど、攻撃、爆弾配置、キャラ切り替え、武器切り替え、アイテム欄表示のボタンをしっかり把握しておくと、時間制限や死にかけたとき慌てて押し間違える事故は減ると思う。

あと、ジョンと珊を切り替えるのはすぐわかったが、別行動させるやり方、戻し方を最初よくわかっていなかった。説明はあったのかもしれないが読み飛ばしてしまってた可能性がある。結果的に感覚で覚えて使いこなせるようになり、後半の素早さのいる操作もなんとかなったので問題なし。

探索パートでは「未来」でイザベルを探すのにてこずった。何度も町を隅々まで歩き回ったのに終わらない。30分くらい練り歩いても無理だったので攻略調べたら、なんでこんな場所がわからなかったんだ!!って場所だった。隅々調べすぎててイベントあるマスを踏み損ねたらしい。

同行してるソニックボーイが宝箱みたいに音とかで知らせてくれるとわかりやすかったかも。ここまで一度も攻略見てなかったのにはじめてググって調べた。


ストーリー


ポットクロック島脱出するまでが長かった…!!地下に作られた町はロマンがあって素敵なんだけど、嫌なこと言ってくるキャラも多くて早くここから抜け出したい気持ちに駆られた。そのおかげか、はじめて見る空や自然がとても美しく見えたのでキャラとシンクロできたかもしれない。

グリーンバーグではユヴァとの展開はちょっと急に感じたかな。ジョンも無口だから本心がわからないし、出会ってまもないキャラにまだそこまで思い入れなくて置いてけぼりになった気分だった。

でもすべてはそのあとの展開のためにひたすら死亡フラグを立てられてたのだろう。タタリからの逃げゲーで何度もコンテニューしたのもあり、あの圧倒的な脅威に絶望するしかなかった。わたしもあの場にいたらきっとジャスパーといっしょにどんよりしてたかもしれない。

グリーンバーグの悲劇があったからこそ、ダム城では人と知り合うのが怖くなった。仲良くなった人たちもどうせみんな死ぬんだろって。そういう意味でジョンに感情移入できた気がする。

タタリを撃退したあと、バーで人知れず怯えるアルヴァを慰めるイザベルが「大丈夫」って言ったあとに「4章『死の乱舞』」は酷すぎる…!!

悲しい未来しかなさそうって思ったし、実際にそうなった。ダム城はコメディっぽいお話がしばらく続いたのでギャップがすごい。アルヴァとイザベルとルームシェアしてた幸せな時間が大好きだったし、きっと珊も楽しかったはず。

だからそんなふたりがいなくなって、しつこいくらいふたりの行方を聞いてる珊の姿を見てると、再会を信じてやまない無邪気さに胸が苦しくなった。いっしょに探してはいるけど、きっと手遅れだよって気持ちになってしまって。これが大人になるってことなのだろうか…。

クリアしたものの、自分が物語を十分に理解できた気がしてなくて考察まとめてる方たちの記事を読みあさった。体験したストーリーや公式が出してる情報からあれこれ自分が納得いく理由や結末を考えるのもまた一興である。

自分はあまり触らなかったがゲーム内ゲーム「大地の子」は、本作をより深く理解するためには必須なようだ。

この世界の成り立ちを知り、キャラの行動原理を想像し、起きた事象と照らし合わせていくことでまだ見ぬイーストワードの世界を発見できるのかもしれない。


プレイ記録

  • 買った理由:発売前からSNSでスクショ見て気になってた

  • 遊んだプラットフォーム:Switch

  • 遊んだ時期:2024年12月〜2025年2月

  • プレイ時間:24時間


あとがき

本作を遊ぶと美しいピクセルアートの世界で起きる悲しい物語からは「MOTHER3」を。個性的で味のあるキャラクターは「moon」、メインの遊びになるアクションは「ゼルダの伝説」みを感じた。 プレイヤーがのちの展開を考察するって意味ではリュック・ベッソン監督の作品っぽさもある。そういうのが好きな同士がいたらぜひこの作品をオススメしたいなって思った。

DLCも買ってるのでみんなが幸せ…だと思われるパラレルワールドでスローライフ楽しむぞー!

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